プロモーションのお仕事もしている為、色々な広告も、昔より更に興味を持って見ている今日この頃。

元々広告には興味があって、高校生の時、確か電通がやっていた、広告コンテストに応募した事があったな~。

その時提案したのが、
「コインロッカーに綺麗な景色の写真を貼って、環境美化&広告タイアップ」
と、
「通勤電車に有料車両を作り、疲れた人が通勤時に安らげるような、プラネタリウム電車にする」

というアイデア。

大賞は、確かどこかの大学?の研究会が取り、私は残念ながら、何の賞にもひっかからなかったけれど、しばらくして、街のコインロッカーに写真や広告が貼られるようになったのを見て、

あ!私のアイデア!(だったらなんか一言ぐらい連絡欲しいよ~!)と思ったのを覚えています。

ま、偶然なのかも知れませんが、今でも、駅で広告コインロッカーを見る度に、
「私が最初に考えたんだよね」と、勝手に思っています。

さて、

全日本シーエム放送連盟、ACC賞が決まったというニュースを見て
どれどれ…と、見てみました。

やっぱり面白い。昔は、雑誌とかでチェックしていたけど、
ネットがあるから、すぐ動画で見られる。サイコー。


被災地に向けて、”泣かないで前を向いて歩こう” という、

「部外者が何言っているんだよ」とそっぽを向かれそうな難しいテーマを

「ひょっこりひょうたん島」の、「苦しいこともあるだろさ、悲しい事もあるだろさ、だけどぼくらはくじけない 泣くのは嫌だよ 笑っちゃおう」 と、いう曲に乗せて送るこのCM。

多分、ものすごく大勢の優秀な人たちが、 「どうやったらこのメッセージが、被災地のひとたちの心にすとんと落ちるんだろう」と 考えて考えて考えて …… このコンテを作ったんだろうな。

そんな思いが見えるようなバランス感覚で創り上げた トヨタの「Re BORN」のCMとか




松田龍平さんと、ロバート・デニーロという名優を揃え、 冒頭から、まるで夢と現実との狭間を行き来するような世界を作り上げる、 ドコモdビデオのCM。




これは、途中から何の違和感もなく、自然に字幕の英語と日本語での会話に引き込まれてしまう。確かに、日本で上映される映画では、日本語はそのまま、英語は字幕。まさに広がるのは映画の世界。

そして、ふと、デニーロがもらす。 「いいよな、映画って なんでもできる」
「そうですね」と松田龍平が答える。

「英語わかるのか」と、デニーロ。 「字幕が出てるんで」と、答える松田龍平。

ここで、やられた、と思う。そうだった、映画の中では普通に行われていても、これは現実ではありえない事だった、と気づく。

そして、それを思い切り映画の中の人物がばらしてしまう、どんでん返し。

で、だまされた後に、「映画は、本当のことを言う嘘だ。」と言う字幕。 確かに、このような日本語と英語の会話は、通常は成立しない。 映画が使う、ちいさな嘘。 それをばらす事で、このコピーが生きて来る。

「ねぇ、だまされたけど、伝わったでしょ?」と。

こういう、凝ったつくりのものも好きなんだけれど、 やっぱり、私が一番惹かれたのは、カロリーメイトのCM。




満島ひかりの歌う、「浪漫飛行」(懐かしい…)曲に合わせて、新入社員が奮闘する姿が織り込まれる。

それだけ、といえばそれだけの、昔からある鉄板王道的な作りなのだけれど、 見ていて、何だかじ~んと来てしまった。

満島ひかりの、役者としての力なのか、「浪漫飛行」の、歌としての力なのか、新入社員役の、倉本発の、夢に満ちあふれた表情のせいなのか…

最初、無表情にも見えた満島の表情。それは、一生懸命に応援している姿なのだと気づく。

最後に、すーっと引いた画面になり、「とどけ、熱量」というコピーが聞こえる。
そして、初めて、満島と、新入社員の時間と場所の軸が合う。
朝焼けの歩道橋で、努力が報われたのだろう、笑顔を見せる新入社員。
それを見下ろして、ほっとした表情を見せる満島。

そこで、気づく。 ああ、満島ひかりは、「熱量を届け続ける」カロリーメイトの擬人化だったのだと。

いつもさりげなく、頑張る人のそばにいて、見守っている。
言うなれば、カロリーメイトの気持ちを歌っていたのだと。

満島には最後まで、笑顔はない。
そのでしゃばらなさが、逆に、この商品と合っている気がする。
何か特別なものではなく、いつも当たり前に傍らにあるもの。

こういうのを見る度に、クリエイターって本当にすごい、と思う。
1分30秒の中に、こんなにメッセージを込められるんだ。

(ちなみに、私は39秒あたり、倉庫の見学に行って、あたりを不思議そうに眺めながら、メモを取っているあたりで、もう涙腺に来ました…カメラの使い方も、編集も、すごく上手くて、泣けます。。。)

短い時間に、研ぎすました「届ける技」が込められている。
これからも、CMから、目が離せません。