アルジェリアで起きた日揮の人質事件から1ヶ月。
そもそも、この事件の背景には、リビアのカダフィ政権の崩壊で
仕事を失った傭兵や大量の武器が流れ込んだ事や
また、テロ組織はアルジェリアの隣国マリへのフランス軍の武力介入を阻止するよう要求していたと報じられていますね
フランス軍が介入する原因となったのはマリでの遊牧民・トゥアレグ族と黒人系の住民の民族対立。
以前、旅行で訪れたリビアの世界遺産都市、ガダーメスもトゥアレグ族を初めとする
ベルベル人達の町でした
(その他リビアに関して
→tvk時代のブログ http://www3.tvk-yokohama.com/anamaga/2011/03/post_363.php)
美しい文化を持っている民族でもあります
トゥアレグ族の人にお宅を見せてもらいました
家や生命など 意味が込められたモチーフが描かれています
それぞれの家の主婦が描くもので これは彼のお母さんが描いたものだとか
ちなみにトゥアレグ族は女系社会で 女性の側が結婚相手を選ぶ権利があるそう
女性の盛装はこんな感じです
伝統的なマグレブ文化の装飾で彩られた室内はとても華やかです
レストランがないので、近所のお母さんが作ってくれたラクダ肉入りのクスクスでお昼ご飯
トゥアレグ族は独自の象形文字のようなアルファベットを持っているそう
自分たちの文化を、誇らしげに、でもにこやかに案内してくれました
街全体が白く塗られていて 遠くから見ても輝いて見える事から
砂漠の真珠とも呼ばれる ガダーメスの旧市街
モスクの中も真っ白です
ちょっと郊外に離れると、ダモースと呼ばれる穴居住居で暮らしている
トゥアレグの人たちにも会います
みんなが伝統的な服装をしている訳ではなく
このように、日本の若者と変わらない服装をしている人も多いです
ガソリンスタンドではトゥアレグ族の若者が働いていました
観光客として、ではありますが、多くのトゥアレグの人たちと接して感じたのは
どちらかと言うと気位の高い、リビア北部の人に比べて
ユーモアがあって、人懐っこい人が多かったです
「民族の対立」という言葉に
色々な利害や思惑が上乗せされて このような現状を導いてしまっていると感じます。
これまで旅した、アフリカでもイスラエル・パレスチナでも
「○○族(あるいは○○教)の人間と共存する事等ありえない」
という言葉を幾度となく聞いて来ました
テロや紛争が悲しみと怒りを巻き起こす気持ちはよくわかります
でも、その原因となった民族(宗教)が悪い
と言う考えに、安易に逃げる事には抵抗を感じます
日揮はこれからも、アルジェリアでの事業を継続して行くと発表しました
大きな犠牲を払いつつも
これまでと変わらず事業を継続して行く・・・
アルジェリアの内戦の時も撤退しなかった
この会社ならではのプライドなのかも知れません
そして思い出したのは、数年前、何かのコラムで紹介されていた
テロ事件が起きた町の、商店の入り口に張られていたと言います。
事件が起きたけれども、混乱の中、それに負けずに いつものように店を開く事で
テロに対するささやかな、でも確かな抵抗をしていくという 商店主の気持ちが表れていました
今回の日揮も、テロに負けずに「通常に」ビジネスを進めて行くことを選びました
テロに負けずに事業を継続して行く事が、亡くなった方への供養になるという考えもあっての判断だと思います。
禍根を残さずに、淡々と「いつも以上に通常」に仕事を進めて行く事。
心から、敬意を表したいと思います。