ちょっと長い目で見てじっくり取り組んでる、ファンタジー4部作のひとつめの曲。この4部作は、漫才コンビのキングコングの西野さんが、にしのあきひろ名義で出版された、”Dr.インクの星空キネマ”という絵本に影響されて書いています。

キングコングのスピード感溢れる漫才は、ダウンタウンのようなテンポがすこしゆったり揺れるような漫才がどことなく主流になってきた頃のデビューだったということもあり、当時かなり新鮮で衝撃的で、以来ずっと好きなのですが、西野氏の絵はそんなどころじゃなくびっくりするくらい凄い。めっちゃ好き。水木しげるとか、つげ義春とか、なんか思い出してしまいそうな、レトロで不気味な感じも垣間見えつつの、でも何となくポップで、ファンタジー全開な感じが、個人的にめちゃくちゃつぼなのです。背景の緻密さとか人物の体つきのバランスの絶妙さとか、なんともたまらん。

5年かけて完成させたそうで、最初の方のページと、最後の方のページでは、絵の完成度がぜんぜん違うんだけど、そうやって、なんとか一枚ずつ、絞り出すように仕上げながら、かろうじて自分の世界や個性を少しずつよりよく築いていったのだなぁ、っていうその過程すら伝わってくるようで、同じく創作するものとして、共感してしまうのです。

この絵本が丁度4楽章でできた組曲のような構成になっていて、だから、ファンタジー4部作。白黒で統一された絵本なので、そこに塗り絵するような心持ちで音をカラフルに紡いでみているところです。

ちなみに、Magic Scopeというタイトルは、最初の物語、”グッドモーニング・ジョー”に登場する、魔法の望遠鏡のこと。この望遠鏡に映った星は、手でつかめたり、色をぬったりすることができて、星座を作ったり流れ星を作ったり、自由自在にできちゃう(笑)

そうそう、今リハーサルで少しずつ創り上げてるとこなんだけど、毎回少しずつ出来上がってくのが楽しい。そして、この曲もゆくゆくはボーカリスト必要だな。うん。

さとうきょうこ