モード誌編集者歴35年の平工京子です。
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からの続き
私のブログの原点でもある
『流行通信』物語。
きょうは、第39話をお届けします。
1988年６月、
『流行通信』９月号の
ヨーロッパロケは、
ミラノ、パリでの撮影を終え、
最後の目的地ロンドンへ。
当時は、まだ
ユーロスターがなかったので、
空路、ヒースロー空港に
降り立ちました。
ロンドンを訪れたのも、
これが人生初。
BIBAのロンドンは、
70年代からの憧れの地。
さらに、80年代に
なってからは英国紅茶に
すっかり、はまっていたので、
感激もひとしおでした。
ロンドンの
フォトグラファーを
決めるにあたり、
力を発揮したのは
副編集長のリュウさん。
彼の名が出るとつい、
1年半前の1987年１月、
LAロケにいっしょに行った際、
バスルームで目撃した
大量の抜け毛を
思い出してしまいます。
（↓詳しくはこちらを）
このLAロケ以来、
リュウさんを当てにするのは、
すっかりやめていた私ですが、
この時ばかりは
堪能な英語力と人脈を駆使して、
素晴らしいフォトグラファーを
見つけてくれました。
エイモン・J・マッケイブは
そのころ、UK版『VOGUE』で
活躍していたフォトグラファー。
スキンヘッドで
一見、怖そうでしたが、
実際は、おだやかな感じの人。
彼の撮影は
アイディアがありました。
まず、素顔のモデルに
大きなパネルを持たせて
いかにもロンドンらしい場所で撮影。
これはモノクロで。
次に、モデルにヘアメイクをして
スタジオの白い背景で、
ふつうのファッション撮影をする。
これはカラーで。
最後に、カラーで撮った写真を
モノクロで撮った写真の
パネルにはめ込む。
まだ、写真は
デジタル化されておらず、
すべてフィルムで
撮影する時代だったので、
いまでは簡単な写真の合成も
特別な技術が必要でした。
パネルを持っているモデルは
ヌードのように見えますが、
実際はチューブトップと
ショートパンツをはいています。
街中のロケでは、
道行く人が
ギョッとして見るので、
そのたびにモデルの子が
パネルを持ったまま
くるっと回転して
後ろ姿を見せて
「裸じゃないですよ〜」
と言っていたのがおかしかったです。
フォトグラファーと同じく、
UK版『VOGUE』で活躍していた
スタイリストのニッキーは
赤ちゃんを産んだばかり。
これが出産後の初仕事で
赤ちゃんをバスケットに入れて
現場に連れてきていました。
このチームの撮影は、
そんな和気あいあいとした感じで
とても楽しいものでした。
写真を合成する作業は
時間がかかるとのことで
最終的にどうなるか
未知数のまま帰国。
東京に戻ってから、
エアメールで
上がりが届きました。
だから、封を開けて、
このプリントが出てきた時には、
最高に嬉しかった。
30年以上経った今でも、
まったく古さを感じさせません。
今でも大好きなページです。
やっぱり、
イギリス人って、何か違う。
英国びいきな私は、
そう思ったのでした。
PHOTO/EAMONN J McCABE
へ続く
今回のお話は、
2020年8月2０日の投稿、
『流行通信物語』の第26話
【帰ってきたフォーカス男】に
さかのぼって読んでいただくと
流れがつかめます。
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『流行通信物語』は、
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ちょっと個人情報多めの内容なので。
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