1番私が思い入れのある、大切な大切な

オスカルとアンドレの物語。

今でも、この小説を書いた日の事を忘れません。


昔、書いた小説が賞を取り、一度、

プロデビューしましたが、

直後に、父が倒れ、介護をしながらの執筆は無理だと判断し、筆を折ったのが2000年

あれから、23年ぶりに物語を書いたのが、

この、ベルサイユのばら2次創作小説でした。


ベルばら映画をやりますと公式が発言されてから、

だったら幼稚園年少からマーガレットを読んでいた、初めて読んだ漫画がベルばらで、

アンドレが初恋で❤(ӦvӦ。)

オスカルは憧れで🌹


2年前は漫画を読み返し、

私に書けるかなあとものすごい不安でアップしたのを覚えています(笑)


もう。好きなんだから、書き続けますし、


最近は、アメブロのDMからファンレターを頂いたり。

本当にありがたいと感謝しています。




真夜中のミモザを


pixivで、初めて投稿したのが、



この

mimosa de minuit ~真夜中のミモザ~


2023年4月19日に初めて投稿致しました。

あれから丸2年。

2次創作小説は、気がつけば150本⁉️を超えまして、(笑)

アメブロも、ひっそり始めたつもりですが⋯


小説が人気記事ランキング1位〜4位を毎回頂き、
いつの間にか、現在
月間で、30万人〜35万人のご訪問を頂き、

(アメブロは詳しくデータが見れるので)



驚きと、感謝と

ビビってます(笑)






初心に帰るため、
初めて投稿した本日、4月19日に、

この処女作を修正版として、アップ致しました。

ありがとうございます♡

続きの小説↓

真夜中のミモザ〜その後



も、続けて掲載致します。




🌹〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹







mimosa de minuit ~真夜中のミモザ~





漸く、

執事から頼まれた用事を終え、ベルサイユの屋敷に到着した時は
既に真夜中になっていた。

侍女も、他の使用人も自室に戻り、静けさに包まれ、灯りも最小限になっていた。
裏門から屋敷に入り、ふう…
と、ため息まじりに呼吸をする。

衛兵隊の非番日だからと言っても、屋敷の急用事があれば、誰かが領地に出向かなければならない。
そうなると、領地の諸事情にも詳しい、馬の遣い手であるアンドレが出向くしかない。

今日は朝早くから早駆けで領地に向かったので、同じ非番のオスカルとは顔も合わせていない。

急用だったから、オスカルには執事から伝えてくれ、と頼んでいた。

…が。
2人が非番の時は、遠乗りする事が最近は、暗黙の了解になっている。

「………怒ってるかな………明日朝、謝ろうか…もう夜も遅いし…」独りごちてみる。

春とはいえ、日が暮れると寒さがきつくなる。
マントを脱ぎ、肩に乗せ、蝋燭を持ち自室までたどり着いた。


カサッ……

「ん?」

アンドレは、自室の扉の足元に目をやり、蝋燭を少し近づける。

二つ折りの紙。
インクの匂いがまだするので、ここに置いて間もないのだろう。

拾い上げ開くと、見慣れた筆跡があった。


( 指を怪我した )

ただ、それだけである。

アンドレは、慌てて自室に入り、自作の簡易の治療箱を手に、まだ起きているであろう、屋敷内の二階に向かった。

「あいつ…指を怪我した、だけじゃ解らないだろう?それに怪我なら、侍女かおばあちゃんに看てもらった方が早く手当ても出来ただろうに…」

そうぶつぶつと言いながらも、内心
心配な心持ちにならない訳がない。

誰か、ではなく
外出していたアンドレに、己に起きた、小さな事件を書き置いたのだから。

今日は逢えない。
そう思っていたアンドレは、大切に医療箱を抱えて、心が踊った。
(俺も、甘いな…あいつには)
苦笑う。


燭台を持ち、深夜の屋敷の二階に上がり、オスカルの部屋の扉の前で…一度、呼吸を整える。

二人の事は、まだ誰にも知られていない。



小さくノックをすると

「いま開ける」
と、小声が聞こえた。

ドアが僅かに開いた。
「入るよ」
スルリと部屋に入ると、オスカルが月明かりを背後にアンドレを見上げていた。
嗅覚の良いアンドレは、いつもと違う香りを部屋から感じた。


「指を怪我したって?大丈夫なのか?なんでおばあちゃんや、侍女に見せなかったんだ。俺が今日は帰りが遅くなるのはわかってただろう?」
たたみかけて言ったのが気にさわったのが、オスカルはアンドレが持っていた燭台を取り上げた。


「アンドレ…」
アルトの声が少し怒っている。

でも怪我しているなら、全うな意見だ。
アンドレはそう思ったが、いつもより優しい声で
「とにかく、怪我をみせろ。心配なんだ。綺麗なお前の指を傷つけたのはどこのどいつだ?ん?」

寝椅子にオスカルを座らせ、ほら、手を見せろとばかりに、アンドレは隣に座り、オスカルの手のひらを優しく掴む。

白くしなやかな、左手の中指、第二関節にスパッと切られた痕が赤く滲んでいる。

「結構、深手だぞ?痛くはなかったか?オスカル」

「うん……」
アンドレの優しい声に、今度は素直に答えた。
まるで

少女の声だ。



「あーあ。綺麗な指にこんな傷を作って…何処で切った?」
アンドレは、医療箱から消毒用アルコールと、丁寧にカットした清潔な綿布、そして鑷子(せっし)を取り出して、丁寧に傷口を清潔な状態にし、包帯を巻いた。

「私は今日、非番だった」
オスカルが呟く。

「ああ。そうだな。一緒に遠乗り出来なくてすまなかった」
アンドレの両手は、オスカルの左手を包んでいる。

その言葉を聞いているのかどうか

「今日、独りで近くの小川まで馬を走らせた」

「独りで?珍しいな」
アンドレの手はゆっくりと、オスカルの左手を撫で、早く治れという仕草をした。
その仕草が可笑しかったのか、オスカルは漸く月明かりの中、笑みを見せた。

「あれを」と、オスカルはバルコニー手前の丸テーブルに顔を向ける。
其処には、月明かりに輝く、美しく華やかな黄色いミモザが花瓶の中でキラキラと咲いていた。

「河原で咲いていたミモザの花盗人の有り様が、これだ」
横に並んで座るアンドレをじっと見つめて、オスカルは薄く笑う。
哀しみも含んだような。

「ああ。だからか。部屋に入ったらいつもと違う香りがしたから…」
アンドレの手のひらは、まだオスカルの左手を労っている。
オスカルは、だんだんくすぐったくなってきて、そして

甘えたいような、昔のように言葉遊びをアンドレとしたいような、そんな甘酸っぱい気持ちになっていた。


「なに?もう痛みはないのか?大丈夫なのか?オスカル」
「もう痛みはない。怪我したのは夕刻だから」
「え…こんな深夜まで放置してたのか。怪我から膿んだりする事もあるんだぞ。置き手紙をするより、誰かに頼めば良かったのに」
間髪入れず
「私は…お前と、花盗人の私が摘んだミモザを見たかっただけだ」
オスカルの手が、包みこんでさすっていたアンドレの手を離し、プイと横を向いた。

「……一緒に見たかったのに…月明かりに照らされたミモザを…」

ああ、そういう訳か。
アンドレは心が温かくなる。

オスカルは、こういう時は本当に不器用な性格になってしまう。
いや、

素直になるとも、
たおやかな女性に戻る

とも言うのが正しいだろう。
それは、アンドレしか知らないオスカルの素顔。


軍人
オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ准将
と言う日中での肩書きなど夜半には消えてしまっているような錯覚さえ覚える。
アンドレにとり、それは己に身を預けてくれるようになった、彼女の素顔。

月明かりに照らされたブロンドの髪

憂いを帯びた睫毛の長い、蒼き瞳

愛しい女性

ただひとりの。


「オスカル、ありがとう。俺にミモザを見せてくれて。あと…」

「あと…?」

アンドレは、オスカルの頭と肩を抱き寄せた。


「その為に、怪我をさせてごめん」

オスカルはゆっくりかぶりを振った。

「アンドレ…」

「うん?」
アンドレは、そっとずっと、
オスカルの柔らかく美しい髪、そして頭を撫でている

愛しさが込み上げる…

「アンドレ。ミモザの咲く季節は短い。私達はいつも急ぎ足で生きているような気がしてならない。だから、アンドレにもミモザを見て欲しかった」

「うん…」

「今日、お前が朝からいなくて…」

「ああ」
ごめん、とオスカルの唇にそっと口づけた。

まだ、あまりそれになれていないオスカルは、顔を赤らめ、それを隠すようにアンドレの黒髪に顔をうずめた。


「………」
オスカルが小さく呟く

「なに?オスカル。もう一度言って」


「………雨の匂いがする…」

「俺?」

コクリと頷き、アンドレの黒髪に右手を絡め、頬にそっと手を添える。

「いい匂いだ。お前の黒髪の匂いと混ざって…」


「あ、屋敷へ帰る途中、通り雨にあったからかな。頭を拭くのを忘れてた。ごめん」

「……淋しかった」

「ごめん…」

もう、何度オスカルに
ごめん。と呟いただろうか。
アンドレは、俺は本当にオスカルに甘いなと苦笑いをした。

「オスカル、手当ては済んだ。もう深夜だ。明日は俺たち勤務だろう?そろそろ寝た方がいいよ」

オスカルは、じっとアンドレの緑がかった漆黒の瞳を見つめた。
近い…オスカルの瞳の中にアンドレが微かに映る。

「お前…今日は飲んでないよな」
誤魔化すつもりで言う。


胸がドキドキする。
多分、彼女にもこの鼓動は聞こえただろう。

「お前が飲めなかったのに、飲む訳がないだろう?」
「それが理由…とはならないからな。お前は」
アンドレが笑うと、オスカルは少しだけ睨んだ。

が、オスカルの両腕がアンドレの首に巻き付く。

「おとなしく、お前が帰るのを待ってたんだ。ご褒美くらい…」
その続きを唇で優しく塞ぐ。

いつの間にか高くなっていた満月が、二人を背後から照らす。

月明かりが照らす二人の影は、長く長く部屋に伸びて、ひとつになってゆく。



「愛してるよ…」

「うん…」
子供のようなオスカルの返答が
いとおしい。

「寝室に…」
抱き上げられたオスカルが、月のきらめきを含み、美しく笑った。

本当に少女だな。
いつまでも。俺の前では。



寝室のドアを開く。

「……あ!…」


そのベッドには、溢れんばかりのミモザの花弁があった。

気も遠くなるような爽やかな香りと共に。


オスカルをそのベッドに下ろすと、
アンドレはオスカルの耳元で囁く。


「負けたよ。降参」
両手を上げそう言うと
ふふ。と笑う女の口元。

「明日はお前も私も…同じ香りで出勤だ」

それはヤバいな、と言おうとしたアンドレの形よい唇を、オスカルは優しく包み込んだ。

月が傾き、東の空が少しだけ白むまで

じゃれあうように

語らうように

二人は薫るミモザの花弁の海で、互いを確かめ


長く長く…求めあった。

自然と互いに零れる涙。

心も身体も震わせる、愛しい想い。


愛してる

愛してるよ

と…

何度も

何度も繰り返す

ミモザの花弁の海の中で。



誰も知らない二人。




ただ


月とミモザだけが

証人。

それを知っている。

愛の証。





fin

下に、その後の小説が続きます。↓

2023年4月19日
ベルサイユのばら2次創作小説処女作

2025年4月18日
修正版






mimosa de minuit ~真夜中のミモザ ②~ その後…












まだ夜は明けぬ。



アンドレがオスカルの寝台で、ゆっくり目が覚めたのは、午前4時前。

使用人達が起きる前に、アンドレは自室に戻らないといけない。


彼女との激しく愛しい情交をかわした後

2時間位しか寝ていなかった。



アンドレは寝台のサイドテーブルに置いた自分の懐中時計を開けて、時を確認する。

そして…



シーツの上と、寝台の回りに散らばっていた黄色いミモザの花びらを、予備の小さめなリネンを持ってきて
その上に集めてゆく。


「こんなの、やり過ぎだぞ、オスカル…。ミモザの香りが取れないじゃないか」
少し笑って、ひとりごちる。

4月の夜明け前は、まだ寒い。

消えかかっていた暖炉の薪をくべ、火を起こすと、ミモザをくるんだリネンを放り込んだ。

昨夜の証拠は


ボウッと燃え盛って跡形もなく消えた。




アンドレは小さくため息を付き


静かな寝息を立てているオスカルの頬に


静かに唇を寄せ。


「おはよう、オスカル。…また後でな」



部屋を静かに出ていく音。






寝台で寝ていた美しい唇が

「……やり過ぎで悪かったな。誰のせいだ?」

そう呟いた後。


白い肌を起こし、次第に灰になる証拠を静かに見つめていた。




こうして。


独り、夜明け前に取り残される己の身は…

哀しい程に、女なのだと思い知らされる。






朝8時。


オスカルとアンドレを乗せた馬車が、勤務地へと向かう。

今日は互いが向き合う形となっていた。


車内には微かに、ミモザの香りがお互いからする。


アンドレは、苦笑いしながら

「匂い…取れないな」
と、兵服を嗅いだ。

そして、オスカルの軍服にも鼻を近づける。
「なんだ?」
機嫌の悪い声。

朝早く、アンドレが寝台から離れるのを、快く思ってはいない。それも彼は判っていた。


「軍服じゃあないな。お前の髪から香る」

アンドレは、オスカルの隣に座り、黄金色の髪を撫で、嬉しそうに匂いを嗅いだ。
それだけでオスカルの身体の芯が熱くなる。

「オスカル、髪に着いてる」
アンドレがそう言って、ブロンドの髪の中に埋もれた黄色い花を探しだした。
「何だ?何が着いてた?」
「これ」

アンドレは指につまんだミモザの小さな花びらを彼女に見せた。

「よく侍女にバレなかったな。櫛を通してる時に落ちたら、怪しまれるぞ?」
彼は僅かに笑い、そのミモザの香りを嗅ぐと、自分のハンカチに納めた。
チラリと、その様子をオスカルが横目で見る。

「そのミモザをどうするつもりだ?」
声にいささか刺がある。

朝は、大抵、機嫌が悪い。
衛兵隊に移動してから、ずっとそうだ。

「どうもしないよ」

アンドレは、馭者が見える小窓を閉め

「ごめん」
と囁きながら、オスカルの腰に手を回し、ぐっと近づけると、彼女の唇を奪う。
「……なっ…」何を、と言おうとした彼女の唇は、濡れていた。

ミモザの香りが漂う密室は、甘い昨夜のいとなみを思い出させる。

「そうさせたのは、お前だ」
唇が離れた後、彼女と顔を寄せ、そう呟いた、深く蒼き瞳を覗いた。
「お前が、せっかくの非番に、私を1人にさせるからだ」
「それは…悪かった」
「次はないぞ」
「畏まりました。お嬢様」
そう囁き、彼女の白い手を握る。

オスカルの胸が締め付けられる。






お嬢様、とアンドレから言われると、顔が赤くなるのが自分でもわかる。
だが、これから隊に向かうのだ。
気持ちを切り替える時間が馬車の中だった。


それを判っていて、馬車の中に居る2人きりの時間を、楽しむ。

まるで次の時の駆け引きのように。



自身の中で、相反する感情が交差して、
消化しきれず、

オスカルは機嫌が悪くなるのだ。






その時。


馭者が、どうっと声を上げ馬車が止まった。

アンドレが慌てて、小窓を開け
「どうした?」
と聞いた。

「子供が道の真ん中に…」
「子供?」


オスカルは、あ!と昨日の事を思い出し、馬車から降りた。

「おはようございます。兵隊様」

栗色の髪を後ろに束ねた少女。
昨日、ミモザの木の傍で会った子だった。

「おはよう。昨日はありがとう。約束を守ってくれたんだね」
オスカルは優しい声色で跪いて、少女の額にキスをした。

少女の手には、風で揺れ動く朝露に濡れたミモザの花が紙で束ねてあった。

ベルサイユとパリの中間にある、この町は
貴族邸や宮殿に様々な花を納める花農家がたくさんあった。

「お約束のミモザです」
「ありがとう」
オスカルは、銀貨1枚を少女に渡した。


少女は、手を振って走り出す。






「どういう事だ?オスカル…この花…」

再び走り出した馬車の中で、アンドレは聞いた。

先ほどと違い、妙に機嫌が良くなっている。

オスカルは、横に座るアンドレにミモザの花束を渡し、向かいの空いた席にそれを置け、と指でジェスチャーし、ふふ、と微笑む。


「わからないか?……昨夜の証拠隠滅用だ」
「は?…お前、それを昨日のうちから考えていたのか?」
「1人で、暇だったからな」
嫌みの様にアンドレに言うが、楽しそうである。

「きっと、ミモザの香りが私達からするのを、誰かが確かめに来るだろう?その時、執務室にこれを飾っておくんだ」
「……お前…」

よく、そこまで考えてきたもんだ。
まるで、2人から香るミモザを、隊の者たちに知られて、原因を探りにでもきて欲しい。
そう思っているようだ。

「策士、だな」

馬車が右折する勢いで、オスカルがアンドレの胸の中に入りこむ。

彼女が見上げると、右目が優しく見つめていた。

「用意周到、だろう?」
そう言って、オスカルは自分から恋人の頬を両手で挟み、ゆっくり唇を重ねた。

次第に。
互いの舌を吸い取り、むさぼり合うように絡める。

馬車の中で


ミモザの香りがひどく香り立っていた。





fin