前話がアメブロメ人気記事ランキング1位になりました💦
ありがとうございました。
本当に、いつも読んで頂き誠にありがとうございます😊✨️
Le destin de la rose 〜薔薇の運命〜⑥
またまた、現代版ベルばら2次創作小説を書こうかなと思い立ち、
チマチマ書いて行こうと思います。
背景は、
第5話が、2025年5月くらい
6話もその続きです🌹
オスカルは、フランスで、代々続く宝石商の嫡子として育てられた美しい女性。
宝石商だけでなく、アートディレクターもしている。30歳
アンドレは、数年前から人気が出てきた
新進気鋭のアクセサリーデザイナー。
だが、会社は持たず、個人事業として、
作っては、ネット販売か、展示会位しかやらない主義。
31歳
と、言う設定です。
そして。
原作AOの生まれ変わり。
よくあるパターンですみません⋯。
1話〜5話まではこちら↓
1話
2話
3話
4話
5話
です✨
ではどうぞ🌹
今回は2人の関係性が大きく変わります♥️
R18です♥️✨️
〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹〜🌹
すうすうと寝息を立て始めたオスカルを抱き上げ、
彼女が言っていた寝室のある
5つ目の扉を開けると、
「これは⋯⋯」
アンドレは目を見張った。
其処は⋯まるで中世の貴族の私室のような趣きだったからだ。
少し薄暗い、暖色の明かりが彼女の寝台を浮かび上がらせる。
かなり広い、キングサイズのベッド。
純白の天蓋もある。
シルクに総刺繍の羽毛掛布。
枕も同じデザインで、両方とも、薄い紫色。
アンドレは、ベッドにオスカルを下ろすと、
掛布をしっかり肩まで掛けてあげた。

あ。
そういえば⋯。
俺が寝る寝室の場所を聞くのを忘れてた。
天蓋のある、豪華なベッドで眠る彼女の耳元で、
アンドレは小さく尋ねた。
「オスカル⋯⋯聞こえる?⋯俺の寝室は何処か教えて」
と、言うと
オスカルは重たい瞼を薄っすらと開けて、こう言った。
「私の隣が空いている⋯。ここで寝ろ」
「は?」
「広いんだから⋯大丈夫⋯」
寝ぼけた小さな声。
「いや、そういう訳には⋯⋯あのさ⋯」
寝ぼけているのに、オスカルは掛布をアンドレ側に広げた。
入れ、というのだ。
「早く⋯冷たい空気が入る⋯寒い⋯」
その声色が僅かに違う⋯。
少し低い甘めのハスキーボイスになっていた。
夢の中のあの女性の⋯声だ。
(⋯アンドレ⋯)と、優しく囁く、あの声。
アンドレの中で、何かの扉が開いた様な気がした。
彼は別の意味で緊張しながらも、オスカルが招き入れる掛布に、身体を入れる。
2人が寝ても、充分に余る程にベッドは広い。
どうしようかとオスカルの隣で上の天蓋を見上げ、大きく深呼吸をする。
天蓋が、間接照明で淡くオレンジ色に染まっているのを静かに眺めていた。
その時。
オスカルが、夢の中で聞いたあの声色で
アンドレ、と呼び
彼の右肩と腕にすり寄り、顔を埋め
「アンドレ⋯⋯アンドレ⋯⋯わたしの夫⋯⋯」
と、寝言を囁く。
その言葉を聞いた途端。
アンドレは、耳鳴りのような雑音と、脳裏に現れた映像を凝視した。
ああ⋯。
この声だ⋯。
ずっと夢で現れていたひと。
ずっと霞んで見えなかった夢の中の女性の顔が、頭の中で、霧が晴れた様に
突然と浮かんできた。
それは⋯。
その顔は⋯。
隣で無防備な寝顔を見せる⋯。
この目の前にいる⋯。
「⋯⋯オ⋯オスカル⋯なのか⋯」
アンドレは、ガバっと上半身を起こし、オスカルを見つめた。
嗚呼。
そうだ。
あれは、いつの時代だろうか⋯。
俺は、幼い時に⋯お前の屋敷に来て⋯
少年のような姿をしたお前にひと目見て、大好きになり⋯
剣の稽古や、色んな遊びや、勉強も一緒にして⋯
馬に乗れるようになってからは、野駆けにも出かけた。
そして⋯
お前は士官学校に入り、俺は護衛でずっと付き添い⋯そして近衛隊にお前は入隊し⋯
そして⋯
愛するあまりに、俺はお前のブラウスを裂き⋯
そして⋯
愛する彼女から命懸けの愛の告白を受け⋯
そして⋯⋯
俺達はようやく結ばれ⋯


その後は。
大砲や、銃声の音でかき消され⋯。
古い記憶なのか?
生まれる前の記憶なのか?
それとも。
これは
ただの妄想の物語なのか⋯?
アンドレの頭の中で、その記憶と言う名の、様々な場面が、
まるで走馬灯のようにものすごいスピードで2人の映像を見せてゆく。
まるで、速送りの映画のように。
最後は。
(何故付いてきた!この馬鹿野郎!)
彼女が血だらけになって倒れた俺に向け⋯
悲壮な程につらい大声をあげた。
それが⋯
最後に見えた。
「オスカル⋯⋯お前⋯」
全ての映像が頭の中で蘇った後、アンドレは、身体中から汗を流していた。
最後の自分に恐ろしくなり
汗で冷えていく身体とは逆に⋯
隣で眠る美しい彼女の寝顔を改めて見つめて、
アンドレは熱い涙を零した。
ああ。そうだ。
あれは。ずっと夢で見ていたあの女性は、
前世で生きた二人の証。
記憶。
苦しみ。
愛⋯。
「お前だったんだな、オスカル⋯」
アンドレは思わず、隣の彼女を抱き締めた。
強く⋯二度と離れない様に。
「う⋯⋯ん⋯アンドレ⋯」
彼女の声は元に戻っていた。
その彼女の前髪をかき上げ、白い額に口づける。
「痛い⋯アンドレ。腕⋯」
薄目を開けて、オスカルは目覚めたようだ。
だが。
彼女はまだ生まれる前に隣にいる男と出逢い、愛し合った前世の記憶は思い出せないだろう。
思い出して欲しいとは思うけれど⋯。
オスカルは、不思議な顔をして濡れた睫毛を瞬かせていた。
「どうした?汗がすごいぞ?悪い夢でもみたのか?アンドレ」
彼の腕の中で、彼女は見上げながら、男の額に玉のように流れていた汗を枕の下に入れていたタオルで拭いてくれた。
「ああ⋯ごめん⋯いつもの夢を見たんだ」
「それは怖い夢なのか?」
アンドレの顔や首元の汗も拭きながら彼女は尋ねる。
「うん⋯⋯。そうだな⋯。怖い時もあるし、幸せな時もあるし、苦しい時もある⋯タオル、ありがとう」
彼の手がタオルを握りしめたオスカルの手首を優しく掴んだ。
フッとオスカルの美しい口元が微笑む。
「私もある。行った事もない筈なのに、懐かしく思える風景や、古い記憶のように、誰かとアラスの森を馬で走ったり、一緒にワインを飲んだり、
ショコラも、そんなに美味しいとは思わなかったのに⋯アンドレが作ってくれたあのショコラは美味しくて⋯懐かしい⋯としか思えなかったし⋯⋯
変だろう?⋯⋯アンドレ?」
アンドレが彼女の持っていたタオルを指からゆっくり外す。
代わりに。
アンドレの指がオスカルの指を絡めながら握った。
「どうした?アンドレ⋯」
「⋯いつか⋯」
「いつか?」
「お前も思い出すよ⋯オスカル⋯俺たちの事を」
アンドレから、「お前」と呼ばれた時。
目の奥で、じん⋯と様々な感情が生まれた。
生まれた、と、言うより。
懐かしさ⋯。
次第に、目頭が熱くなり、溢れだす涙。
「すまない⋯なんだろう⋯涙が止まらない⋯」
二人の間に落ちている白いタオルをオスカルはそっと持ち、流れる涙を拭う。
彼女の頬に斜めに伝う美しい涙に、アンドレは唇を近づけ、
涙跡に口吻けた。
そして、ゆっくり優しく彼女からまたタオルを取ると、
見つめ合う
きらめくサファイアの瞳と漆黒の森の様な瞳が混ざり合い⋯。
どちらからともなく。
深く深く
唇を重ねていった。
レースのカーテンの向こうで、
ひとつ、ふたつと
鮮やかな流れ星が現れ
消えた。
⑦話に続く
2025年4月14日
書き下ろし

ぎっくり腰治療中ですが
頑張って書きますね🌹
夜をこめて⋯
愛のままに⋯