Les roses que nous rencontrons


~巡り逢う薔薇たち


 番外編⑤ 




 すみません😢⤵️⤵️ 

番外編なのに、長編になってきてます(._.) 









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 2025年


 5月。



 オスカルは臨月を迎えた。 



 18世紀から、いきなりやって来てしまった、

21世紀の世界。 


 そう。


 信じられない位に、平和な未来のフランスにきて、10か月になる。



 生まれ変わりのアンドレがこの国に、フランスに居てくれたからこそ、 


自分は急な環境の変化にも少しずつ対応できた。



 そして、

1789年7月12日。 

あの夜、固く結ばれた2人の愛の結晶。


 生命の誕生も間近に迫っていた。





 アンドレの計らいで、自宅にGouvernante 

すなわち、家政婦3名に来て貰い、

自分が仕事で外出している時、オスカルの為に料理を作ってもらい、

また、家事を全て家政婦に任せ、

 オスカルは、アンドレから教えてもらったパソコンを操作し、自分の知らない空白の時代の 

フランスの歴史を学んだり、 


 立ち上げた薔薇の商品のデザインを考えたり、


 または、
産婦人科の先生とやりとりしたり、
現代の世界情勢をネットで調べたりして、

ノートに書き写している時間が、

今の自分には大切な時間だと思っていた。


 (プリンターで、プリントアウトも教わったが、書いた方が頭に入るから、とアンドレには説明していた) 





 しかし…。


 たった200年位でこんなに文明が変わるんだな。 



 18世紀の時代も、もちろん素晴らしいが 



21世紀は、医療も教育も充実しているし、 


食料も珍しいものばかり。


 お酒も飲んでみたいものばかり。




 出産、育児が落ち着いたら、ぜひアンドレと杯を交わしたい。


 本当に素晴らしい。





 マリー・アントワネット様が

あの時、祈って下さったから、私は生まれ変わったアンドレとも再会出来た。


 この子が産まれたら…

 私達の子供をらマリー・アントワネット様に見て頂きたい…。




 窓辺から、ヴェルサイユ宮殿がある方向を


 オスカルは、思わず眺めていた。









 「奥様。紅茶をお持ち致しました」


 若くてしっかりものの、家政婦がティーセットを持って来てくれた。 

 「ああ、いつもありがとう。そこに置いてくれないか?」 

 「畏まりました。…ですが、あまり根を積めるのは、お腹のbebeに障ります。紅茶を飲まれましたら、そろそろ、一休みなさいませ」 

 「ありがとう。ローズ。そうさせて貰うよ」



 確かに…。


 臨月になってから、
お腹が重い…。

 かなり重い。


 こんな経験、初めてだから、ちょっと不安感がつのる。


 立ち上がろうとして、ふらりとしたので、かなり膨らんだお腹を両手で抱えるように手を添え、家政婦のローズに付き添われ、 

寝椅子に座り、ラズベリーティーをひとくち飲んだ。


 酸味と甘味が口に優しい。 





 「ローズは、兄弟はいるのか?」

 話題を変えようと、オスカルは尋ねる。 


 「母がいて、兄が1人います」

 「ほう。お兄様か。ローズに似て優しいお兄様なんだろうな」

 「はい。とても優しいんです。口はちょっと悪いんですけど…。HOPITAL ST. LOUISで、

外科医をしています。結構、腕利きの外科医らしいんです」 


「……え!?もしかして…ローズのお兄様とは…」




 と、その時。

 「ただいま!オスカル、帰ったよ。お腹は大丈夫?」
と、

アンドレがにこやかに帰宅してきた。


 そう言えば。
そろそろ午後8時になる。 


 「おかえり、アンドレ」

 帰宅のキスをすると、 


「オスカル、今日は素敵なものを見つけたんだ。不動産の新規入居者でね、

新店舗開業する個人経営の人が木工職人なんだ。俺に子供が生まれると話をしたら、

可愛い積み木を下さったんだ、ほら、これ」 



 それを見て、ティーセットを片付けようとしたローズが 


「まあ!なんて可愛いんでしょう!私も子供が出来たら、こんな素敵な積み木を子供にプレゼントしたいです」

 と、言うので、不思議に思いオスカルが聞いてみた。 


「ローズは、結婚しているのか?」

 「はい。2ヶ月前に。お兄さんはちょっと反対してましたけど。でも、とても今、幸せです」


 アンドレが積み木を箱に片付けながらオスカルに言った。 


「ローズはね、アランの妹なんだよ」 


「ええ!?」 

(名前は生まれかわっても同じとは限らないのか…。アランの妹は18世紀ではディアンヌと言っていた…) 


 アンドレが、オスカルのまたぶつぶつ独り言を言っている姿をみて、彼女に耳打ちした。

 (ディアンヌは、今生ではね、ローズ・ディアンヌ・ド・ソワソンだったんだ。

でも今生では幸せに結婚して、

ローズ・ディアンヌ・フォンテーヌと言う名前だよ。前世の記憶は無いみたい) 


「…そうか…全ての生まれ変わりの人間が、前世の記憶を持っている訳ではないんだな…」


 ディアンヌは、前世では愛する人に裏切られ、
自ら生命を絶った。 

悲しい人生だ。


 18世紀のアランは、愛する妹を無くし、嘆き悲しんでいた事を思い出した。


 「ローズ…。結婚おめでとう。私の為に夫と一緒の時間が取れなくて、申し訳ない事をしてしまったな…」 

「いいえ。オスカル様。いま、夫は、アメリカに長期出張していますので、それで一人で家にいても寂しいので、こちらの仕事をさせて頂きました。アンドレさんの紹介で…。

あ、もうこんな時間。では、オスカル様、失礼致しますね。
また明日朝、参ります」 


「ありがとう。ローズ。おやすみ」






 「アンドレ」 

「ん?」 

「ローズが、アランの妹だって事は知っていたのか?」 

「ああ、うん。それと、アランから頼まれたんだよ。妹の旦那が長期出張しているから、家政婦として働かせてやってくれって。そうすれば、生活に張り合いもでるだろうから、って」


 「そうだったのか…。帰ったら一人は、寂しいものだからな…」


 寝椅子に横になっていたオスカルは、

 買い物袋をキッチンに置いて、自分の所に近づいてきたアンドレに、両腕を差し出した。



 「おやおや、どうした?お腹のマッサージをしようか?」 

「うん…それも頼みたいけど、その前に…」 



 オスカルの顔が、寝椅子に近づいたアンドレの優しい顔に近づく。 


 「キスをして。アンドレ」 



 アンドレは、軽くウインクすると、寝椅子からオスカルを抱き上げ、柔らかなオスカルの唇に、口づけた。


 と、その時。 



 「アンドレ…。お腹が痛い…すごく痛い…」


 「ええ!?もしかして…」 

「わからん。でも急に痛くなってきた」 

 アンドレは、ゆっくり寝台に妻を下ろすと、

 病院に電話した。 



 「オスカル、早いけど今から病院に来てくれって。大丈夫?車に乗れる?」

 「……ッっ…だ、大丈夫。だけど準備してた敷物を車に敷いた方がいいかも…」



 敷物。彼女が言うのはビニールシートである。


 「ちょっと待ってて、車持って来るから」

 慌てたアンドレは、バスタオルやら、オスカルのネグリジェの代えを用意した。





 真っ赤なシトロエンが

後部座に、痛がるオスカルを少し寝かせて、

病院までついた。 









 HOPITAL ST. LOUISに着くと、 

アンドレが連絡していたので、すぐ出産準備が出来るようにと分娩室に入った。 




 「今日は5月12日…迂闊だった…」






 「よお。アンドレ」

 「アラン!!」 

「産まれるんだろ?分娩室に入って行ったのは」

 「ああ…予定日は23日だったけど」 

「早まる事はよくあるから安心しなよ?お前、旦那だろう?」 

「そうだけど…」 




 あ、そうそう、と、アランがアンドレに耳打ちする。

アンドレは、驚いて、目を見開いた。


 「……え……ッ!?オスカルが……!?」



 「あ!おい!アンドレ!院内は走ったらダメだってば!」


 そう言われても。




 アンドレは慌てて、


 産婦人科のエリアに走って行った。









 Les roses que nous rencontrons





巡り逢う薔薇たち 番外編⑤ 







 ⑥に、続く 





 本当に終わらないわ………