voie Lactée~Avec toi une nuit étoilée

 7月7日 星降る夜空に君と。





こちらの作品は

 2023年 7月に書き下ろしました。 

 7月7日 七夕特別企画小説です♡ 

 と、言っても私がpixivで、小説を初めて書いたのは
去年の4月半ばからでした。 


あれから100本以上、書いてしまいました(笑)


 絵を描くのも好きですが、
就職した一番最初の仕事は、
コピーライター&デザインクリエイター&CMデザイナーでしたので、 


 書いていると、当時の膨大な作業を徹夜して仕事していた感覚を思い出しました。


 表現する、って好きなんでしょうね、私は。


 で…

18世紀当時、フランスに、極東の風習が知られていたのかはわからないですが、 

もし、オスカルがそんな書物を読んでいて、
ロマンチックな気持ちになったら…。

 そんなショートストーリーを 

7月7日の七夕企画として書いてみました。


 でも、だいたい7月7日って、毎年、日本は雨ですね…。 



 昔、山陰でみた満天の夜空。

 雲ひとつなく、新月の夜、天の川がキラキラしていて、流れ星や、色んな星座が空いっぱいに見えたのですが、

逆に見えすぎて、怖くなった思い出があります。



 七夕に2人の想いをよせて♡ 


 この小説は、
七夕の定番の歌

ドリカムの 

7月7日 晴れ を、聴きながら書きました♡




 2023年7月7日
書き下ろし 


 2024年7月7日

再掲載💖 





 ~💫~💫~💫~💫~💫~💫~💫~💫~









 真夜中に。


 屋敷を抜け出そう、と提案したのはオスカル。




 7月の夜空を見上げながら、2人でオスカルの馬にまたがり、
屋敷から少し離れた場所にある、2人だけの秘密の場所に着いた。




 小さな小川の側にある木に馬を繋ぎ。


 オスカルは、アンドレに手を差し出し、


 彼の大きな手を絡めながら、星明かりを頼りに

ゆっくり

ゆっくりと、川の端を歩いた。 




 「星が綺麗だな、アンドレ」


 「今夜はどうした?いきなり、こんな時間に屋敷を出ようって……。子供の頃にはよく月明かりの夜に屋敷から出て遊んでたけど…」 


 「ああ。そうだったな。懐かしいな」

 オスカルの白い手が、アンドレの大きな手をギュッと握る。 

 「痛いって」 

アンドレは苦笑いして少し前を歩くブロンドを見つめた。 



 「なあ、アンドレ。東洋では今夜は特別な日だそうだ。知っているか?tanabataと言う日だそうだ」 


 「tanabata?どんな日なんだ?」 


 2人は歩きながら話を続ける。



 「極東の国の神話だ。天帝の娘で機織りの名手、織姫が、牛使いの彦星と結ばれた後、

織姫が彦星に夢中になり、機織りに精を出さなくなった。
天帝がそれをひどく怒り、

voie Lactée(天の川)の両岸に二人を引き離して、
1年に一度…たった1日だけ…

7月7日の今夜だけ、
二人を会わせることにした、と言う神話だ」 


 「一年にたった1日だけしか逢えないのか。それは余りにも辛い神話だな」


 「そのたった1日の為に、恋人達は一年間を生きて待っている…。逢いたくて。とても逢いたくて…」


 オスカルは、アンドレの手を握りしめたまま、
夜空を見上げた。



 小川の畔で、蛍が瞬きだす。



 「夜空と、大地の星だな」


 アンドレは、オスカルを抱きよせて、共に蛍舞う、夜空を見上げた。 


 オスカルが彼の胸に頭を寄せる。



 「あの」
と、指を差し 


 「voie Lactée(天の川)……。どの星が織姫で、どの星が彦星なんだろうな…」 

アンドレの温かい胸にもたれて、ずっとオスカルは白く浮き立つ、天の川を見つめていた。


 「あれじゃないか?」 

アンドレがひときわ輝く2つの星を指差した。


 2人で静かに見上げていると



 天の川を横切るように、きらりと流れ星が横切った。


 あ!
と、2つの声が重なる。


 顔を見合わせて、クスクスと笑った。


 「今…、織姫と彦星が、流れ星を橋にして、再会出来たんじゃないか?」 

オスカルは嬉しそうに微笑みを浮かべた。

 そして、アンドレの胸の中に入り込む。



 「私たちは幸せだ。……もし……もしも、一年に1度しかアンドレに逢えなかったら……私は……」


 その続きを言わせない。 



アンドレの唇が、オスカルの言葉ごと彼女の唇を吸い取った。



 「…ん……」
オスカルの腕が広い彼の背中に回る。
その背中は、温かい。 



 夏の夜の風が、2人のまわりにサワサワと吹き抜ける。


 オスカルの美しいブロンドが、

風に遊ばれているように、揺れて香り立つ。 




 唇を離すと、アンドレは愛おしそうにオスカルの頬を撫で、 


 「今は、この大地で…俺たち二人だけがvoie Lactéeを見守っている。星空の恋人たちを。

 そして、その神話の恋人達に、俺たちも見守られている」 

 オスカルはアンドレの話を静かに聞いていた。


 「その神話は、何百年、何千年経とうと、語り継がれている。まるで……永遠の物語のように」


 「ああ。そうだな…」 


 アンドレは、腕を絡ませて抱きついているオスカルの潤んだ顔を上げさせた。


 「人の一生は短い。でも、その短い時間の中で、人は命を掛けて、人を愛する」


 オスカルはコクン、とひとつ頷いた。 


「その濃密さは、永遠と同じだと思うよ」


 「私を……永遠に…愛してゆくと…?」 


 夜空にまた流星が流れた。

 まるで、星たちが、

そうだよ。

 と、囁いているような。



 「ああ。……俺は、生涯オスカル1人だけを…愛してゆくよ」 


 「もし、生まれかわっても?」


 「ああ。必ずお前を見つけ出す」

その愛しい言葉を聞くと

 オスカルは少し背伸びをして、アンドレに口づけた。 


 「アンドレ…ありがとう。私も。生まれかわっても、お前を必ず見つけ出すから」 


 その静かで、甘いオスカルの声に。


 アンドレは頷くと、そっと優しく抱きしめ

もう一度

オスカルの濡れた唇に、


口づけた。




 闇深い夜空。


 一面に輝く星空。


 その中でも天空の大きな川が、荘厳なる輝きを増し、ゆるやかに弧を描く。



 「あの、ふたつの星に。愛し合う星たちに、俺は誓うよ、オスカル」


 また、サワサワと吹き抜ける夜風。

無数に光る蛍たちのひかり。 



 「もう少し…こうしていて。アンドレ…」

 風に揺れている黄金の髪に、恋人の唇が何度も落ちる。


 「ああ。お前が飽きるまで…こうしていよう」


 重ねた互いの手が、再び強く絡まってゆく。






 この夜を、忘れない。



 7月7日

一年の1度、


夜空で再会する

愛する二人の永遠の物語…。






~fin~











 



voie Lactée~Avec toi une nuit étoilée

 7月7日 星降る夜空に君と。




七夕のオスカル&アンドレに捧ぐ✨