改正版 再連載

 Au-delà de toute la douleur...

~いつくもの苦しみを超えて⑥ 







 バスティーユ戦争の後の、2人を(もしオスカル、アンドレが生き残ったとして) 

 私なりの物語を妄想してみました。


 当時のフランス社会は無視してください。


 オスカルの結核も、

アンドレの右目が見えないのも、

この際無し(笑)で、

行きます(._.)ごめんなさい! 


 パラレルです(笑) 



 日本人医師は、あのドラマから来て頂きました! 


南方仁(みなかた じん)jin先生です!

 大好きなドラマでした。 

もし、先生がフランス革命前後の欧州にタイムスリップしていたら、やはり最新医療を当時の道具で作り出し、最新の技術で人助けをしたんではないかと思いながら
オスカル、アンドレを託しました。 



 第6話目です😌💓 





 この作品は、pixivにて2023年9月に書きました。 

 アメブロには2024年1月に掲載しました 

一部訂正あり。 



 が、2024年3月から、Xや、pixivのDMにて、たくさんの方々からリクエストがあり、 


 再度、改正版を連載させて頂きます♥️



 皆様、誠にありがとうございました♥️ 




 では、どうぞ〰️✨ 




 ~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨







1789年12月25日 

ノエルの日。

今日は、オスカルとアンドレの結婚式の日。
そして、オスカルの誕生日。




2人が住んでいる町の小さなカトリック教会で、ささやかな挙式をあげる事になった。

オスカルとアンドレの結婚衣装は、パリから出る前に、母、ジョルジェットから贈られたもの。
結婚指輪もその中に入っていた。

指輪も、飾り気のない質素なデザインだった。
母が、普段からずっと身につけて欲しい、
と言う願いが込められていた。





オスカルの衣装は、不必要な華美を好まない彼女らしい、ワンピーススタイルで、
お腹を締め付けず、胸下から一気にAラインになる美しいシルクサテンのドレープ。
肩の傷口を隠す為に、胸から上は首もとまで細かいレースと小さなパールが散りばめられていた。
髪は怪我をした時から着るタイミングがなかったので、腰の少し上まで伸びたブロンドを、
町で知り合った仕立て屋の奥方が、
緩く結い上げ、冬の小さな薔薇たちが髪に飾られた。




出席者は、

アンドレの村の仲間たち
アンドレが今月から働き始めた新聞社の上司と、仲間たち

オスカルが買い出しに出て、仲良くなった市場の人たち



小さな街だから、

あの美しいブロンドの女性と、紳士的でハンサムな新聞社の男性が結婚式を挙げると噂はすぐ広まり、教会のまわりも人集りで賑わっていた。


「アンドレ…」

「ああ。緊張するな」

「それもあるが…」

「どうした?体調が悪い?」

「お前は、妻の体調ばかりを気に掛けるな。いや…教会の外でお祭りでもしているのか?やけに賑やかだが」

「教会の外は、オスカルの花嫁衣装見たさに、街から大勢詰めかけてるみたいだよ」

「え?…私の?どうして?」

「お前はこの街来てから、美しいブロンドの女性だと評判になっているのを知らない?」

「はあ?知る訳ないだろう。私はただ、時折、市場に出て買い物したり、アンドレの村からお誘いが来たら、迎えに来た馬に乗って、出かけるくらいだ」
アンドレは笑っている。

「それが目立つみたいだよ。俺が勤める新聞社でも話題になっていて、俺の妻なんです、と答えたら、美女とハンサムのカップルだとちやほやされてしまったよ。お前が独身なら、口説こうとしていた連中はこの街には大勢いるって訳だ。困ったもんだ」

「アンドレ、嬉しそうな顔をしてるな」
オスカルの顔は呆れていた。

「私は誰に口説かれようと、一生…お前のものだし、お前も一生、私のものだ」
オスカルは、夫の頬に口づけた。

「しまった!すまん!紅が頬に!」

「ああ!オスカル、お前手袋着けてるんだから、触ったら駄目!俺が取るから…もったいないけど」

アンドレは、控え室の鏡台に置いてあるリネンで頬を拭いた。

「もう少し左」
オスカルが笑いながら伝える。
「大丈夫だ。消えた」



「そろそろ、お時間でございます。どうぞこちらへ…」

案内人の静かな声が響き、

2人は立ち上がった。

「おばあちゃんに…」

「え?」

「おばあちゃんに2人の結婚式を見せたかったな…」

「うん…ばあやが怒って、お前を蹴り上げるのを見たかった」

「そっち?」
2人は、笑うと手を繋いだ。


「さあ、行こう」





最初は厳かだった結婚式は、
2人が教会から出た途端に、招待客と、街中の人たちから、拍手と小さな薔薇のシャワーが降り注がれ、あちこちで

おめでとう!
お幸せに!

の掛け声をかけられて、オスカルは涙が止まらなかった。
アンドレがそっとハンカチで涙をぬぐってやる。



「オスカル、ホントはみんなでパーティーをしてくれる予定だったんだけど、身体の負担もあるし、
今日はお前の誕生日だろう?それを話したら、結婚式が済んだらこの馬車に乗って、アパルトマンまで帰っていいって事になった」

「そうなんだ…さすがに少し疲れた」

「だろう?じゃあ帰って、2人きりでノエルを過ごそう」

歓声の中、村の村長が用意した馬車に乗り、アパルトマンまで走って行った。




アパルトマンに到着すると、アンドレはウエディングドレスのオスカルを抱き上げ、3階の寝室に向かった。

オスカルをベッドにおろすと、アンドレも礼服の上着を脱ぎ、直ぐに暖炉に薪をくべて、火をつけた。

「ドレスのままだと苦しいか?部屋が暖まってから着替える?…まだドレス姿みていたいけど…」

「ドレスは寒い…。着替えたいから手伝って」

甘えた妻の声。
アンドレは背中の留め具を1つ1つ外していった。
首もとのレースが肌から離れると、右肩のいつくもの銃弾跡が生々しい。
アンドレは、その傷口に口づけた。

「アンドレ…どうした?」

「痛かったろう?肩の傷。5発はある」

「痛かったのかどうか…もう覚えていない。それよりアンドレの傷が心配で、一日一日、どう過ごしていたかも忘れた」

「お互い、よく生きてるよな。jin先生のお陰だ」

「うん…。本当に…。またお会いしたい」

オスカルのウエディングドレスを脱がし、
今日はブラウスにキュロットが着たいと言うリクエストがあったので、先日仕立て屋で2人で何着か作った服を着た。

「ああ!これが一番しっくりくる。アンドレ!」

「あはは。でも今のうちだぞ?お腹が大きくなったら、またドレスになるよ」

「そうか…そうだな…母らしくならないとな。私も」

「いや、そうじゃなくてさ…。大きくなったお腹でキュロットは履けないの」

「あ、そうだな…」
2人で笑いながら口づけた。





「そうそう。オスカルに誕生日プレゼントがあるんだ」

「……え……?いいのか?私は今年、アンドレの誕生日もお祝い出来なかったのに」

「あんな状態で俺の誕生日なんか祝えなかっただろう?」

「……うん…」
オスカルは申し訳なさそうにアンドレを見つめた。


アンドレが寝室の隅に置いていた2つの箱を持ってきて

「開けてみて」
と、箱を指差す。
なんだろう?とベッドの上で、1つ目の箱を開けた。


「…これ…は…」
オスカルは驚いて、2つ目の箱も開けた。
「………これ…アンドレ……」

「急いで作ってもらったんだ」

プレゼントは、アンドレが勤めている新聞社の同僚の奥さんが趣味で作っている人形。
パリで流行っているようなパンドラ人形の豪華さはないが、顔も布で作られ

何より、オスカルの人形は、若き近衛隊の白い軍服を着ていた。
アンドレ人形は、屋敷の中で着ていた深い緑のお仕着せだった。
布で作られた顔のオスカルは、目元がパッチリで、まるで近衛隊に入った時の少女時代を思わせた。
髪は黄色い毛糸で、天然のクルリとした髪を表現していた。
「どう?気に入った?」

「うん…。懐かしい……。嬉しい…アンドレ。でもどうしてこの軍服が作ってくれた人にわかったんだ?」

「俺が絵を描いて、作ってもらった。今日の結婚式にも来てくれてたんだよ」

「そうなのか…可愛い。アンドレ人形」

オスカルは、2人の人形を枕に頭を乗せるように並ばせた。

「可愛いぞ…アンドレ…。たまらなく可愛い」

「良かった。気に入ってくれて」

「懐かしい…最高のプレゼントだ。ありがとうアンドレ」
枕に並べた人形をはさんで、2人はベッドに入った。

「なんか、これ…子どもが生まれたらこうなるんじゃないか?」
にやけたアンドレが人形を撫でながら言う。

「あ、そうだな。親子並んで…。あと数ヶ月でこんな感じになるのだろうか」
オスカルも、愛おしそうに人形を撫でる。



「子供の髪は黒がいい」
唐突にオスカルが、まるで決定事項のように言う。
すかさずアンドレが
「いーや。ブロンドがいい。お前そっくりの女の子」
「はあ?黒髪の男の子に決まってる、アンドレ」





せっかくのノエルの夜。


しばらく

2人の押し問答は続き…。

そして


2人はいつの間にか人形をはさんで


眠りに落ちていったのだった。








⑦に続く