改正版 再連載
Au-delà de toute la douleur...
~いつくもの苦しみを超えて⑤
バスティーユ戦争の後の、2人を
(もしオスカル、アンドレが生き残ったとして)
私なりの物語を妄想してみました。
当時のフランス社会は無視してください。
オスカルの結核も、アンドレの右目が見えないのも、この際無し(笑)
で、行きます(._.)
ごめんなさい!
パラレルです(笑)
日本人医師は、あのドラマから来て頂きました!
南方仁(みなかた じん)jin先生です!
大好きなドラマでした。
もし、先生がフランス革命前後の欧州にタイムスリップしていたら、やはり最新医療を当時の道具で作り出し、最新の技術で人助けをしたんではないかと思いながら
オスカル、アンドレを託しました。
また、南プロバンスのアンドレの生まれ故郷の話は、
以前書いた
Fils du destin André ~運命の子~
から、アンドレの両親、親友等の名前をそのまま使い、連動させています。
合わせて読んで頂けましたら幸いです。
さて。
第5話目です😌💓
この作品は、pixivにて
2023年9月に書きました。
アメブロには2024年1月に掲載しました 。
今回、
一部訂正、追記あり。
が、
2024年3月から、
Xや、pixivのDMにて、たくさんの方々からリクエストがあり、
再度、改正版を連載させて頂きます♥️
皆様、誠にありがとうございました♥️
では、どうぞ〰️✨
~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨
.
大草原を
馬に乗って、ゆっくり歩いている。
あの森のような大木の下に、アンドレの両親の墓地で出会ったラサーヌの家がある。
「プロヴァンスではね、結構風が吹くんだ。
ミストラルと言って、時には大木もなぎ倒すんだ。それくらい強い風。でもあの大木は昔からビクともしなかった。…どんどん昔ここにいた時の事を思い出すよ」
「そうだな…小さかったアンドレの事を覚えている人たちもいるだろうな。話を聞きたい」
「…よし…ほら着いたよ」
アンドレが馬から先に降りると、オスカルは両手を広げた。
その仕草が愛らしく、即、抱き締めたい位だ。
オスカルを抱いて降ろし
ラサーヌの家のドアをノックしようとした先に
ラサーヌの妻。
カリンヌが現れた。
「アンドレ?…アンドレかい?」
「ラサーヌさんの奥さんって、カリンヌさんだったんですか?」
カリンヌもこのジャルジェ家の元領地に住む娘だった。小さかったアンドレをよく世話してくれた記憶がある。
ひとしきり、自己紹介と、
パリの話をしながら、カリンヌが作ったプロバンスの田舎料理を2人は堪能し、
まるで家族のように4人で楽しいティータイムが始まった。
その最中。
ドアをノックし、入ってきたのはこの領地の長老。
村長だった。
最初に気づいたオスカルは
スッと立ち上がると、長老に近づき、小声で話しかける。
「アンドレ・グランディエの妻、オスカル・フランソワ・グランディエと申します」
「……オスカル・フランソワ……?オスカル・フランソワと言いますと…あの…」
オスカルはティータイムでおしゃべりをしている後ろをチラリとみると、村長に、しぃ!と口元に人差し指を当て、
「村長にだけは真実を話します。外に出ましょう」
と、促した。
家の外にある長椅子に2人は腰掛け、オスカルは静かに村長に話した。
「私は、かつてこの領地の主だった、旧姓、オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェです。9歳の時に父上と視察にこちらに伺った時に、村長にお会いした記憶があります。覚えておられるか?」
「覚えております。オスカル様。ですが、ジャルジェ家に引き取られたアンドレと貴女様が何故…」
「アンドレは、私の従僕でした。いや…幼なじみのような関係…と言えば正しいかな?
小さな頃から、ずっと彼は傍にいて、私を守ってくれました。パリでの革命の時に私とアンドレは衛兵隊に所属していましたが、私達衛兵隊は市民側に付き、アンドレも私も国王派に撃たれ一時重症となりました」
「オスカル様が市民側に立って、バスティーユ牢獄を落とされた事は、話で聞いております。貴族階級を棄てて市民として戦った英雄だと。ただ、その後行方不明になられたと聞き、ずっと心配していました」
「先ほども申した通り、アンドレも私も銃で撃たれ、一時重症となり、身を隠していた。体調が回復したのは秋の始めだった。動けるようになってから、私の両親と、アンドレの希望もあり、こちらに参った。来月の私の誕生日には、アンドレと結婚式をあげる。宜しければ……村の方々も来てほしい」
「アンドレと結婚!?」
「そうです。私達は、紆余曲折を乗り越えて、愛し合った……いま、私のお腹にはアンドレと私の子がいる」
「なんと…!?そうだったのですか。よくご無事でこちらに来られました。歓迎致します」
「ありがとう、村長。ただ、この事は、村長だけの胸に収めて戴きたい。私がジャルジェの人間だと判れば、皆さんが恐縮される。私はもう貴族ではない。人間宣言の後、フランスから貴族はなくなったのだ。だが、まだ王制派と市民の部隊は小競り合いをしている。ましてや、私は王制派を裏切った謀反人だ。夫のアンドレと逃げるために、この地にやってきたのだから…」
「かしこまりました。マダム・グランディエ。…そうお呼びすればよろしいでしょうか?」
「まだ慣れていないが、頼みます」
「ではマダム。ご出産の時は、このアンドレの故郷にお戻り下さい。産婆もおりますし、村の女性達もご出産をお手伝いさせて頂きます」
「本当ですか?それはアンドレも喜ぶ!村長、感謝申し上げます」
「村長、オスカルさん、いつまで外でしゃべっているんですかい?お茶が冷めますよ」
ラサーヌが出てきて、2人に声を掛けた。
「ラサーヌ、わしは用事があるから、もう帰るよ。マダムに熱い紅茶を出しておくれ」
「村長、お帰りなさるんですか?」
「すまないな。…ではマダム。またお会いしましょう」
「ありがとう、村長」
オスカルは静かにラサーヌの家に入って行った。
夜。
アンドレとオスカルは、自分達のアパルトマンに帰って来た。
村長に自分達の話をした事を告げた。
アンドレはブロンドを撫で、
何度も何度も優しく頷いた。
今日は、色々な事があったので
オスカルは眠い、とアンドレにもたれかかり、目を閉じて次第に
うつらうつらし始めている。
暖炉の薪がパチンと爆ぜた。
「オスカル……オスカル……?もう眠い?」
「ああ、すまないアンドレ…。今日は色んな事が次々起きて…少々疲れた」
「じゃあ寝間着に着替えよう。マダムの夜着がいい?それともいつもの寝間着がいい?」
「アンドレの寝間着がいい」
「は?」
「アンドレが着ている大きな寝間着がいい。予備がないなら、アンドレと素肌で寝たい」
「予備はあるけど…。なんでまた」
「あの大きさが、いいんだ。私の身体がお前に包まれているようで」
アンドレは可笑しさに耐えられず、大笑いをした。
「なんで笑う?」
オスカルが急に膨れっ面になる。
「いや…。俺の寝間着を着て、俺の身体に包まれてるって思うんならさ、素肌でベッドの中で抱き合えばいいじゃないか?」
「……あ…やっぱりそうだな…その方が暖かいし、疲れも癒える」
そう言うと、オスカルは立ち上がり
「アンドレ、コルセットを外して」
とアンドレに近づいた。
スルリとコルセットが床に落ち、オスカルの肌着が蝋燭に浮かんだが、アンドレは抱き上げて、寝台まで運んで彼女をゆっくりと下ろした。
「今日は寒いから、毛布2枚重ねような」
オスカルは頬を赤らめながら頷く。
アンドレが寝台の横で服を全て脱ぐと、
オスカルが寝ているベッドに入り込んだ。
オスカルはすでに肌着も緩めていて、
脱がして欲しいと夫に囁く。
「俺の奥様は、とびきり可愛い甘えん坊だな」
「ばか。お前と2人きりの時だけだ」
脱がされながら、アンドレが妻の素肌を広い手で這う。
思わず
甘い吐息が漏れた。
「ア……ンドレ…」
「うん?」
「そんなに手を使われたら…お前が欲しくなる…」
「欲しいなら、欲しいと素直に言って。2人とも大怪我をしていた時は、抱き締める事も出来なかったんだから…ほら…見て……俺たちのこの傷…」
2人の素肌に残る銃弾の跡。
だが、手術のやり方が良かったのか、傷口は全て小さかった。
「私たち…傷だらけだな」
アンドレにゆっくりと愛撫されながらオスカルは囁く。
「ああ。生きているのが信じられない位だ。
そしてお前のお腹に、俺たちの可愛い子が宿っている事も…」
「ああ…」
オスカルの吐息は、やがて荒い息遣いになり、アンドレの思うがままに翻弄されてゆく。
アンドレの指使い、口づけ、肌に残す赤い跡…。
全てを互いに差し出し、愛し合う。
もう身分なんてないこの世界で。
まるで
1つに溶け合うように、寝台は軋んでいった。
⑥に続く