à la recherche de l'amour ~愛を探すひと~⑫

原作無視の、現代版オスカル、アンドレたちの物語その⑫話です。

すみません!書いてたつもりが、アンドレのsavonの店名を全く書いてない事に気がつきました!
アンドレの店名は
ブーケ ド サボン
bouquet de savon です。

で。
2人はパワースポットのセドナから帰り、パリに戻りました。
愛を確かめ合った2人。

この先、2人はどうなるのかな?

今回の小説は、R-18ではありません。

2人の自然体のまま、心のままの動きを、自然体で書きたいと思います。

映画を見るように、読んでくださいませ。

あ、そうそう。

昨日なに食べた?
みたいな雰囲気が好きなので、そんな感じでしょうか。

前回、ピンチョスと言うスペイン料理の名前がでます。
めちゃくちゃ美味しいんです!
詳しくはWikipediaでお調べください。
お腹が空きますよ〰️✨

えーと。
今年、2023年1月から○○年以上ぶりに絵の復帰をした時に、前々から描きたかった
オスカルがスーパーモデルだったら…

あちこちの女性誌の表紙を飾り、ヨーロッパだけでなく、世界中にファンがいるようなスーパーモデルだったら…と、描きためたオスカルの絵をモチーフに、春前から少しずつ構想をしていました。

小説を書く事は、2023年4月から再開しています。

詳しくは、プロフをご一読くださいませ

そして
アンドレの職業は…
実は、私の個人事業の内容です(笑)
一番今、私が詳しく知っている職業であり、大好きな作業、夢のある事業だと確信しているから。
アンドレに、この仕事をやってもらおうと思いました。
なので、アンドレが仕事の説明をしているセリフは、私が言っている事と全く同じです(笑)

私も、石鹸のオリンピックと呼ばれる
ソーパーズ カップで、2度優勝しています。
ただ、コロナ禍になってから出店を控えて、tweetでオーダーを受けています。




ああでも。
石鹸の他に、ハンドメイドアクセサリーを作ったり、客寄せの為に(めちゃ当たる事で有名なんです)占い師もしているトコは小説のアンドレとは違うかな(笑)


今の私だから、書ける所まで
気長に書いてみようと思います。

そして!

いいね。や、
嬉しい、楽しいコメント頂き、本当にありがとうございます!




この小説はpixivにて2023年6月1日に掲載したのを、修正、加筆してアメブロに連載しています。

それでは、どうぞ♥️







~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨






「え!?ホントですか!?」

オスカルは、携帯を握りしめ、驚いた。



アンドレの誕生日にプレゼントしようとした、真鍮の石鹸皿、10個。
すべて、手作りなので1つ1つ表情が違う。
それは、アンドレが喜びそうな皿になるだろう。




「この工房のオーナーが、商品と共に、お手紙を送って下さいました。この皿はスウェーデン産なんです」
店員からかかってきた電話だった。



「分かりました。すぐお皿を受け取りに行きます、手紙も受け取ります」

事務所で打ち合わせ後、かかってきた携帯を切った。

「ジェローデル、今日の予定はもう入っていないよな?」

向かいにいたマネージャー  ジェローデルが手帳を眺めた。

「はい。入っておりません。…お皿、とは何の事でしょうか」

オスカルは、マネージャーを睨んだ。

「プライベートだ」

「あ…申し訳ありません。来月の海外ロケがあるのですが。急遽決まりまして」

「いつ?」

「8月20日から半月ほど」

「それは無理だ。8月入ってすぐから一週間で海外ロケを勧めるように交渉してくれ。こちらにも大切な用がある」

それは、大切な人。
アンドレの誕生日。




「……畏まりました…。ではすぐ手筈を整えます」

「あと、ジェローデル」

「は、はい」

「海外ロケはまず私に早めに相談してくれ。今後は」

「申し訳ありません。畏まりました」

オスカルは席を立ち上がると、足早に事務所を出てタクシーを呼んだ。






あのショップがあるホテルで、porte-savon(石鹸皿)を受け取ると、店員が電話で話していた手紙を渡した。
待たせていたタクシーに乗り、アパルトマンに帰る途中、手紙を読んだ。


(親愛なる オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ

学生時代以来の懐かしい名前を聞き、思わずペンを取りました。私はハンス・アクセル・フォン・フェルゼンです。フェンシングの試合でよく手合わせしていましたね。風の噂で、あのスーパーモデル オスカル・フランソワが君だと知った時は驚いたよ。そして、元気そうで安心しました。私は今は自国に帰り、高級セレクトショップのオーナーをしています。この度のporte-savon、10個のご注文ありがとうございました。職人がこだわって制作しているので、8月半ばには到底間に合いそうもないので、私の色んな店舗からかき集めて、漸く10個になりました。プレゼントにされるとの事。間に合って良かったです。またいつか、懐かしい話でも致しましょう。それでは)





「フェルゼン…」


チクリと胸が痛む。
アンドレとフェンシング時代に会う前の話。
まだ試合に出たばかりの若い頃、
彼の紳士たる仕草や、ねぎらいの言葉に、遠い昔、淡い想いを抱いていた自分を思い出した。
名前を聞かなければ、記憶を無くしていた自分にとって、思い出す事もなかったろう。

フェルゼンは、私を覚えていてくれて、
今回の注文の為に、心遣いをしてくれた。

「ありがとう。フェルゼン…」

オスカルは豪華な袋を抱きしめ、呟いた。






袋は4階の自分のアパルトマンに置き、
5階に向かうと、アンドレは工房に居るのか、リビングには気配がなかった。

教えてもらった、ミント&レモンのハーブティーをキッチンで作り、工房のドアを叩く。

中で返事があった。



「アンドレ、今、帰った」

「ああ、お帰り。今日はもう仕事は終わり?」

「うん。終わった。ハーブティー作ったが、一息いれるか?」

「あ、ちょっと待って。すぐ終わるから」

アンドレの作るsavonは、かなり特殊なのか、固まるタイミングを逃すと、整形できなくなる。
前にオスカルは、そう聞いていた。

「アンドレ、リビングに居る」

「ああ。わかった。先に飲んでて」



トレイに置いた、ティー一式と、途中、行きつけのケーキ屋で購入した、カヌレ・ド・ボルドー(Cannele de Bordeaux)
をリビングのテーブルに置き、ティーとカヌレを少し口にした。




やっぱり、この部屋は落ち着くな…。

古いアパルトマンだけど、木の香りや、sabonの香りがして、気持ちがいい。


オスカルは、先に着替えを済ます為に寝室に行き、スペースを作ってもらった、自分のクローゼットからセドナで購入したワンピースに着替えた。




「オスカル、お待たせ。あ、カヌレ・ド・ボルドー? 美味しそう」

「アンドレ。手を洗って」

「あ、そうだった」




アンドレはエプロンを脱ぎ、手を洗うと、テーブルに付いた。

2人だけのティータイム。
今日の出来事の話で盛り上がるが、オスカルは例の皿の話だけはしなかった。

フェルゼンの手紙の事も。


「そうだ。アンドレ。私、明後日から一週間くらい、海外撮影があるんだ」

「そうなんだ。忙しそうだな。相変わらず。…で、何処でロケするんだ?」

「ロサンゼルス」

「暑そうだなあ。バテないように気をつけるんだよ?」

ああ、本当にこんな時のアンドレの言葉、声は優しい。
耳に美しく響く。

本当は離れたくないんだけど、仕事だから仕方がない。
でも、帰ったら、約束していた事がある。

「アンドレ、ロサンゼルスから帰ったら、savonの作り方を教えてくれるんだろう?」

「ああ。もちろん!いいよ。オスカルの好きな材料を選んで、オスカルのsavonを作ろう」

「ありがとう」
心踊るような喜び。



オスカルは、アンドレの後ろに立ち、そのまま彼の頬にキスをした。

そして、背中から腕を回し、アンドレの癖のある黒髪に顔を埋めた。



「こら。なにしてる」

「アンドレの匂いを嗅いでる」

「え?汗臭い?」

「違う。…savonの良い香り」

「だったらオスカルもsavonの香りがするよ」

他愛のない会話が、何より楽しい。



またパリに戻って来たら、ハンサムなアンドレの顔を眺めながら、ささやかな、こんな時間を過ごしたいな、とオスカルはふと思った。




「あ、オスカル。今夜は外食しよう。俺の行きつけの店」

「へえ。行きつけか。良いな。どんな店?」

「俺の故郷のプロヴァンスの田舎料理の店だよ」

「プロヴァンスの田舎料理!!楽しみだな」

「もう少ししたら俺も作業が終わるから、そうしたら夜までゆっくりしよう。あ、外食は変装するんだよ?」

「了解」

アンドレが1つオスカルの唇にキスをして、
ティーを片付け、また工房に戻って行った。

窓辺に、真新しい薄ピンクの薔薇が飾られていた。

最初、出会った頃は花を飾っているような部屋ではなかったが、オスカルが来てから、
アンドレは彼女の為に色んな花を花瓶に差すようになった。



二人で暮らす。



それは互いを思いやる所から始まり

どんどん、その思いやる温かい気持ちが、こうやって形になってゆく。

ピンクの薔薇の花びらを1つ引き抜き、
優しい香りを嗅いで

これは、アンドレの(思いやりの形…)


そう思うと、嬉しくなり




花びら1枚、口にした。








⑬に続く