Est-ce que je peux t'aimer
あなたを愛してもいいですか(後編)






ベルサイユのばら
漫画、アニメにもある、
オスカルのブラウスをアンドレがビリビリと破るシーン。
これ、「ブラビリ」と呼ばれています。


ブラビリの後、アンドレからの愛の告白を受けて、自分は、一体彼の何を見ていたのか?
見て見ぬふりをしていた自分に気がついて、
アンドレへの純粋な愛を気づいてしまったあと…

と、言う感じで書きました。
今回はアニメ寄りですが、原作もミックスしています。



私はアンドレ頑張れ!派です(笑)

そして、話が長くなりそうなので、
またもや、前編、後編になりました!

すみません!

声はもちろん

オスカル→田島令子様

アンドレ→志垣太郎様

で、妄想してください♥️


思い切り

R-18指定ですので、お気をつけ下さい。

夜中にこっそり読んで下さいね😁

では、どうぞ♥️



この小説は、pixivにて2023年7月31日に掲載したものを、一部改正、修正してアメブロに掲載しました。








~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨









湯浴みを済ませ、

私は自室で飲み物を待っていた。




アンドレに頼んだからだ。





1人でノルマンディーに来たものだから、夜着は、シルクの長いワンピースタイプ。
レースも刺繍もない。



色気、とは程遠い夜着。

その上に、カシミヤの大判ショールを肩に羽織り、寒さをしのいでいる。

私は、今夜の事を決心していた。


アンドレの心の傷を癒し、そして

その上で、ようやく気づいた私の想いに、応えて欲しい。と。






ドアのノックと共に
「オスカル、開けるよ?」

「ああ。どうぞ」

返事をすると、アンドレはお仕着せの姿で現れた。

見事に対照的な2人。

アンドレから
「もう寝間着?早くないか?いくら暖炉があるからって…」

「湯浴み後に、ブラウスにキュロットなんか履けるか?お前こそ、なんでそんな格好…。湯浴みの後だぞ?屋敷でも、湯浴みの後のお前はシャツにキュロットなのに」
私はおかしくて、小さく笑った。

「ここは、侍女も給仕がいないからな。だからこれを着ただけだよ」

アンドレはテーブルに、高そうなワインを置いて、コルクを開けた。



「屋敷から何本か持ってきた」

「え?…。それは…帰ったら怒られるぞ」

「了解は得てるよ。オスカルが好みのワインをノルマンディーに持っていけと、料理長から渡されたんだ」
(本当は、奥様から頼まれたんだけどな)

「あの料理長が、そんな事を言うのか?珍しい」
私は、アンドレが何か理由があって、嘘をついているなと察した。
でも、今はそんな事はどうでもいい。

楽しい気分で、2人の時間をゆっくり過ごしたかった。

「アンドレも飲むんだぞ。お前、パイを届けたら帰るつもりだったんだろうが、さっき、早馬で母上に手紙を送った」

「…え!?」

「アンドレは、私が屋敷に戻る日まで身の回りの事をしてもらうと。あと…」

「……」

「母上のご温情に感謝申し上げます。私も漸く目が覚めました。私は母上の娘として生まれて、本当に良かったです…と」

「オスカル…」


ワインを注ぐと、アンドレは私に渡した。

「merci!乾杯しよう」









「オスカル…。お前が酔い潰れるなんて珍しいな。立てるか?」

テーブルには5~6本の空になったワインボトルがある。





私は酔い潰れてはいない。
アンドレに、寝室まで運んで欲しかったからだ。

テーブルで寝たふりをしていると。

身体が、ふわりと抱えられ
思わず、眼を開けそうになった。



アンドレは2杯位しか呑んでいない。
それは、私への配慮なのかも知れない。



そんな事、考えなくてもいいのに…。

寝室のドアが開く音がして、私の心は震えた。

その無意味な怯えを手離さなければ…。


身体が、柔らかい寝台に、そっと置かれ、毛布をゆっくりと被せられようとした時。

私は、アンドレの腕を掴んだ。




「……起きてたのか?」


「アンドレ…。私から離れないで欲しい。そういったのを忘れたか?」

「聞いたけど……。今?」


「わ……わたしは……今…お前に愛されたい…」


自分でもわかる。
顔が赤くなっているのを。

ぎこちない言い方しか出来ない、
まるで小娘みたいな言葉しか唇から出てこない事に、恥ずかしくなった。



「オスカル…」
その声は上ずっていた。

彼が、お仕着せの袖口を私から引こうとしたので、
私は思い切り寝台にアンドレを引き入れた。

私のすぐ上で、黒曜石の美しい、
たったひとつの瞳が


揺らいでいる。



「離れないで。今までもそうだったように……この先も……。私を心から愛してくれているなら…。あの日の私の過ちを、ここでやり直したい」



ああ、私のばか。

なんて、下手くそな言い回しだ。

こんな時、普通に女性として育ったものは、
一体、何と言うのだろう。



アンドレは、私が捕まえていたお仕着せの袖口に手を添えて、私の指をゆっくりと離す。


「オスカル…。お前は判らないだろうけど、女と違って、男は本気で愛する女に…血が逆流しているかと思う位、感情が止められない。もしかしたら、あの時のオスカルに与えてしまった恐怖を思い起こさせる事になるかも知れない…。俺は…それが…一番怖い」

「では……。私を抱きしめてはくれないか?……その後は、お前の思いに、身を委ねたい」

「いいのか?それで」
アンドレが寝台に沈む私の眼をじっと見つめてくる。
私は半身を起こし、アンドレの上着を脱がせた。

その後。

アンドレはシャツとキュロットを着たまま、私の隣に身を置いた。
アンドレの…昔から変わらない、
日向のような、香りを間近で感じた私は
子供の頃に帰ったように、彼の温かい胸に顔を埋めた。

「小さな頃…」
思い出した風景を辿るように私は彼の胸の上で囁く。

「蔓草を編んで、小さなトンネルを作って、その一番奥に作った、私達の秘密基地…。覚えているか?お前がまだ屋敷に来て間もない頃だ…」
アンドレの胸に耳を当てると、少し早めの心臓の音が聞こえくる。

「ああ。作ったなあ。秘密基地。でも蔓草の成長が早くて、3日も経てば、何処が入り口なのかもわからなくて…お前から、探してとせがまれて。ずっとずっと探してて。夜になっても結局見つからなかったんだよな」

「そうだったか?…」

「そう。そして、夜に2人が泥や土まみれで屋敷に帰ったから、俺が悪者にされて、おばあちゃんにこっぴどく怒られた。でも、奥様が後から俺に謝って来られたんだ。お前が奥様に事情を話してくれて、オスカルは奥様に、アンドレは悪くない!って、言ってくれて…。貴族なのに、平民の俺を庇うなんて…と、俺は心底驚いた」

「すまない。私はそこは覚えていない…」
私が見上げると、アンドレの顔は、優しさに溢れていた。

「いいよ。あの頃は日替わりで、色んな遊びや、悪戯をしたものさ。ただ、俺があの日の事がきっかけで、対等に見てくれているお前を、心から守りたい、そう思ったんだ」

「今でも、お前は私を守ってくれている。私が7歳の時からずっと…。なのに……なのに……」

「オスカル?」
私は、涙が止まらなかった。

「お前の思いに…もしかしたら、気づかない振りをしていたのかも知れない…」

ふと。

アンドレの唇が、私の目尻にキスをした。
そして、涙を優しく吸い取る。

アンドレの優しさが、悲しいほど胸に迫る。

止まらない涙を、節のある指で掬いながら、アンドレは微笑む。


「オスカル。俺の両親が生きていたら、俺は南プロヴァンスの故郷でずっと暮らしていただろう。オスカルも、女性として育てられていたら、14、5歳でお嫁に行っただろう」

「……え…?」

そんな事、考えた事もなかった。
だから、その言葉に動揺してしまった。



「あ、もしも、の話だよ?…もしそうだったら、俺たちは出逢わなかった」

「それは…嫌だ」

「俺も嫌だよ。だけど、こうして出逢えて、今、俺たちはこうしている」

「うん…」

「これは、運命なんだよ。出逢うべくして出逢った。偶然なんかじゃない」




そう優しい声で言うと、アンドレは私の唇に、口づけ、そして

忍び込んだ。

両手を捕まれ、熱くなる口づけは、とても長い気がした。


唇が離れると、私はまた寂しくなり、唇を重ねた。

何度も何度も、それを繰り返した。


彼の手が、寝間着の上から私の胸の膨らみを包む。
私は、自分でも聞いた事のない声色をあげた。

コルセットは外している。

揉みしだかれ、それは熱く気持ちよく

止められない甘い声をあげるしかない。


アンドレの手が次第に私の寝間着の下に下がり
裾を見つけてめくり上げ、
今度はその熱い手が、直に私の足、腿、そして秘部へと上がり、指を滑らせた。




「オスカル。嫌だったら言ってくれ。お前の悲しい顔は見たくない」

「大丈夫…。アンドレ…、肌に触れたい。お前の肌に…」
私がそう言うと、アンドレは寝台から降りて、全てを脱ぎ去った。



私も、まどろっこしい寝間着を全て脱いだ。
でも。
恥ずかしさの余り、寝台に入るとシーツを巻き付けてしまった。



たくましい男の裸体が、再び寝台に乗り上がる。

私は、恥ずかしくてたまらなかったが、彼の全てが欲しい。そう思った。

「シーツ……取るよ…」
私は、黙って頷いた。




灯り取りの燭台が4つ。
寝台の傍にある。

そのほの暗い灯りの中で、私の身体をアンドレに晒した。

ゆらゆらと燭台の灯火に浮かぶ私の裸体。
アンドレは、眼を凝らして、じっと見つめていた。

「アンドレ…私の身体は、魅力もない。恥ずかしい…」

そう小さい声で伝えてみたが、
「綺麗だ…。想像を遥かに凌ぐ美しさだよ…」

「アンドレ…アンドレ…。離れないで…。お願い…私を抱きしめて…」
アンドレがシーツをゆっくりと剥がして行く行為が、じれったく感じて

私は、シーツを下半身に残されたまま、アンドレに抱きついた。

互いの息が交差している。

ああ…アンドレの匂い…。
懐かしい。
生まれる前から知っていて、ずっと傍に居たような…。この懐かしさは…何だ…?

永遠を思わせる唇を重ね、私たちは互いの熱を直接感じ、言われぬ程の歓喜に身悶えた。

アンドレの指が。

アンドレの唇が。

私の首筋に、胸の膨らみに、胸の谷間に、腕に、腿に、内股に、足の指に、背中のあちこちに、
唇で強く吸い、跡を残し、私は甘い声を上げ続けるしかなかった。

「オスカル…大丈夫か…?」

「…大丈夫…」

もっと甘い、甘美な果実に触れて欲しい。

そう、彼の耳元で囁いた。

アンドレの指が、私の秘部に辿り、
その指が、私の中に入ってゆく。
そこは自分でも不思議なほど、濡れていた、

「…あ…!……ああ……ん……!ア…アンドレ…あッ…」

私の中で、水音を立て、難なく蠢く指に、
気持ちが高揚し、

腰が無意識に震えてしまう。
気持ち良すぎて、もっと…とせがむ。
アンドレのその手に、私は手を添えた。
同じようにアンドレのリズミカルな甘い動きと共に私の手も旋律を奏でる。

水音は、もっと大きく聞こえて、熱くなった身体がどうにからなりそうだった。

「あ…アンドレ……アンドレ……あ…あ…もう…ッ…」

「いきそうか?じゃあ、このまま指を早めるよ」

「あッ…ん……んん…ッ…」

早める…?
それはどうなるのだ…?

そう思った瞬間。

私の中にアンドレの指が2本入り、中の膣が押し広げられながら、まるでピストンのように擦り上げられ、
私の下半身が、足の指先が、燃えるほど熱くなり、
快感が一気に広がった。

「アンドレ…!ああ!……ア…ンドレ…!」

最後に私の腰が震えて、大波はゆっくりと静まっていった。

でも、身体は離れたくない。

私は、抜き取られたアンドレの指を見て、興奮しているのが判る。

もう理性などいらない。
今は女の本能に全てを委ねたい。

私は、濡れたアンドレの指をつかみ、そっとアンドレ自身に塗りつけた。

「オスカル…」

「それを…私の中に…」

「…ああ…」

私は傍にあるアンドレの唇に口づけ、舌を絡め合い
再び、大波が2人を包むのを感じた。

私の股は、広げられ

濡れた秘部の中に、ゆっくりと彼が入ってゆく。

最初は痛みが来たが、中に深く侵入してゆくにつれ、圧迫感より、私たちがひとつになってゆく嬉しさで、腰が震えた。


寝台が、軋む音。

絡み付く二つの身体。

汗と、互いの匂い…。

全てが夢の中のようで

全てが現実の事。


何度も何度も、朝がくるまで
私たちは、熱く激しく、ひとつにつながり

何度も寝台は揺れていた。




翌日からは

遠乗りへと海辺に出かけ、あの小屋で
私たちは夕刻になるまで互いの身体を指で触れあい
互いの感じる所を見つけ、
本能に任せて、愛を深めあった。



そうして。

ノルマンディーの別荘からベルサイユの屋敷に戻る朝。

私達は裸のまま、寝台で夜明け近くまで
何度も何度も、愛を確かめた。

私はこの歳になるまで、
知らなかった男の肌に溺れそうになっていた。

これが私の本能で

これが、この先、秘めていかなければならない
もう1人の私が
生まれたのだ。





アンドレをこの先も見つめていたい。
肌に触れていたい。
触れられていたい。




薄く、ゆっくりと意識が覚めてくる。

私は色んな言葉を頭の中で、語っていた。


その、行き着いた先の
最終的な想いは…。


(…もしも、この行為で…私の身体にアンドレの子を宿したとしたら…)



私は、隣で眠る愛しい彼を見つめた。

「……私は……お前の子を…産みたい…」

小さく呟いた。
何に変えても。
何を代償にしたとしても。





そして、眠るアンドレの唇に、ついばむように口づけをした。




愛する男の香り…。

お前の香り…。

私は、お前のものだ…。

この髪も、身体も

私の全ては…


「……ん…」

アンドレが、私の口づけで目が覚めた。

そして彼のたくましい腕が、私を包む。

少しざらついたアンドレの頬が、私の首筋を撫で、心地よい香りがした。

「おはよう、オスカル…眠れた?」

「お前と一緒だとよく眠れる」

「そうか……良かった」

そう笑い、アンドレは私の髪を整えてくれた。



「アンドレ…今日、ベルサイユに戻る」

「うん…そうだな…」

私は目の前にある彼の開かない左目と、鼻筋と、唇に続けてキスをして、言った。



「出発する前に…お前に言いたい」

「……なにを?」

「……ベルサイユに戻っても、このように抱いてくれるか…?」

アンドレは、それは二人の秘め事になるな、と笑った。
「そうだ…秘め事だ…。私はもう前の私ではない…」


絡み合う瞳。
愛おしい黒曜石の。

「もし…私がお前の子を宿したら……産みたい。きっと母上や姉上たちも歓迎してくれるだろう。女同士の絆は深い」

「オスカル…本気か…?」

「本気だ」

アンドレが、抱き寄せ、長い口づけをしてくれた。

胸が、疼く程の…。




「アンドレ……ノルマンディーを経つ前に、お前に言いたい…」

私は、もう一度、彼の髪をまさぐり、髪の香りを嗅いで、

ずっと頭で繰り返していた言葉を

ようやく口にした。







「 アンドレ……あなたを愛してもいいですか…?
もっと深く…
もっと激しく…
私が、私でなくなる位に…

あなたを愛してもいいですか…?」


「André... puis-je t'aimer...?
Plus profond…
Plus fort…
Au point que je ne suis plus moi...

Est-ce que je peux t'aimer...?」



アンドレは、いつものようにあたたかい優しい笑顔を見せると、こう私に 囁いた。



「オスカル……あなたを愛してもいいですか…?
もっと深く…
もっと激しく…
俺が、俺でなくなる位に…

貴女を、貴女以上に、深く愛してもいいですか…?」



「Oscar... puis-je t'aimer...?
Plus profond…
Plus fort…
Au point que je ne suis plus moi...

Puis-je t'aimer plus profondément que toi...?」




そして、もう一度

口づけた。

まるで


私たちの宣誓式のように、二人は神聖な顔つきで、

誓いを立てたのだった。






fin