à la recherche de l'amour ~愛を探すひと~⑪






原作無視の、現代版オスカル、アンドレたちの物語その⑪です。

すみません!書いてたつもりが、アンドレのsavonの店名を全く書いてない事に気がつきました!
アンドレの店名は
ブーケ ド サボン
bouquet de savon です。

で。
2人はパワースポットのセドナから帰り、パリに戻りました。
愛を確かめ合った2人。

この先、2人はどうなるのかな?

今回の小説は、R-18ではありません。



2人の自然体のまま、心のままの動きを、自然体で書きたいと思います。

映画を見るように、読んでくださいませ。

前回は、パワースポット(ボルテックス)での、夏至の日から話が始まりました。
すごく大切な日なので、かなり調べて書きました。

何気ない6月21日ですが、世界中のパワースポットでは、夏至ならではの様々な儀式や、奇跡が体験できます。
皆様も神社に手を合わせるように、夏至の日に、自然に感謝する気持ちを持って頂けたら、もしかしたら、奇跡を体験するかも知れませんね。

前回、ピンチョスと言うスペイン料理の名前がでます。
めちゃくちゃ美味しいんです!
詳しくはWikipediaでお調べください。
お腹が空きますよ〰️✨

えーと。
今年、2023年1月から○○年以上ぶりに絵の復帰をした時に、前々から描きたかった
オスカルがスーパーモデルだったら…
あちこちの女性誌の表紙を飾り、ヨーロッパだけでなく、世界中にファンがいるようなスーパーモデルだったら…と、描きためたオスカルの絵をモチーフに、春前から少しずつ構想をしていました。

小説を書く事は、2023年4月から再開しています。

詳しくは、プロフをご一読くださいませ

そして
アンドレの職業は…
実は、私の個人事業の内容です(笑)
一番今、私が詳しく知っている職業であり、大好きな作業、夢のある事業だと確信しているから。
アンドレに、この仕事をやってもらおうと思いました。
なので、アンドレが仕事の説明をしているセリフは、私が言っている事と全く同じです(笑)

私も、石鹸のオリンピックと呼ばれる
ソーパーズ カップで、2度優勝しています。
ただ、コロナ禍になってから出店を控えて、tweetでオーダーを受けています。
お探し頂けましたら嬉しいです😌💓






ああでも。
石鹸の他に、ハンドメイドアクセサリーを作ったり、客寄せの為に(めちゃ当たる事で有名なんです)占い師もしているトコは小説のアンドレとは違うかな(笑)



そして!

いいね。や、
嬉しい、楽しいコメント頂き、本当にありがとうございます!
尻尾振って喜びます♥️

どうぞよろしくお願いいたします♥️


それでは、どうぞ✨🔔🌹


この小説は2023年5月28日pixivに掲載したものを、修正し、挿し絵を新たに描きまして
こちらに掲載しています♥️



~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨





某ファッションブランドの新作コレクション



その、フィッティング(衣装合わせ)をする為、
パリの高級ホテルの会場まで、アンドレは車で連れて行ってくれた。

「また後で。帰りはタクシーで帰るんだろう?」
蚤の市出店用のキャンピングカーのウィンドウを下げて、アンドレは降りたオスカルに言った。

「ああ。終わったらすぐ帰る。ディナーをよろしく」

「オッケー。帰ったらすぐ作る」

2人は手を振って別れた。


ホテルに入ろうとした時




「オスカル嬢…」
亜麻色の髪のマネージャー
フローリアン・F・ド・ジェローデルが入り口で立っていた。

「なんだ。ジェローデルか。私に急な仕事でも入ったのか?」

「いえ……。先ほどの男性。まだお付き合いをされているのですか?」

「いけないのか?」

「そう言う訳では…。貴女は世界一のスーパーモデルです。どこの馬の骨ともわからぬ男性とお付き合いをされても…」

「アンドレは、素晴らしい職人だが?」

「そうですか…。あと、アパルトマンにあまり帰られておられぬご様子。あの方と一緒に住んでいるのでしょうか?」

「詮索はよせ。私はお前の父親…ボスと契約した時にこう言った。(私のプライバシーには一切、エージェントは関わらない事。私を縛らない事。私を自由で居させる事。ギャラは最高水準にする事)。ボスは承諾している。マネージャーのお前には関係はない。もうこの話は終わりだ。フィッティングに行く」
ジェローデルの肩をすり抜けて、オスカルはホテルに入った。

オスカルにはわかっている。
ジェローデルが、私に好意を寄せている事を。

だが、ボスの息子だ。
エージェント側の人間だ。

私、オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェをモデルにし、一代にして世界最高水準の売り上げ築きあげたエージェント。
逆に言うと
オスカルなしでは、すぐに潰されるエージェントでもある。


いくら、破格のギャランティをオスカルに惜しみ無く出しているエージェントだとしても、自分は一生スーパーモデルをするつもりはない。
先のビジョンは頭の中にある。
オスカルは、自分の価値を冷静に見据えて、今の仕事を誇りを持ってしている。

エージェントの人間とはあまり関わりたくない理由がそれだった。
得られる情報と、経験だけが自分のビジョンになる。そう考えていた。




ホテルのフィッティングルームに案内されると、
20人ほどのオーディションに勝ち残ったモデル達が一斉にオスカルを見た。

若い彼女たちは、明らかにオスカルをライバル視している。

ただ1人を除いては。

「オスカル様!」
ブロンドで、瞳が大きく、可愛らしい新人のモデル。
ロザリー・ラ・モリエールが駆け寄ってきた。
ロザリーは、うちのエージェントの後輩になる。

「ああ、ロザリー。久しぶりだな。先日は、SABONの紹介をしてくれて、ありがとう。すっかり気に入ったよ。…それに…」

「ジェローデルマネージャーから聞きました。例の、あのsavon職人さんとお付き合いされてるとか。
ホントなんですか?オスカル様が職人さんとお付き合い、って、ビックリしました。
今までオスカル様に言い寄ってきた殿方は、みな大富豪でしょう?」

「ロザリー、声が大きい」
シーッとロザリーの口許に指を当てた。



「ロザリーにだけ言うよ。私の初恋の人だったんだ」

「…え!?」

そう話している間に、
デザイナーが来て、フィッティングルームにいるモデル達に言う。
「今回のテーマはエシカル。自然回帰。女性が生き生きする世界を各々のオリジナリティを活かし、フィッティングしてもらいます。あと、オスカル・フランソワは、特別待遇でオープニングとエンディングにランウェイしてもらいます」

「了解」
手短にオスカルは答えた。

「じゃあ、ロザリー。また後で」

「はい。また聞かせてください」
愛らしい微笑みで、ロザリーはフィッティングスタッフの所に向かった。


「さて。私が着る服は…」

「オスカル」
そう呼ばれて、振り返る。
デザイナー本人だった。

「貴女、最近、とっても表情が柔らかく、優しくなったけど、恋でもした?」
さすが、美のマジシャンと言われるデザイナーだった。

「ええ。ただ、大富豪ではないですが。とても素敵な人です」

「そうなの?貴女を想う男性は、みな、大富豪ばかりだから。…あら、貴女のお洋服、珍しいわね」

オスカルは、セドナで購入したワンピースを着ていた。




「いつもは全身、真っ黒なのに」
オスカルは、笑って答えた。

「私を闇から引き上げた時にこんなスタイルをしていたのを思い出して、先日セドナで見つけてきたんです。一番これが私らしい私服だと」

「貴女、中身も変わったのね。なんだか乙女のようにたおやかになって。あ、そうそう。そんな貴女の変革を聞いて、今回呼んだの。自然回帰、エシカルにピッタリだわ」

「ありがとう。私も自然は大好きです。お力になれれば」

「今日のフィッティングの中には、オスカルにピッタリのは出来てないから、今のあなたをイマジネーションして、新たに作るわ。楽しみね」


デザイナーが去っていった。
回りではフィッティングが始まっている。
その中で、オスカルの噂話をしている若い子達の声が聞こえた。



「なんか、石油王の愛人だってきいたわ」
「うそ!私は大手IT企業の会長の愛人だってきいたわ」


(そんなのいるわけないだろう。アンドレが聞いたら卒倒するな…)


「ランウェイのギャラ、聞いた?一回68万ユーロ~200万ユーロですって!」
(日本円にして、1億~3億)



(まあ、近いか…。もっと上だが)


「私、その10%位よ」
「世界中のビル広告にあの女の写真があちこちあるんだから、ムカつくわ」
「ホント。もう30歳以上なのにさ」


(うるさいな!)



オスカルはお喋りする20代前半の子たちの前に立ち


「悔しかったら、私のように血の滲むような努力をしろ。自分の付加価値を上げる努力をしろ。それが出来ないなら、モデルは続かない。忠告だ」

そう言い残し

オスカルは身支度を済ませ、ホテルを出ようとした。





ホテル内にある、小さなお店に目が止まる。

ショーウィンドウを覗くと、金色の真鍮の
porte-savon(石鹸皿)が、照明灯で輝いていた。


これ…。いいな…。
アンドレのsavonに絶対合う。
バスルームに沢山並んでるsavonの皿にしよう。
来月、アンドレの誕生日だし。




店員が来た。
「貴女はモデルの…オスカル・フランソワ様?」

「あ、そうです。あの、これを10個欲しいんですが」

「こちらのsavon皿ですか?少し日数が掛かりますが…手作りなので」

「8月中頃までなら待ちます」

「かしこまりました。明日デザイナーに聞いてみますね」
店員は店のカードをくれた。




オスカルはタクシーに乗り込み、アンドレの自宅に戻ってきた。

「ただいま」

キッチンからいい香りがする。

奥で、おかえり、と声がした。


セドナで買ったオリエンタルなサンダルを脱いで、キッチンに入ると、色んな皿に、色んな形の、小さくて美味しそうなものを見つけた。

「早かったね」

「デザイナーが、私の服を見てインスピレーションが湧いたから、フィッティングはまた近々になるそうだ」

「ヒッピーの服をみて?」

「おかしいか?」

「いや、そうじゃなくて、そのスタイルはまた違うオスカルの可愛さが出て、俺は好きだよ。デザイナーも、それに気がついたんじゃないかな」

「デザイナーは、私に(貴女、最近表情が柔らかくなって、より一層美しくなったわ)と、茶化してきたけど」

盛り付けた皿を並べながら、アンドレは
「茶化してなんかないよ。美しさに、可愛さが300%増しになった」

「なんだ?それ……あ!これ、ピンチョス!?スペイン料理の!」

「オスカル、好きだろ?他にも作ったよ」

奥から、干し鱈を水で戻して作ったピルピルが出てきた。



ピルピルとは
スペイン・バスク地方の伝統料理
大航海時代からある船乗りの料理である。
干しダラを長時間かけてオリーブオイルで熱を加え、旨味とゼラチン質を出す。
タラの水分とオリーブオイルを攪拌して乳化させ、タラのゼラチン質でソースを固めれば出来上がり。

「美味しそう。アンドレ、色んな国の料理が作れるんだな。世界旅行に行った気分になれる」

「そう?良かった」

アンドレもテーブルの椅子に腰掛け、クラフトビールをグラスに入れた。


「じゃあ。いただきます」
「うん。たくさん食べて」

乾杯をし、2人は飽きることなくお喋りをした。





食事を終え、アンドレが片付けをし、洗い終わってオスカルの好きなショコラにシナモンをアレンジしたものを持ってきたら…。

オスカルは、ソファーでうつらうつらしていた。

「オスカル。風邪引くよ」

「眠い…」

「ん?もう寝る?今朝の約束は?」

「んー?なんだ?約束って」


もうすっかり忘れている。

まあ、ビールをグラスで6杯も飲んだんだから、眠くなるか。

アンドレは、作ってきたショコラを口に含むと、

オスカルの唇に寄せて

流し込んだ。

「シナモン…。美味しい…」

半分寝ている

アンドレは笑って、
「明日、作り直すから今日はもう寝よう」

「アンドレ」

「ん?」

「連れてって。立てない」

はいはい。お嬢様。

前にオスカルは言った。
(アンドレ、私はお前にしか甘えられない。他の人には出来ないし、やらない)
そう、可愛い事を囁いていた。




抱き上げ、寝室に入る。

「オスカル、パジャマ着る?」
とりあえず聞いてみる。
これが日課だ。



「嫌。アンドレの素肌に包まれたいから、やだ」

必ずこう返ってくる。


そうして、アンドレは彼女の服をゆっくり脱がせ、
自分も全てを脱ぎ去り、
2人でベッドに横になる。

そうなると
アンドレはオスカル姫の言いなりになるしかない。

頭を撫でろ

抱き締めろ

キスをしろ


半分寝ながらも、やたらとオーダーが多い。


そして。

最後には


「このsavonの香り……アンドレの香り…たまらない……愛してる…」


と、すっかり寝てしまう。



アンドレは、寝てしまったオスカルの顔の化粧を、ゆっくり優しく落としてやると


「また、明日。可愛いオスカル」

そう言って


艶々の彼女の唇に、そっと優しく唇を重ね、
ブロンドを撫でていると




次第に自分もオスカルの香りに包まれて
2人は静かに寝てゆくのであった。


深夜2時。













⑫に続く