à la recherche de l'amour ~愛を探すひと~⑤






原作無視の、現代版オスカル、アンドレたちの物語その⑤です。
すみません!書いてたつもりが、アンドレのsavonの店名を全く書いてない事に気がつきました!

アンドレの店名は
ブーケ ド サボン
bouquet de savon です。

で。
この先、2人はどうなるのかな?


えーと。
今年、2023年1月から○○年以上ぶりに絵の復帰をした時に、前々から描きたかった
オスカルがスーパーモデルだったら…
あちこちの女性誌の表紙を飾り、ヨーロッパだけでなく、世界中にファンがいるようなスーパーモデルだったら…と、描きためたオスカルの絵をモチーフに、春前から少しずつ構想をしていました。

詳しくは、プロフをご一読くださいませ

そして
アンドレの職業は…
実は、私の個人事業の内容です(笑)
一番今、私が詳しく知っている職業であり、大好きな作業、夢のある事業だと確信しているから。
アンドレに、この仕事をやってもらおうと思いました。
なので、アンドレが仕事の説明をしているセリフは、私が言っている事と全く同じです(笑)

私も、石鹸のオリンピックと呼ばれる
ソーパーズ カップで、2度優勝しています。
ただ、コロナ禍になってから出店を控えて、tweetでオーダーを受けています。


ああでも。
石鹸の他に、ハンドメイドアクセサリーを作ったり、客寄せの為に、占い師をしていたのは、
現代アンドレとは違うかな?


savonにご興味おありの方は、
ツイッター(X)で、刀能京子で検索してみて下さいませ♥️

それでは

どうぞ♥️







~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨~✨








オスカルが、アンドレのアパルトマンに1ヶ月滞在する、と宣言したその夜。

アンドレの店 

(bouquet de savon)ブーケ ド サボン

に、急ぎの注文が3件入り、週末のヴァンヴの蚤の市で渡す事になり、アンドレは、工房にお篭りをしていた。




ヴァンヴの蚤の市は、
他の蚤の市と違い、様々な高級ブランド品や
ビンテージの品揃えが豊富で、客層も品が良い。
アンドレのキャンピングカーのsavonの店
bouquet de savon も、高級な材料で作ったsavonが人気だった。





オスカルには夕方、食事を作り寝室で食べている筈だ。


リビングにあったテレビも、オーディオも、オスカルの為に寝室(俺の、だけど)に置いてやり、ミニ冷蔵庫も昼間に購入し、ベッドの側に置いてやった。
まるで、お姫様扱い。

で、アンドレは
「急ぎの注文が何件か入ったから、俺、工房に籠るから。何かあったら携帯で呼んで」

と、伝えてから5時間。
携帯は鳴りもしなかった。

時計をみたら、もう夜11時を回っていた。

「取り敢えず、SABONは出来た。ラッピングは明日朝すれば、週末に間に合うな」

肩をコリコリと鳴らしながら、アンドレは工房室から出て、寝室のドアをそっと開けた。

オスカルは、ベッドの上に半身を起こし、興味なさそうにドラマを観ていた。




「アンドレ。終わったのか?」
「ああ。やっと一区切り着いた。晩御飯は?」
「1人で食べた」

1人で、に、刺がある。
昨夜
一緒に食べようと言われて、嬉しそうにプロヴァンス料理を2人で食べた。
本当に嬉しそうに。

自分のアパルトマンには誰にも入れない。と言っていた彼女は、いつもと違う今の状況を楽しみたいだけなんだろう。
そうアンドレは自分を納得させていた。





「俺と一緒に食べたかった?」

「まあ…うん」
オスカルはテレビをずっと見つめていて、振り向きもしない。
そのベッドの端に座るとアンドレは、
「顧客あっての仕事なんだ。許してもらえますか?」
そう言ってオスカルの顔を見ようとブロンドに顔を近づけた。
途端にオスカルが振り向く。


ゴツ!

と、2人の額がぶつかった。
「いってえ…」

「痛たた…」
2人が額を押さえて、ベッドに突っ伏した。

暫くして、2人が笑い始める。




「アンドレ、色気もなにもないな、私は」

「ホントだよ!しかもお前は無防備だし」

「何にだ?」

「……あのさ。俺、男なの」

「そんな事はわかってる」

「俺と一緒に寝たい、とか普通出会って2回目で言わないよ?」

「それなんだが」

「何だ?」

「私にもよくわからないんだ。本来、私は人一倍警戒心が強い。エージェントも、ボスも、マネージャーも、皆私の顔色を伺って、私に誰も文句を言わないし、言わせない。私が彼らをあまり信用していないな、と自分でも思ってる」

「酷い言いようだな」

「それもわかってる。でも、誰にも邪魔されたくないし、自由でいたい。制約に縛られるのも御免だ」

「昨日も、それ、言ってたよな」

「……それが。お前は、何か違うんだ。一緒にいて楽しいし。身近にお前みたいな人間はいなかったから、すごく新鮮なんだ」

「俺が変わり者みたいな言い方だな」
アンドレは、クスクスと笑う。




「俺からしたら、オスカルの方が変わり者だけどな」

「じゃあ、お互い様だ。変わり者同士だ」

「俺はいたって普通です」


「それ!」
オスカルはアンドレの顔面に指差す。
その指をアンドレは手で優しく掴み、

「どれ?」
と、顔を再度オスカルに近づけた。





オスカルは真顔だ。
「私の回りには、普通な奴はいなかった。モデル業界は、めんどくさいセレブの集まりだからな」
オスカル、こんなに顔が近いのにドキドキもしないのか?俺は男だぞ?
「うん。それで?」
仕方なく尋ねた。

「皆、馬の目を射貫く連中ばかり。隙を見られたらすぐ蹴り倒される」

「だから、オスカルは心を開いてない、って訳だ」

「ああ。モデルになったのも、外国にいた時にスカウトされたんだ。やることがなかったから、始めた。そうしたら、私にも分からんが、人気が出てきて、あっという間にスーパーモデルともてはやされるようになってしまった」

「それが楽しくないの?」

「え?」


アンドレはオスカルの白い指を撫でながら、
「楽しいからモデルをしてるんじゃないのか?色んな広告を見たけど、あれは楽しそうに見えたよ」

「そういう顔を作っているだけだ」

「そうか…」

それも寂しいな。
オスカルには自由に楽しく生きて欲しい。



アンドレはオスカルの白い指から手を離し、リモコンでテレビを消した。

「オスカル。俺もう眠い。横になってもいい?」

「あ、すまない」
と、オスカルはキングサイズのベッドの上で身をずらし、アンドレが寝るスペースを作った。

「ありがとう。あと、もう一回聞くけど、ホントに一緒に寝ても大丈夫なのか?」

「どうして?」

一瞬、オスカルの顔が寂しそうになる。



「昨日、一緒に寝てくれただろう?savonの香りがして、安心して寝れた」

「……そっちか…」
まあ、ありがたいけど。




「わかった。1ヶ月な。お前の抱き枕になればいいんだな?」

「抱き枕じゃない」

オスカルはキングサイズのベッドの上で、アンドレに近づき、彼の喉元に顔を埋めた。

(これは…もう、生殺しだってば!)

「アンドレ…」

「な、な、な、何?」

「揺りかごの中にいるみたいだ。私を守ってくれる優しい揺りかご…」

「狼になるかも知れないんだぞ、男は」

その言葉に、ふふっとオスカルは笑う。その息がアンドレの喉元にかかり、気が遠くなりそうだった。

「だめだ。まだ出会ったばかりだ。でも、私が許したら、いいけど。…」

「…あー、もう止めよう!俺はそんな男じゃない。もう寝るぞ。どうすればいい?」

オスカルの腕がアンドレの広い背中に回された。
「このまま抱きしめてくれたまま寝れば、あの夢は多分見ない」

「……そうか…。わかった」

アンドレは、細いオスカルの身体を抱き寄せ、目を閉じた。

「おやすみ。オスカル。良い夢を」
「ありがとう。おやすみ」



オスカルはそう言うと、アンドレの喉元で顔をさっきより埋めた。

「こら。くすぐったいよ」

「savonのいい香りがする」

「そうか?」
「うん」





奇妙な関係。

でも、いまこのベッドに居るのは、あのスーパーモデルではない。




寂しさに負けそうになる少女。
悪夢から逃れたいと必死にもがく、儚い女性。




またフラッシュバックが起きないように、俺が支えていいのなら…。
それも良いのかも知れない。





オスカルはすっかり寝息を立てている。
安心しきった愛らしい素顔。
女神、と言うより




天使降臨、だな。




アンドレは彼女に気づかれないように、
オスカルの額と、鼻先にくすぐる美しいブロンドに




キスをした。












⑥に続く