これは、2年半前に、
天狼院書店の「ライティング・ゼミ」を受講した時に
書いた文章です👇



 親よりできる!がモチベーション



やりなさい! と言われたらやりたくなくなる。

いけません! と言われたらやりたくなる。
 
これは、人間の本能で、「心理的リアクタンス」という名前もついているのだそうです。
普段、お部屋の片づけなんて絶対しないのに、試験中に限って、お部屋の片付けがとってもはかどるのも、心理的リアクタンス。
 
さて、宿題でもやろうかなーと思った時に「勉強しなさい」と言われた瞬間、一気にやる気が失せた、という経験ありませんか? なんなのでしょうか、あのスッとやる気が消えていく感覚。「今やろうと思ったのにー! 言われたせいでやりたくなくなった……」
不思議です。
 
私の母は、それを知ってか知らぬか、私は、小学校の頃から1回も「勉強しなさい」と言われたことがありません。そのおかげで気分よく勉強することができました。
 
そして、わからない時には、とりあえず母に聞きに。
 
母は、「わかれへんねん」と言いながらも、なんとか理解しようと問題を声に出して読み始めます。それを横で聞いているうちに、なんとなくピンときて、読み終わる頃にはやり方のイメージがついて、「わかった!」に。大抵の場合、「え? ママはまだわかれへんねんけど!」と言われたりして、さらにやる気がみなぎる、という流れでした。
 
「ママはチンプンカンプンやけど、問題読むだけで、きょーちゃんはわかっちゃうからね」と、どんなに難しい問題でも、いつも快く問題を声に出して読んでくれたこと、感謝しています。母の作戦というわけではなかったようですが、これのおかげで私は勉強が嫌いではない子に育ちました。
 
それから約20年。
子供が出来たらそんな風に育てよう! 負けるが勝ちだ! なんて思っていました。
しかし、知っていれば同じように育てられるかというと、そうとは限りません。こんな簡単な事がなんでわからないの? という気持ちがにじみ出てしまっていたり、「教えてあげよう!」という姿勢が前面に出てしまったり。そうなると、子供のやる気は風前の灯火、いや、マイナスになってしまいます。
 
ここに懺悔しますが、私は子供のやる気をことごとく叩き潰してきたと思うんです。
「なんで同じところばっかり間違えるの?」
「これ、こないだ教えたじゃないの! もう忘れちゃったの?」
優しくない言葉が口からついて出てしまう。本当に申し訳ないことをしました。
 
こんな風に言われたら、当然、いい気分なわけありませんよね。
 
小学校の宿題だけならず、ピアノや英会話など、私がやったことがある習い事は、ことごとくこの状態になっていきました。私も習っていた分、出来てしまうから。
 
そんなある日、友人がそろばんを勧めてくれました。小学校の時に暗算がすごく早かった子が、頭の中のそろばんでやるんだって言っていたのを思い出しました。そろばんの便利さはいまいちわからないけど、暗算ってかっこいいよなぁー! という漠然の憧れもありました。
 
そう思っていたところにタイミング良く、最寄り駅の近くにそろばん教室が開校するというチラシがポストに! すぐに入会しました。当時、長女は小学校2年生、次女は保育園の年長さん。
 
初歩の初歩からスタートです。
私は隣に座って応援です。ひと桁の足し算を隣で暗算しながら。
 
楽勝で隣に座っていられたのは、いつまでだったのでしょうか。
段々と知らぬうちに、私の計算力では全く追いつけないレベルになっていきました。
継続は力なり。
 
あっという間に、チンプンカンプン。教える事すら出来なくなって、「ママ、こんな簡単なのに、わからないの?」と嬉しそうな娘。やはり、何歳でも、教えてもらうより、教えてあげる立場の方が気持ちが良いのです。
 
例えば、1秒に1つずつ3桁の数字を足していくフラッシュ暗算。いつぞやテレビで見たことのあった光景が、目の前で繰り広げられることになるとは。パッパッと切り替わる数字を追うのもキツイ。このスピードで3桁の足し算なんて、頭の中、どうなってるんだろう? 下1桁だけの足し算でもギリギリですよ、こっちは。
 
悔しいという気持ちが全く起こらないくらいの大差です。どれだけ勝負しても、勝てない。いや、勝てるわけがない。ただただ子供のことを「すごい!」 と認めるだけ。そうなると、子供の顔がどんどんいい表情になっていきました。キラッキラのドヤ顔。最高です。
 
自分が周りよりできる! と感じると、自らどんどんやりたくなるもの。
その対象が親だと、ものすごいパワーを発揮します。親よりできるがモチベーション!
そもそも人は、助けてもらっているなと感じている時よりも、頼られているなと感じている時の方が頑張れるし、強い力が発揮できるものなのです。
 
もし今、子供が小さかった頃に戻れるなら、敢えて「宿題、こんな難しいの? すごいお勉強をしてるんだね! ちょっとママにも教えてくれない?」なんて声をかけてみたいなって思います。
 
今からでも、そうしてみようかしら。チラリと見える問題集、チンプンカンプンだし。