『ドラえもん』が描く未来への警告I⌛ 

石器時代においてのび太が「サル」と認識され、ドラえもんが「神」とされたのに対し、3億年前ののら犬「イチ」の国でのび太が「神」とされたのは、対比として興味深い。

 

のび太は石器時代を「人間がサルみたいな生活をしていた時代」と言い、原始人を「ゴリラみたいなやつかも知れない」と言っていたが、逆にその原始人がのび太を「サル」と見なしたのはなぜか。

 

直接の原因が原始人がのび太の話すことばを聞き取れなかったからである。
太古の人類には「外国語」の概念がなく、外見が人間でも話すことばが聞き取れなければそれを「ことば」と認識せず、相手を「自分たちと姿が似た獣」と認識していたのだろう。
それで原始人はのび太をサルと見なし、のび太を晩のおかずにしようとし、家族の中にいたスネ夫そっくりの少年がペットにすると言って、のび太は命を救われた。
石器時代人は「聞き取れないことばを話す種族」を「人間のことばを話せないサル」と見なしていたのみならず、それを他の獣同様、食糧にする人食いの習慣を持っていたのだろう。
白人が「開拓」していく中で先住民族を虐殺していったのも、相手を人間と認めず、相手の話すことばをことばと認めなかったからではなかろうか。すると白人による人種差別は石器時代のレベルということになる。

 

のび太は石器時代にラジオ、懐中電灯、トランプ、マッチを持ち込んで王になろうとした。
自分に自信のない人は自分より「下」の者を探す傾向があり、これは多目くんのエピソードにもつながる。また自分に自信のない人は自分の持ち物で自分を権威づけようとする。
しかし原始人はのび太自身の生物としての性質や能力を見ていた。

 

のび太が石器時代で尊敬されようとして持ち込んだラジオ、懐中電灯、トランプ、マッチなどはのび太の發明ではない。のび太が生まれ育った社会にあったものである。そこはドラえもんが四次元ポケットから出す道具も同じだ。
のび太は22世紀から来たドラえもんの道具に頼り、「ドラえもんと自分」の関係を「自分と原始人」の関係に投影させ、のび太自身が「石器時代のドラえもん」になろうとしたのだろう。
しかし、石器時代で「神」とされたのはドラえもん自身であった。

 

のび太が持ち込んだものは石器時代において必然性がなく、原始人はのび太がドラえもんの頼るような未来文明への依存症を持ち合わせてはいなかった。
また、ドラえもんは20世紀の社会において「王さま」として君臨しようという野望は全く持ち合わせておらず、目の前ののび太を助けることだけを考えているようだ。そして、ドラえもんは自分や自分のポケットにある道具の存在を極力、世間に知られないようにしているところがある。玉子やのび太とともにのび助の帰宅につきそい、帰宅ラッシュにでくわしたときも、秘密道具を使わずに苦しんでいた。

 

ドラえもんは人間の自力更生を重視しているところがあり、のび太に対し「ぼくのポケットをあてにせず、自分でやれ」と言うことに表れている。

 

イチの国でのび太が「神」とされていたのは、のび太がイチなどの動物を大事にした人間性によるところが大きく、ジャイアンがある女の子の片想いしていたとき、のび太がその女の子の飼い犬を気遣っただけで、のび太がその少女の誕生日に誘われたくらいである。静香の父親ものび太のそういうところを評価したのだろう。

 

のび太はイチたちの国で「神」になろうとは想っていなかった。しかものび太はイチと他の犬猫たちを古生代の地球に残したまま「現代」へ去っており、1000年後にイチの子孫たちが地球を去る寸前にドラえもんとのび太が再び訪れたのみで、この国ではのび太はほとんど滞在していない。のび太はイチの国を支配せず、犬猫たちの精神的支えになっていただけである。

 

人類は持っている物質で評価されるべきではないが、人類は自分たちの作った物質のみを進歩させ、生き物としての人間は退化しているのではあるまいか。

 

大長編『のび太の日本誕生』119ページで7万年前の古代人が石器で木を切り、家を造り始めたとき、スネ夫とジャイアンがドラえもんにオノやノコギリのような「らくらく道具」を出すよう勧めた。しかし、ドラえもんは「石器時代の人が鉄器をつかっちゃ歴史がメチャメチャになる」と言って拒否した。このことから、ドラえもんは過去の世界で22世紀の道具を使うことによる歴史への影響を最小限にしようとしているようだ。

 

ドラえもんは「昔はよかった」で昔の日本人に罐詰めなどを与えたが、これはあくまでのび太から頼まれたことによる非常事態ということだろう。「昔はよかった」でもドラえもんはのび太に「昔の人間はその時代の中で精一杯生きていた」(要旨)と言っていた。

 

/@kyojitsurekishi/

/「石器時代の王さまに」なれず、のら犬「イチ」の国で「神」になったのび太 | 虚実歴史のブログ (ameblo.jp)

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/長門拓(@bu_tan_0112)さん / X/

のび太が「原始時代の人間なんか赤ん坊みたいなものだから僕が教え導いてやるんだ」という物凄い帝国主義しぐさで原始時代に行った所、やることなすこと全て空回りし逆に文明の恩恵から切り離された現代人は猿以下であることを喝破した「石器時代の王さまに」をミセスのコロンブスの件で思い出した。

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/このポストの引用 / X/

 

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/藤堂俊介(@ShunsukeTodo)さん / X/

どんな物語かと言えば

/結局のび太はどの時代でも花が咲けない『石器時代の王さまに』/石器時代の物語①|藤子Fノート (note.com)/

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/#猿の惑星/#猿の軍団/とも比較しよう。 

/令和6年6月14日昼12時39分pst/

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参照

/『ドラえもん』における風刺 - gooブログ ものがたりの歴史 虚実歴史/

2013-10-08 14:32:00

 

/注目NEWS…「コロンブス」MV問題など/

 

/【石器時代の王さまに】のブログ記事検索結果:9ページ目|Ameba検索/

/ミセスMVに識者「悪意なくても差別」 透ける「名誉白人」の意識:朝日新聞デジタル (asahi.com)/