2012/8/10  19:42 「消費税増税法案成立

 

2014年4月で8%、2015年10月で10%になる。
2015年はジェッタ―マルスが作られ、エヴァンゲリオンが使徒と戦う年だ。
2003年の鉄腕アトム誕生は既に9年前の過去。
20世紀の漫画やアニメで想定された未来がどんどん過去に移行している。

日経と朝日は社説で消費税増税を支持しているが、一方で朝日は消費税増税に対する反対意見や家計への負担なども記事にしてバランスを取っている(それだけに読者から新聞社の本意が不明と指摘されたようだが)。
野田政権は解散の時期は明確にできない。これでは「決められない政治」の復活であろう。

何でも国(政府)がやってほしいと言いながら、消費税アップには反対という「世論」は虫がよすぎるわけで、与えられた政策に反対するだけでなく、自分たちが何をするか考えるべきだろう。

日本共産党は驛などでビラを配って、消費税増税に頼らない政策を提言している。もし消費税増税反対が本当の世論なら、そう思う人は選挙で日本共産党に投票すべきだろう。
少なくとも今回、不信任案を提出した中小野党(下注釋)の支持率が上がってよさそうなものだ。

国民が肝に銘じるべきなのは、民主政治が「何でもかんでも自分たちの欲求を満足してくれる政治」ではないことだ。プロセスに問題はあるが、この一体改革は政治家が国民に迎合するのをやめて、義務を課した意味では評価できる。ついでに、被災地のがれき処理も各自治体に義務化してほしいものだ。がれき拒否など単なる地域エゴだ。拒否するならがれきをどこに置くべきか、拒否している人たちは代案を出していない。それは政府に任せるというのは無責任だ。がれきを拒否する人は自分たちが危ないと思っているがれきを被災地に押し付けて平気なのだろうか。ある意味で消費増税は被災地支援のための募金が義務化されたようなものだ。

震災後、風評被害が多かった。大衆は被災地の人たちに同情しながら、被災地から移住してきた人を拒否するようでは、同情も偽善である。被災地から離れていても被災者が抱えているリスクを共有する覚悟が必要だ。

政治と税に関しては仁徳天皇について語られている逸話がある。真偽不明だが、仁徳天皇が人家のかまどから煙が出ていないのを見て、民の生活の苦しさを知り、一定期間、税を徴収するのをやめたという話がある。しかし、それが事実なら、そうする以前に朝廷は庶民からたっぷり税を取っていたことになる。

一般大衆は往々にして「自分たちの生活がよくなるかどうか」「政治が自分たちの生活をよくしてくれるかどうか」という尺度だけで政治に期待をする傾向があるが、それには他者の生活のために自分が負担をすることも避けられない。
小泉改革は国民の圧倒的な支持のもとおこなわれた。その弊害が出ても、投票した有権者の責任は棚上げにされている。政治家が大衆に迎合しないで、必要だと思う政策を推し進める姿勢は、時代の節目では必要である。

米軍基地を拒否している沖縄の人たちの気持ちもわかるが、では米軍基地は要らないのか、あるいは必要ではあるが九州本島や本州などに置くべきだと考えているのか、そういう代案がまるで出てこない。
16年前の『朝生』で桑江テル子氏が言った「日米安保は誰から誰を守るのか」という疑問は当然で、在日米軍基地は中国や北朝鮮から大和を守るためにあるのであろうが、米軍から沖縄を守る組織が欠けている。そうなると沖縄県民が自ら武装しアメリカと戦うのか。大東亜戦争を「負けるとわかってやった無謀な戦争」と批判する声が日本で主流だが、沖縄の反米運動は負けるとわかっても戦う。では沖縄県民がアメリカと戦争をしてもいいのか。そういう代案がない。16年前に兵頭二十八氏が『朝生』で日本核武装案を主張したのは、そういう代案の一つと考えていいだろう。
沖縄県民は日米安保が不要と考えるのであれば、日本が場合によっては自衛隊を日本軍にして憲法も改正して独自に国を守るべきだと考えているのであろうか。尖閣附近での中国漁船の横暴から沖縄の船をどう守るのか。日本が独自に守るなら巨額の軍事費が必要になる。沖縄県民はそのために増税を我慢できるか。それなら基地への反対も現実味が出てくる。代案もなく「上」から与えられた政策を拒否しているのは、親に与えられた玩具や菓子を嫌がるだけの幼児と同じだ。

注釋
中小野党
社民党、国民の生活が第一、みんなの党などを含む。
一方、大野党は自民・公明ということになるだろう。自公は事実上、閣外協力の与党または「ゆ党」(野党と与党の間)と化している。
野田政権は「自民党野田派」と呼ばれているようだが、自民党は「民主党谷垣派」となったつもりだろうか。自民党としては自分たちが主張した政策を否定して政権を獲った民主党が、公約を撤回して自民党のままの政治をしているのは公約泥棒に近いだろう。ただ自民党が国のことを考えるなら自民党の政策を民主党が代行してくれているのだから、それに閣外協力の実質与党のような形で参入すれば本望だろう。もし連立与党となれば自民党党首を首相にすることもできる。これは阪神・淡路大震災後の村山内閣から橋本内閣への流れと同じだ。

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参照
2010年代

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