必殺シリーズの時代設定【弐】

ライター：monogatarino_rekishiさん（最終更新日時:2012/7/14）投稿日：2012/2/11

https://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n31272

1996年の映画「必殺!主水（もんど）死す」では秀と勇次の見守る中、中村主水（～もんど）の入った小屋が爆発、焼け跡に十手が残っていて主水は行方不明。
これで主水の最期かと思いきや2007年の「必殺仕事人2007」で主水が南町奉行所の定町廻りから書庫番に異動。

実は「仕事人2007」は「主水死す」で描いた時代から30年も過去の話を描いている。「主水死す」の冒頭で葛飾北斎が死んでおり、これは1849年の嘉永年間。劇中で主水は水野忠邦を暗殺しており、これは2年後の1851年。
一方、「仕事人2007」で主水が書庫番勤務になった冒頭で、画面に「文政三年二月十四日」とあり、文政3年、つまり西暦1820年が舞台である。「必殺仕事人2009」は翌文政4年（1821年）が舞台だ。

もし主水が1851年にこの世を去っていたとしても1820年代に生きていて何らおかしくない。
「主水死す」では主水が20年ぶりに昔の仲間たち（津川雅彦、名取裕子が演じた）と再会したような描写があったが、再会の時期が1849～51年とすると20年前は1829～31年だから、計算上は1828～29年のシーボルト事件の直後が「20年前」である。
主水は1828年（文政11年）から翌年までのシーボルト事件のとき、千葉周作らと組んで、高橋景保の仇を討つ仕事をしていた。

むしろ、「主水死す」と矛盾するのは「仕留人」「大老殺し」「横浜異人屋敷」「ブラウン館」といった幕末を舞台にした主水シリーズである。「主水死す」における小屋の爆発で主水が行方不明になったのは、水野忠邦暗殺と同年とすると黒船来航の2年前になるからだ。黒船以降も主水が「健在」だったということは「主水死す」で主水は「死ななかった」わけだ。
一方、「必殺忠臣蔵」で藤田まことは「いつの時代に中村主水的な人物がいたということで」と説明しており、主水は「影の軍団」の服部半蔵のように時代を超越しているのだろう。すると「主水死す」の中の主水はあの作品では「死んだ」とも考えられる。現代版で主水の子孫がいるから新たな養子をもらったのだろう。

年表
1701～03　元禄赤穂事件（「必殺忠臣蔵」）
1780　平賀源内没（「必殺仕切人」で鳥人間大会の審査員）
1785　壇ノ浦の合戦（1185）から600年（「必殺仕事人V」）
1787～95　長谷川平蔵が火盗改長官に（「三日殺し軍団」?）
1818　文政元年（「必殺仕置人」は文化文政時代の設定）
1819　オランダ商館が主水を表彰（「仕事人V旋風編」）
1820　2月　主水が書庫番に異動（「仕事人2007」）
1820　4月　主水、政、竜、秀らが闇の金融組織と激闘（「裏か表か」）
1821　主水が自身番勤務（「仕事人2009」）
1823　河内山宗春没（「必殺商売人」に登場）
1828～29　シーボルト事件、主水が高橋景保の仇討ち（「春雨じゃ、悪人退治」）
1832　ネズミ小僧処刑（「からくり人」）
1833　秀が出張仕事、相手の一人は大塩平八郎（「必殺まっしぐら!」）
1835　ハレー彗星接近（「仕事人V激闘編」?）
1837　大塩平八郎の乱
1839　蛮社の獄、鳥居耀蔵暗殺未遂で旧からくり人壊滅（「からくり人」）
1841　大御所家斉没（「仕事人V風雲竜虎編」）
1841（または1842）　鳥居耀蔵が南町奉行に就任（「仕置屋」「江戸警察」）
1841（または1842）　主水が北町から南町に異動（「仕置屋稼業」）
1842　主水、秀、勇次らが香港へ（「仕事人アヘン戦争へ行く」）
1843～44　主水が政、竜と組む（「意外伝」）
1844　高野長英脱獄（「新からくり人」）←糸井貢が脱獄に協力か
1844　主水が鳥居耀蔵一派を暗殺（「オール江戸警察」）
1844　主水が平手造酒（ひらてみき）を仕置（「意外伝」）
1849　葛飾北斎没（「富嶽百景」「必殺!主水死す」）
1850　高野長英没
1851　水野忠邦没（「主水死す」）

1851　辛亥の年（「必殺仕切人」の占いブーム?）
1853　黒船来航（「暗闇仕留人」）
1854　糸井貢殉職、仕留人解散
1858～59　安政の大獄（「大老殺し」）
1860　主水が桜田門外で井伊直弼を暗殺（「大老殺し」）
1863　清河八郎が浪士隊結成（「横浜異人屋敷」）
1866　徳川慶喜が15代将軍に（「ブラウン館」）
1868　主水が鳥羽伏見の戦いで佐々木只三郎を暗殺（「横浜」）
1868　土左衛門がからくり人に参加（「血風編」）

前後一覧

2017年11/7　11/8前後