「大岡越前vs遠山の金さん」という時代劇を期待した人が多いようだが、大岡忠相は1751年没、遠山景元は1793年生まれで、42年の差があるので無理。この間に生きた人物に大黒屋光太夫(1751~1828)、松平定信(1758~1829)がいる。
 
ただ、遠山景元は享保→寛政→天保と続いた江戸時代の改革に抵抗していたという意味では、奉行として先輩である大岡忠相と闘っていたのかも知れない。
 
遠山金四郎にとって大岡忠相は南町奉行としての大先輩であった。忠相が南町奉行から寺社奉行になったのが1736年、1745年に吉宗が家重に将軍職を譲って隠居、それから100年後の1845年に金四郎が南町奉行になった。
なお、俳優で大岡越前と遠山の金さんの両方に縁のある役者は多い。「『大岡越前』関連、『遠山の金さん』関連」順で並べてみる。
片岡千恵蔵:大岡忠高(TBS『大岡越前』)、遠山金四郎(遠山の金さん~御存じいれずみ判官~
西郷輝彦:新三郎(TBS『大岡越前』)、遠山金四郎(『江戸を斬るII』)
東山紀之:大岡忠相(NHK『大岡越前』)、水木新吾(『名奉行 遠山の金さん』)
松平健:徳川吉宗(『暴れん坊将軍』、大岡忠相の上司)、遠山金四郎(『遠山の金さん'07』)
竹脇無我:榊原伊織(『大岡忠相』)、徳川家慶(『江戸を斬る』第8部)
小松政夫:赤垣伝兵衛(『大岡越前』)、色川伝兵衛(『江戸を斬る』、遠山金四郎:里見浩太朗)
谷幹一:出目の勘太(『大岡越前』)、出目の金太、亀三(『江戸を斬る』)
松山英太郎:猿【ましら】の三次(『大岡越前』)、鼠小僧次郎吉(下注釋、『江戸を斬る』)
 
『水戸黄門』の助三郎・格之進役のうち、杉良太郎・横内正、里見浩太朗・横内正はいずれも遠山の金さんと大岡越前の組み合わせでもある。
 
平成24年tw
そういう大集合を考える人は歴史を知らないんでしょうね。水戸光圀が没した時、吉宗は紀伊藩主にもなっておらず忠相も山田奉行になる前。遠山景元は吉宗と忠相が没して42年後に誕生。一方、暴れん坊将軍には初めから大岡越前が登場しているので集合企画は不要です。
1841年(天保12年)、南町奉行を辞めた筒井和泉守の後任が矢部駿河守定謙だったが、鳥居耀蔵の工作で矢部はその年のうちに奉行の座から追放され、鳥居耀蔵が南町奉行になった。中村主水はこの時期に南町奉行所の同心だった。
1987年のテレビ朝日「大岡政談」という時代劇で西郷輝彦が忠相を演じたらしく、これは見ていない。自分の知る限り、大岡忠相と遠山金四郎の両方を演じた役者は西郷輝彦くらいである。
 
「大岡越前」と「遠山の金さん」金四郎役だった片岡千恵蔵が加藤剛「越前」で大岡忠高を演じた。松方弘樹「金さん」で同心を演じた東山紀之がNHKで「越前」の主役になった。「江戸を斬る(II以降)」と「大岡越前」の両方に出た役者は多い。
 
「仕事人アヘン戦争へ行く」では栗塚旭が金四郎役だったが、加代(演:鮎川いずみ)と劉孟春(演:陳美齡)を人足寄場に送り届けただけだった。なお仕事人vs鳥居耀蔵であれば「仕事人vsオール江戸警察」で描かれている。
 
噂の寅次郎
慶長3年
400年
 
補足
長谷川宣以(はせがは のぶため)と遠山景元(とほやま かげもと)

時代劇で人気の高い、『鬼平犯科帳』の鬼平と『遠山の金さん』の金さんは、同じ屋敷に住んでいた。

午後2:18 · 2014年3月22日

 

@kyojitsurekishi

長谷川平蔵の屋敷は平蔵の孫の時代に遠山金四郎の屋敷になったらしい。 

長谷川平蔵屋敷跡(菊川)〕 

#遠山の金さん〕〔#鬼平犯科帳

午後3:28 · 2014年3月22日


長谷川平蔵は1745年生まれで、1795年没。遠山金四郎は1793年生まれで、1855年没。平蔵が他界した時、金四郎は数え年3歳。ほとんど入れ替わり。遠山金四郎が他界した年は長谷川平蔵生誕100年の年だった。

午後3:33 · 2014年3月22日

 

長谷川平蔵が活動したのは松平定信の寛政の改革の時代で「大江戸捜査網」では定信が隠密同心を組織した。隠密同心を演じた杉良太郎、里見浩太朗、松方弘樹は遠山金四郎も演じた。 

#鬼平犯科帳〕〔#大江戸捜査網〕〔#遠山の金さん〕〔#江戸を斬る

午後3:35 · 2014年3月22日

 

平成27年tw

 「改革派vs反改革派」という図式で比べると、享保の改革の時は「改革派:暴れん坊将軍=徳川吉宗&大岡越前vs反改革派:徳川宗春」で、天保の改革の時は「改革派:水野忠邦&鳥居耀蔵vs反改革派:遠山の金さん」のような構図だったようだ。大岡越前vs遠山の金さん」という図式にする必要はない。
「仕事人 アヘン戦争へ行く」に平賀源内が登場したが、アヘン戦争の時、獄中にいた蘭学者は高野長英。源内はアヘン戦争開始から60年前に他界していた。
 
平成30年tw
「大岡越前」「暴れん坊将軍」は享保の改革(1716年開始)の時代の話、「鬼平犯科帳」「だましゑ歌麿」は寛政の改革(1787~93)の話、「遠山の金さん」は天保の改革(1841~43)の話で、それぞれの時代背景を考えると、話がよくわかります。 
 
令和3年tw

松方弘樹に続いて、また隠密同心が鬼籍に入った。 「隠密同心 心得の条」の締めくくりは「死して屍、拾う者なし」。 コロナ禍(くわ)の今、瑳川哲朗氏の葬儀は行われるだろうか。

午後9:48 · 2021年2月26日

 

西暦で分類すると『水戸黄門』は重荷1690年代の話、『大岡越前』は南町奉行在職期間が1817~1836年、『鬼平犯科帳』は1787~1795年ごろの物語で、『遠山の金さん』は1840年代の話。

午前4:28 · 2021年2月27日

 

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関連語句
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大岡 遠山(twilog)

注釋
鼠小僧次郎吉
1832年に処刑されており、遠山金四郎が北町奉行になった1840年には生きていたはずがないが、『江戸を斬る』では「次郎吉は処刑されていなかった」という設定だろう。『八百八町夢日記』では遠山の先輩だった北町奉行。榊原忠之が次郎吉を処刑させず、密偵「三郎三」として生かしていた。
寛政の改革(1787~1793)の時代を描いた『だましゑ歌麿』では1780年に獄死したはずの平賀源内が1790年代になっても生きており(演じたのは笹野高史)、どう考えても杉田玄白の方がいい。本作でも鼠小僧次郎吉が登場し、1791年に処刑された葵小僧とも別人だったが、鼠小僧次郎吉は1797年ごろ生まれたはずで、寛政の改革の時代にはまだ生まれていなかった。時代劇では「葵小僧」「鼠小僧」が時代と関係なく出現しており、「服部半蔵」や「怪人二十面相」「ルパン」のように色々な時代の人物が名乗ってきた名前ではなかろうか。
『仕事人アヘン戦争』では1842年当時まで源内が存命だったが、ここは高野長英の設定にすべきだろう。