IOCはテレビの見栄えや視聴率を気にするテレビ局のディレクターと化している。「五輪の商業化」と「各国政府及びスポーツ関係者の五輪依存状態」が改善されないままなのが問題。
五輪競技でなくなると強化費を削りメディアの扱いも少なくなるのはIOCの責任ではなく、各国の政府やマスコミの勝手な「五輪偏重」である。IOCがレスリングを一度は省くと言ったのはロビー活動(根回し、裏工作)を呼ぶためのIOCの計算だったのだろう。それに異を唱える各国のレスリング関係者も陳情ではなく一斉に五輪ボイコットでもすればいい。それができないのは五輪でないと競技のPRができないと自白しているようなものだ。
ある意味でIOCは東電に似ている。周りが自分なしでやっていけない状態を理解した上で料金値上げやロビー活動の呼び込みなどをやっている。
2012年、ロンドン五輪の直前、カナダの世界選手権で日本の女子ソフトボール・チームが42年ぶりに金メダルを獲得した。五輪と比べてマスコミの扱いが小さかったのはIOCのせいではなく、日本のマスコミの判断である。それでも全国紙のスポーツ面には白黒の写真と記事で載っていた(インターネットではカラー写真)ので、この快挙を知らない人はスポーツ面を見なかっただけである。スポーツ面を見なければスポーツのニュースを知らないのも当然。しかし五輪の金メダルであれば1面、社会面に出て号外も出る。この違いが問題だ。
日本政府も東京都政府も五輪招致さえやっていれば経済政策をやっていることになるという安易な考えから抜け出せていない。
さて、2018年に平昌五輪を予定している韓国は2020年五輪開催地決定寸前、汚染水を理由に福島をはじめとする日本の8県の水産物の輸入を禁止し、この中には群馬のような水産物を輸出していない内陸の県もあった。
韓国はどう対処するか。もし東京五輪をボイコットするなら日本人選手にとっては痛くもかゆくもないだろう。IOCが韓国人不参加による収入減を恐れて何かする可能性はある。
2009年のIOC総会で東京は2016年の五輪招致を目指してリオに敗れた。この時は反対運動が目立ったが、今回は反対運動が目立たたず東京五輪決定を阻止できなかった。東京五輪招致に反対していた人たちは石原慎太郎個人への好き嫌いだけで反対していたのだろう。子供がピーマンを嫌がるのと同レベルの運動では限界がある。国外での東京五輪反対運動も招致と逆の目的で「五輪の政治利用」をしていただけに見えた。
スカッシュはよく知らないがそういう競技こそ五輪らしいと思う。ただ「マイナー」なスポーツは五輪でやらせてもらって「メジャー」になろうとするのに対し、IOCは既に「メジャー」なスポーツを採用した方が収益につながるから、各競技のプレゼンテーション(招致演説)はそれぞれが「メジャー」であることを証明するという逆説が存在する。スカッシュでもソフトボールでも五輪に頼らず競技人口を世界規模で増やしていけば五輪に採用される可能性が高まるわけだ。
石原慎太郎は「招致を続けたのがよかった」と自画自賛しているが、石原慎太郎が途中で知事を辞めたから招致が成功したという側面もあるだろう。逆に東京五輪反対派は石原慎太郎が去っただけで招致反対の矛を収めてしまった(ように見える)。東京がリオに敗れた前回の招致レース以来、日本国内の東京五輪招致反対派は石原慎太郎が「軍国主義的」だということを理由に反対していた。しかし、石原が都知事を辞めると国内ではその反対運動が沈黙し、日本国外で日本全体を「軍国主義的」だとする人たちが「日本での五輪」に反対してネットで署名運動をしていたようだ。しかし、これもIOCの投票に影響を与えることはなかったようだ。猪瀬都知事の「イスラムは戦争ばかりしている」発言や麻生財務大臣のナチス発言、福島第一原発の汚染水など、「敵失」を生かせなかったのも、東京五輪反対派(及び対立候補であるマドリードとイスタンブール)の力不足であった。
五輪招致が五輪の政治利用と言われるが、招致に反対する側も五輪を政治利用しているようでは、どっちもどっちである。
またIOCは商業主義的と言われるが、招致する側も理由の第一が「経済効果」であるからやはり商業主義的だ。
レスリング除外問題等で朝日新聞がIOC会長にインタビュー。
posted at 18:44:43
@kyojitsurekishi 去年、2012年にカナダで開かれた女子ソフトボール世界選手権で日本が優勝したが倫敦五輪の競技でなかったので日本でもメディアの扱いが小さかった。朝日の記者がこれに触れるとIOC会長は「貴方がたの編集方針について私が言う事はありません」。そりゃそうだ。
posted at 18:50:31