23『必殺仕事人V』(1985)
エピソード0に相当するスペシャル版『仕事人意外伝』の舞台は1843年から1844年までの天保末期~弘化元年。劇中の主水は『仕事人アヘン戦争へ行く』(1843)の主水と同一人物だろう。
映画版『必殺!ブラウン館の怪物たち』は徳川慶喜が将軍になった1866年(慶応2年)末以降であろう(陽暦では慶喜が将軍になったのは1867年初め)。
 
本編の第25話「主水、源氏と平家に泣かされる」では1185年の壇ノ浦の合戦から600年後という設定で、1785年とすると天明年間である。できれば「壇ノ浦から660年後(1845年)」にしてほしかったところだ。
 
最終回では墓に「壬申」の2文字があり、江戸時代の壬申の年は1632年(家光の治世)、1692年(綱吉の治世、光圀隠居中)、1752年(家重の治世、吉宗没の翌年)、1812年(家斉の治世、文化年間)である。
 
『仕事人vsオール江戸警察』(1990)で主水と平手造酒(ひらてみき)、鶴、太棹の新之助、加代が鳥居耀蔵一派を仕置。これは1844年の鳥居耀蔵失脚である。『新必殺からくり人』(1977)で描かれた高野長英脱獄はその直前。『意外伝』で主水は、かつて仲間だった平手造酒を仕置することとなった。
 
24『必殺橋掛人』 (1985)
これも時代設定は不明。最終回で仕事料の藩札を出した藩が取り潰しとなり、藩札が紙切れ同然になる描写があった。
 
必殺橋掛人(1985年、昭和60年)
第13話「子連れ剣客の魔剣を探ります」(終)
お光(演:西崎みどり)の父・多助(演:長谷川弘)の墓に「丁己七月…」と書かれてある。「丁巳年七月」のことか。「巳」と「己」は混同されることが多い。
江戸時代の丁巳年なら1617年、1677年、1737年、1797年、1857年のいずれか。
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25『必殺仕事人V激闘編』(1985~86)
大名や大奥関係者が標的の話もあったが、いつの時代かよくわからない。
第17話「江戸の空にハレー彗星が飛ぶ」は江戸時代のハレー彗星接近の年の話。 
候補として挙がるのは1607年、1682年、1759年、1835年のいずれかである。
可能性が高いのは1835年。『必殺まっしぐら!』(1986)での秀の活動はその2年前の1833年。
劇場版『必殺!III裏か表か』は1820年(文政3年)の4月8日から話が始まる。
 
26『必殺まっしぐら!』(1986)
秀の出張仕事は1833年(天保4年)。鼠小僧処刑の翌年で、ハレー彗星接近の2年前。
 
27『必殺仕事人V旋風編』 (86)~28『必殺仕事人V風雲竜虎編』(87)
第6話「主水バースになる」で将軍が没しており、「上様」と呼ばれていたが「大御所様」とは呼ばれていなかった。
 
『助け人』のところで触れたように江戸時代で将軍が現職中に没した年は1651年(家光)、1709年(綱吉)、1712年(家宣)、1716年(家継)、1786年(家治)、1853年(家慶)、1858年(家定)、1866年(家茂)である。家斉は1837年に大御所になって1841年没。これは次作『風雲竜虎編』で描かれている。
 
『旋風編』の特番で『必殺忠臣蔵』があり、1702年前後の元禄赤穂事件が扱われており、これだと1709年の綱吉没年が近い。
 
さらに『風雲竜虎編』の時期に放映された映画『必殺!4恨みはらします』では酒井雅楽(演:成田三樹夫)が老中でこれは家光~家綱の時代になる。もともとこの映画で千葉真一が柳生十兵衛を演じる予定だったがそれが変更となり、わらべや文七の役になった。酒井忠清の時代の設定はその名残か。冒頭で主水が奉行を守ろうとしなかったのが不思議ではある。酒井忠清は劇中の終盤で奥田右京亮(演:真田広之)によって毒殺されており、没年は1681年。綱吉が将軍になった翌年である。すると劇中の年老いた将軍は家綱か。『影の軍団III』と出演者や時代設定で共通点がある。
 
『旋風編』第7話「主水、せん、りつ、ダブルベッドに寝る」で主水がオランダ商館から表彰されたのが1819年1月で文政年間。11代将軍・家斉の治世。
1819年は文政2年だが、1月が陽暦によるものだったら、陰暦では文政元年末だった可能性もある。
 
『風雲竜虎編』第2話「将軍の初恋騒動!」で大御所・家斉が没している。これは1841年。『仕置屋』では主水が北町から南町に異動になった年だ。
 
スペシャル版『大老殺し』(1987)では1858年から1860年までの幕末を扱っている。
『旋風編』の第6話が1858年(家定→家茂の交代)だったとすると『大老殺し』と時代が合う。その場合、『旋風編』第6話の将軍は家定だったことになる。1849年から1851年にかけて主水が家定の妹・捨三と会っていたのは奇遇である。
 
29『必殺剣劇人』(1987)
『風雲竜虎編』 の後日談。すると1840年代初めか、1860年代初めになる。
 
30『必殺仕事人・激突!』(1991)
1826年 丙戌年11月 映画『必殺!5黄金の血』
1835年 第8話「新門辰五郎のまとい」
1836年(推定) 丙申年1月9日「せんりつ誘拐される」
1840~1842年 第10話「主水、出勤日数をごまかす」
 
第8話では文化2年(1805年)の「め組の喧嘩」から30年の設定だったが、第8話のラストで墓地のシーンがあり、その一つに「壬午年十一月」とある。江戸時代で該当するのは1642年、1702年、1762年、1822年であった。1822年だと「め組の喧嘩」から17年で計算が合わない。
『必殺!5黄金の血』では政が殉職。政は『ブラウン館』では慶喜が将軍になった時代でも健在だったので、『激突!』は慶喜の時代まで含むかと思ったが、南町奉行・筒井和泉守による立札が丙戌年に海岸に立てられている描写があり、これだと該当するのは1826年(文政9年)になる。
 
映画『必殺!主水死す』(1996)
1849年の葛飾北斎没から1851年の水野忠邦没まで。
捨蔵(演:細川ふみえ)は徳川家定の双子の妹で、1824年生まれ。
『富嶽百景』(1978)の最終回でも1849年の北斎の最期が描かれ、1851年の水野忠邦没から2年後の1853年に黒船来航、主水が半次、おきんと再会し、糸井貢、大吉を仲間に入れて仕留人となった。
 
31『必殺仕事人2007』
冒頭の字幕から文政3年(1820年)2月14日に主水が書庫番に異動になったことがわかる。
『必殺!III裏か表か』(1986)では1820年4月の時点で主水は相変わらず南町奉行所常町廻り同心。 
 
32『必殺仕事人2009
立札、瓦版、人相書から文政4年(1821年)の話だとわかる。
『必殺仕事人2010』で主水は西へ異動となり、江戸から去った。
しかし『春雨じゃ、悪人退治』(1990)によると、主水が書庫番に移ってから7年後の文政11年(1828年)、シーボルト事件の時、主水は江戸にいて、相変わらず南町奉行所常町廻り同心だった。
 
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