女子拳闘でロンドン五輪を目指す南海キャンディーズのしずちゃんは『あしたのジョー』のファンらしい(下注釋)。だが、ロンドン五輪を前に『あしたのジョー』を見るのを禁止されたらしい(検索)。
豊福きこう氏が分析しているように、矢吹丈は短期戦で相手をノックアウトする先述を常套手段としており、それまでの間、相手に自分をたくさん殴らせていた。ジョーは殴られて殴られて、最後に相手を倒すボクサーだったのだ。だからジョーのパンチが相手に当たった数より、相手のパンチがジョーに当たった数の方が多かったようである。その結果、試合が長期戦になって判定に持ち込まれるとジョーは負けていた。点数では相手が勝っていたからだ。ジョーは判定では勝てず、クロスカウンターのような捨て身の相打ちで相手をKOする以外にないのである。
 
よど号をハイジャックした犯人グループは「我々は明日のジョーである」と宣言したが、豊福氏が指摘したようにジョーは永遠の「敗者」だったのである。最後まで戦って勝つなら「我々は力石徹である」と言うのが正確であった。
 
しかも力石亡きあと、ジョーはその贖罪の意味から、自分を打ちのめしてくれる相手を探して拳闘を続けていたようである。だからジョーがパンチドランカー寸前になって、身体が危なくなり、白木葉子が繰り返しジョーを止めようとしても、ジョーは拳闘をやめようとしなかった。
最後のホセとの戦いの直前、世界チャンピオン・ホセがリングに上がり、続いて挑戦者としてリングに向かう寸前のジョーの前に葉子が現れて説得を試みた。しかしジョーは「リングでは世界一の男が俺を待ってる。だから行かなきゃ(いけない)」と言ってリングに向かった。
 
その後、『はじめの一歩』と『あしたのジョー』の合体企画があり、一歩とジョーの試合がコンピューターで計算され、『マガジン』誌上で再現されたことがある。
一歩がジョーに勝とうと持ったら長期戦に持ち込むことだ。判定になったらジョーは勝てない。
 
それでしずちゃんがもしジョーの戦法を真似たらパンチドランカーになって再起不能になってしまう。
その意味では賢明な判断だ。
 
ところで女性の拳闘であればヘッドギアをつけて胸や腹を守る器具も着けたほうがいいのではなかろうか。それで判定で勝負を決めるようにするほうがいいと思うがどうだろうか。
 
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関連語句
あしたのジョー [1][4](内容検索) 

注釋 
しずちゃんは『あしたのジョー』のファンらしい
拳闘をするとはいえ女性で梶原漫画のファンというのは珍しいか。松岡修造は『エースをねらえ!』の愛読者だったらしく(検索)、男だが庭球選手なので庭球少女漫画を愛読していたということか。

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