『水戸黄門』の第41部から第42部までのリニューアルは大失敗である。
まず第41部で助三郎(演:原田龍二)が美加という女性と結婚しているのだが、第42部で東幹久が演じるとまた独身に戻り、第43部のあとの最終回スペシャルで志乃と結婚(再婚? または復縁?)した。
第42部では助三郎(演:東幹久)と格之進(演:的場浩司)が光圀(演:里見浩太朗)の護衛担当としてコンビを組む場面が描かれ、時間が戻って、世界がリセットされていることがわかるが、疾風のお娟(演:由美かおる)が光圀のお供から卒業する場面がその第42部で同時に描かれたので、時間軸が滅茶苦茶になってしまっている。
第42部の世界観ではお娟が光圀に仕えていたじとき、格之進はメンバーにいなかったことになる。すると第41部までのシリーズで格之進(演:合田雅吏)が光圀に仕えていたのは「なかったこと」になってしまう。
 
また、ちゃっかり八兵衛(演:2代目林家三平)は第40部では助・格コンビ(演:原田龍二&合田雅吏)が既に成立していた時期にうっかり八兵衛(演:高橋元太郎)からバトンタッチする形で光圀一行に加わったで、光圀のオトモとしてはちゃっかり八兵衛は格之進の後輩であった。それが、第42部では格之進(演:的場浩司)が光圀一行に参加する前にもう八兵衛(演:2代目三平)が光圀に仕えていた。それで最終回SPでは初代八兵衛=うっかり八兵衛(演:高橋元太郎)も出てきたのだから、設定が支離滅裂と言うほかない。
 
第42部にお娟が出てきたせいで、お娟は卒業と言いながら江戸の場面では出てくる準レギュラーに留まり、最終回SPにもお娟が登場して例の入浴シーンを披露した。その半面、『水戸黄門』第41部で由美かおると一緒に卒業したはずの原田龍二と合田雅吏は最終回SPにも登場しなかった。合田雅吏は『ハンチョウ5』で里見浩太朗と再び共演。原田龍二はテレ朝の『相棒』の客演ほかに、『だましゑ歌麿』でも北斎を演じており、3作目まで放送された。『水戸黄門』は後に里見黄門、原田龍二、合田雅吏のメンバーで、舞台版として一時的に復活した。
 
第39部より前
光圀・助・格・弥七・お娟・おけらの新助
第40部
光圀・助・格・弥七・お娟・ちゃっかり八
光圀・助(結婚)・格・弥七・お娟・ちゃっかり八
 
第42部の前
光圀・助(独身)・弥七・お娟・ちゃっかり八 … 格之進未参加、作品では描かれず
第42部
光圀・助・弥七・お娟(結婚)・ちゃっかり八
光圀・助・格(参加)・弥七・楓・ちゃっかり八
 
第41部と第42部を関連付けるとこうなる。
 
お娟基準
第41部 光圀にお娟が仕える
第42部 お娟が商家に嫁いで引退
 
助・格基準
第42部 光圀の家来は助・弥七・八、格之進が参加
第41部 光圀・助・格らが旅
 
本来、お娟の卒業は助・格が東・的場のシリーズ(第42部)の第1話で描くべきではなく、助・格が原田・合田のシリーズ(第41部)の最終話で描かれるべきであった。楓(演:雛形あきこ)が参加したシリーズではかげろうお銀も疾風のお娟も存在しなかったことにすべきだった。そして第41部を最後に里見浩太朗も降板するのが筋であった。スタッフは第41部で原田龍二、合田雅吏、由美かおる、里見浩太朗を卒業させ、新たな光圀役を迎えて第42部を作るべきであった。そうしないで、苦し紛れに由美かおるを第42部以降も小出しで出演させ、里見浩太朗を続投させて1年後に『水戸黄門』は終了となった。スタッフにとって由美かおると里見浩太朗は「切り札」のつもりだったのだろうが、それで視聴率をほとんど回復させられなかった原因はどこか。その原因に手を着けず、スタッフは変えなくていいところを変えて、結果、視聴者が離れるだけだったのではなかろうか。
 
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