昭和元年は1926年だが、60年さかのぼった1866年は幕末であり、翌1867年に大政が奉還された。
日韓併合のあった1910年は明治43年であるから大政奉還から43年。江戸時代に生まれた人たちが健在だった。日清・日露の戦争はそういう時代背景で起きた戦争であった。
『江~姫たちの戦国~』では1615年の大坂夏の陣が「天下を太平にするために避けられぬ戦」とされた。これを言ったのは大竹しのぶが演じた「おね」こと高台院だったが、『おんな太閤記』でも佐久間良子扮する「ねね」がそのような台詞を言っていたと思う。戦国~江戸時代の戦は、和平を実現する手段と見なされ、戦の結果の太平の世が戦の価値を語る上で重視されるのに、近代の戦争は前後関係が無視され、戦争そのものの悲惨さや、戦争の是非だけが問題になる。壇ノ浦や関ヶ原の合戦について「なぜ当時の人はこんな悲惨な戦争を防げなかったのか」と言うのは個人的な感想か感傷であって、「歴史」を見る態度ではない。
『ブラックボード』第1夜の白濱正平は戦争が正しかったかどうか苦悩していたようだが、戦争の目的は日本に対する経済封鎖の解除と経済發展であるから、戦後にその目的は達成できたと言えよう。
 
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