『水戸黄門』『忠臣蔵』『必殺仕事人』
『水戸黄門』では大石内蔵助が何度か登場した。
『水戸黄門』第28部第24話「恋した人は謎の隠密(赤穂)」(大石:横内正)と第42部第11話「大晦日、都で悪の大掃除(京都)」(大石:市川右近)、そして同第15話「内蔵助殿、助太刀致す(赤穂)」である。
1701年の松の廊下の事件は光圀死去の直後であるから、『水戸黄門』で大石が登場してもそれは赤穂事件の前になる。
必殺シリーズは『必殺忠臣蔵』で赤穂事件を扱っており、時代設定は例外的に元禄年間である。

 

○水戸光圀(徳川光圀)と吉良上野介を演じた俳優:月形龍之介、森繁久彌、西村晃、石坂浩二(東野英治郎も現代版『サラリーマン忠臣蔵』で吉良を演じた)
○佐々木助三郎と大石内蔵助を演じた俳優:松方弘樹(下注釋)、里見浩太朗
○渥美格之進と大石内蔵助を演じた俳優:里見浩太朗、横内正
○水戸光圀を演じた俳優が必殺シリーズで悪役になった例:里見浩太朗、中村梅雀
○佐々木助三郎と浅野内匠頭を演じた俳優:東千代之介

 

 

浅野内匠頭と大石内蔵助の役に注目すると、風間杜夫と里見浩太朗(1985年大みそか日テレ『忠臣蔵』)は『八百八町夢日記』(日テレ)でも共演し、東山紀之と松方弘樹(1994年TBS『大忠臣蔵』)は『名奉行 遠山の金さん』(テレ朝)でも共演し、いずれも『忠臣蔵』と他の作品では主從関係が逆になっている。

 

 

『必殺仕事人』における『水戸黄門』のパロディ
必殺で『水戸黄門』をパロディにする場合、光圀でなく、架空の将軍家の人間が葵の紋を悪用して辻斬りをする話になり、『必殺仕事人』第6話と『仕事人V』最終回で描かれており、時代設定は文化・文政、天保~幕末という可能性もある。また実際の光圀も若いころは辻斬りをしていたらしい。
『必殺仕事人』では1979年の「主水は葵の紋を斬れるか!」で、将軍(いつの将軍かは不明)の弟・松平聖二郎が葵の紋の権威を悪用して辻斬りを繰り返す話があり、秀と左門が捕り巻きを仕置し、主水が聖二郎を斬った。左門は相手と刀で戦って倒したが、秀は並んだ木に隠れて相手と平行に走りながらぎりぎりまで相手に気付かれなかった。秀は気配を消すうえで超人的な能力を持っていたようだ。
1979年は『水戸黄門』の視聴率が最高を記録した年であり、その意味で必殺は『水戸黄門』の権威主義に対抗していたと言える。

 

 

○仕留人と水戸光圀を演じた俳優:糸井貢、藤田まこと
└→水戸黄門まつりに京本政樹と黒川智花が参加

 

 

『水戸黄門』『暴れん坊将軍』
『水戸黄門』で光圀が近畿を訪れて吉宗と会う話がある。第28部第17話「暴れん坊は紀州の若様」と第38部第5話「暴れ若様まかり通る」だ。
第28部第17話では吉宗は「新之助頼方」であり、第38部第5話では「源六」であった。『暴れん坊将軍』のパロディに見えるが、ナショナル劇場の流れで言えば『大岡越前』で山口崇が演じていた吉宗の若年期であろう。
実際は、光圀の隠居の時代、1697年に吉宗が江戸の紀伊藩邸で綱吉に謁見していた。
『水戸黄門』の時代設定は1690年代であり、吉宗は1684年生まれなので光圀が隠居した当時、吉宗は数え年7歳。それから10年間は小中学生、高校生くらいの時期であった。
ナショナル劇場における将軍就任後の33歳以降の吉宗は『大岡越前』に登場する。
吉宗が将軍になったのは1716年で、光圀没後16年が経過していた。
『暴れん坊将軍』第8シリーズ第10話「陰謀に巻きこまれた黄門様!?」では綱條が『水戸黄門』の光圀のような格好をして水戸から江戸を経由して箱根まで旅をした。
大岡越前役が田村亮になってからの話だったが、横内正のときにやってもよかった。
NHK大河ドラマ『八代将軍吉宗』では吉宗少年時代の元禄年間から話が始まり、生類憐みの令、赤穂事件も描かれたようだ。
『水戸黄門』第43部第18話上様、長屋で叱られる」では綱吉がお忍びで江戸の町に出た。

 

 

○渥美格之進と大岡忠相を演じた俳優:北大路欣也(下注釋)、横内正、大和田伸也

 

 

『大岡越前』『暴れん坊将軍』
TBS『大岡越前』では大岡忠相を加藤剛が演じ、徳川吉宗を山口崇が演じた。
テレ朝『吉宗評判記 暴れん坊将軍』では大岡忠相を横内正が演じ、徳川吉宗を松平健が演じた。『暴れん坊将軍』のシリーズでは横内正のほかに田村亮も忠相を演じ、綱條登場と彗星激突の話では田村亮が忠相の役であった。最後のスペシャルでは大和田伸也が忠相を演じたようだ。『水戸黄門』の格之進役からの抜擢はここでも続いた。
TBS『大岡越前』では『暴れん坊将軍』をパロディ化して、山口崇扮する吉宗が江戸の町に出て騒動が起きる話が何度も描かれている。
テレ朝で北大路欣也主演の『名奉行!大岡越前』では大岡忠相による裁きに重点が置かれ、吉宗は登場せず、享保の改革に関する話(町火消、甘藷栽培など)もほとんど見られない。テレ朝では吉宗の政治は『暴れん坊将軍』で扱っているので、北大路『越前』では吉宗の政治を除外したのだろう。
TBS『大岡越前』から吉宗の政治だけを取り出したのがテレ朝『暴れん坊将軍』で、忠相の裁きだけを取り出したのがテレ朝『名奉行!大岡越前』だった。
逆に考えるとテレ朝の『暴れん坊将軍』と『名奉行!大岡越前』を合わせたものがTBS『大岡越前』だとも言える。

 

 

『水戸黄門』『遠山の金さん』(『江戸を斬る』)
『遠山の金さん』の場合、遠山金四郎が1793年生まれで、吉宗は1751年に、光圀は1700年に他界しているので、時代が合わない。
ただ、遠山金四郎が奉行だった時代には水戸斉昭がいたので、『江戸を斬る』の第2部以降では森繁久彌が斉昭を演じた。ここで金四郎が若者、斉昭が初老の人物として描かれていたが、実際は斉昭のほうが金四郎より7歳年下であった。

 

 

○水戸光圀と遠山金四郎を演じた俳優:里見浩太朗
○佐々木助三郎と遠山金四郎を演じた俳優:松方弘樹(下注釋)、杉良太郎、里見浩太朗

 

 

中村梅之助が遠山金四郎を演じ、中村梅雀が水戸光圀を演じ、梅雀が『仕事人2014』で悪役を演じた奇縁がある。

 

 

『必殺仕事人』『遠山の金さん』
『仕事人アヘン戦争へ行く』で遠山金四郎が登場している。栗塚旭が演じた。時代設定は1842年である。この時期、南町奉行は鳥居耀蔵であった。
『必殺!主水死す』では1849年の葛飾北斎没から1851年の水野忠邦没(劇中で主水が暗殺)までが描かれており、劇中で登場しないが遠山金四郎はこの時期の南町奉行であるから主水の上司であった。
東山紀之は松方弘樹の『名奉行 遠山の金さん』で同心を演じたことがあり、『必殺仕事人2012』で高橋英樹扮する悪人と対決している。『仕事人2013』で悪役だった里見浩太郎も金四郎を演じたことがある。

 

 

○仕事人と遠山金四郎を演じた俳優:西郷輝彦
○遠山金四郎を演じた俳優が必殺シリーズで悪役になった例:高橋英樹、里見浩太朗

 

 

『大岡越前』『暴れん坊将軍』と『遠山の金さん』『江戸を斬る』
大岡越前守忠相(1677~1751)と遠山金四郎景元(1793~1855)は生きていた時代が違い、大岡忠相は享保の改革のときの南町奉行で、遠山景元は天保の改革のときの北町奉行で、天保の改革のときの南町奉行は鳥居耀蔵だった。
『暴れん坊将軍』の吉宗(1684~1751)は8代将軍で、『遠山の金さん』のときの将軍は12代家慶(1793~1853)であるから、時代が別。

 

 

大岡忠相を演じた役者と遠山景元を演じた役者の共演であれば例が多い。
TBSナショナル劇場の『大岡越前』で大岡忠相(演:加藤剛)の父・大岡忠高を片岡千恵蔵が演じたが、片岡千恵蔵は金四郎役としても有名である。
『暴れん坊将軍』で山田朝右衛門を演じた栗塚旭は『仕事人アヘン戦争へ行く』で遠山金四郎を演じたので、大岡忠相を演じていた横内正と「金さん対大岡越前」の共演になる。
当然ながら里見浩太朗も『江戸を斬る』で金四郎を演じたので、里見浩太朗と横内正の「助さん・格さん」も「金さん対大岡忠相」になる。
また、里見浩太朗はナショナル劇場の『大岡越前』の最終回スペシャルにゲスト出演している。
さらに『翔ぶが如く』で島津久光を演じた高橋英樹と西郷隆盛を演じた西田敏行は「金さんと吉宗」になる。
松方弘樹主演の『名奉行 遠山の金さん』で同心を演じた東山紀之はNHKの『大岡越前』で大岡を演じた。

 

 

○大石内蔵助と遠山金四郎を演じた俳優:片岡千恵蔵、里見浩太朗、松方弘樹、西郷輝彦、松平健
○大岡忠相と仕事人を演じた俳優:田村亮、東山紀之、滝田栄

 

 

「里見浩太朗と横内正」といえば、当然、東野黄門の「助さんと格さん」だが、両方とも「大石内蔵助」を演じ、また、どちらも「格さん」を演じたし、また「遠山の金さんと大岡越前」の関係でもある。

 

 

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関連語句
 

水戸黄門 暴れん坊将軍 大岡越前 鬼平犯科帳 遠山の金さん [2]〕

水戸黄門 暴れん坊将軍 大岡越前 鬼平犯科帳 遠山の金さん [3]〕

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水戸黄門 権威主義

注釋
北大路欣也
松方弘樹
1961年の映画『水戸黄門 助さん格さん大暴れ』ではこういうキャスティングだったらしい。
水戸黄門:月形龍之介
佐々木助三郎:松方弘樹
渥美格之進:北大路欣也
藤井紋太夫:岡田英次
柳沢吉保:小沢栄太郎
徳川綱吉:小柴幹治

参照
2012年1月(古代史、日本史、時代劇、世界史、藤子作品、スポーツ、近現代~未来)