『必殺仕掛人』第17話「花の吉原地獄の手形」を朝9時台にテレビ埼玉でやっていた。
地デジではテレ朝が5チャンネルで、テレ玉が10チャンネルになっている。

劇画版『仕掛人・藤枝梅安』の時代設定は寛政末期の1798年前後だが、ドラマの『必殺仕掛人』だと文化・文政年間(文化:1804~、文政:1818~1830)になるらしい。

飢饉に苦しむ村人から信頼を集めながら江戸では村を裏切っていた大庄屋が的。大庄屋と組んでいた武士も大庄屋から悪事の再開を持ちかけられ、音羽屋に大庄屋の仕掛を依頼してきた。音羽屋は大庄屋が百姓にとっては頼みの綱だという認識で断ったが、直後に若い百姓が同じ仕事を依頼。

西村左内が裏稼業のことを「仕掛」と言い、梅安は「仕事」と言っていた。
吉原では侍は刀を預けないといけない。
梅安は総髪の密偵・櫓の万吉(演:太田博之)のサポートで針を使って仕事を遂行したが、刀を使えない左内は苦戦し、三味線の撥(バチ)を使って何とか切り抜けた。

武士が吉原で仕事をする難しさが出ている。
もし、これが梅安と彦次郎だったら、あるいは念仏の鉄と棺桶の錠だったら、さらに梅安と鉄だったら、勇次と秀だったら、政と壱だったら展開は違っていただろう。
秀や勇次の場合、大庄屋が厠に入ったときを狙っただろうし、特に勇次の場合、三味線の糸だけでなく撥を使っても不思議はない。撥を使うなら『暗闇仕留人』の糸井貢や『新必殺仕事人』のおりくのほうがもっともふさわしいだろう。

エンディングではなぜか林与一(西村左内役)が最初で、次が緒形拳(藤枝梅安役)。
原作は『仕掛人・藤枝梅安』なのだから梅安が主人公のはず。
必殺シリーズはキャストの順番が例外的である。

音羽屋は大庄屋と組んでいた武士に百姓を救う金と米を出させた。
千蔵と万吉は頼み人だった若い百姓からもらった75両を全額返還。
70両を釣りとして返却し、5両を音羽屋、梅安、左内、千蔵、万吉で1両ずつ山分けすればよかったとも思うが、全額返還するとは音羽屋も気前がいい。

必殺シリーズで最初に三味線の撥を扱って仕事をした仕事人(仕掛人)の第壱号は左内のようである。

のちに『暗闇仕留人』の糸井貢(演:石坂浩二)に受け継がれ、『必殺からくり人』と『必殺仕事人』の山田五十鈴で仕込み三味線とともに完成する。緒形拳が『からくり人』で時次郎と安藤広重を演じたのは奇遇である。
ただ、時代設定を考えると仕掛人・左内が撥を使ったのは寛政~文化・文政年間で、からくり人の活動はその次の天保~弘化~嘉永年間で、仕留人・糸井貢は嘉永末期(嘉永→安政改元の直前)の幕末に活動した。

三味線の撥(バチ)を使う仕掛人、仕留人、からくり人、仕事人の年表
1798  寛政10 梅安の仲間・小杉十五郎が松平定信の護衛に
1804  文化元┬梅安の仲間・西村左内が撥を使用?
1830  文政13┘元号が天保に
1832  天保03 鼠小僧処刑。初代(?)からくり人・花乃屋仇吉が撥を使用
1839  天保10 蛮社の獄。仇吉が撥を使用
1841  天保12 天保の改革始まる
1842  天保13 仕事人・おりくが撥を使用(『アヘン戦争』)
1843┬天保14 仕事人・おりくが撥を使用(『意外伝』)
1844┘天保15 新からくり人・泣き節お艶が撥を使用。元号が弘化に
1849  嘉永02 出雲のお艶が撥を使用。葛飾北斎没(『富嶽百景』)
1850  嘉永03 高野長英没
1853  嘉永06 黒船来航。仕留人・糸井貢が撥を使用。のちに針状の武器に変更
1854  嘉永07 黒船再度来航。糸井貢没。元号が安政に

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