20世紀の必殺シリーズのテレビシリーズは1972年の『必殺仕掛人』から91~92年の『激突!』まで。
これは前期と後期に分けられ、後期は1979年の『必殺仕事人』からのようで、ほとんど1970年代が前期、80年代と90年代初めが後期である。
『水戸黄門』は1969年にTBSナショナル劇場として始まり、1970年代は東野英治郎シリーズ、1980年代は初期が東野シリーズで、1983年から西村晃シリーズである。
山田誠二の『必殺シリーズ完全百科』によると、前期の1970年代の必殺シリーズはストーリー性重視だったが、後期の1980~90年代の必殺は主水が職場や家でいびられる場面、順之助がオカマから追いかけられる場面など、個別のシーンで視聴者を引き付けるようになっており、これは1980年代にバラエティ番組が人気になって、番組の中で個々の藝人が出る時間、ネタをやる時間が部分的に視聴率を集めるようになったことと関係しているらしい。1980年代初めの『水戸黄門』の東野~西村シリーズの全盛期は仕事人ブームと重なっており、それは漫才ブームの時代でもあった。
また、お銀と飛猿が相次いで参加して『水戸黄門』が東映戦隊シリーズか『西遊記』のような布陣になると、「殺陣」「印籠」という定番のシーンに「由美かおるの入浴」が加わり、キャラクターで勝負するゲームのような時代劇になった。同時期の『必殺まっしぐら!』(1986年)も「スーパーマリオ」を参考にした作品だった。
90年代後半、バブル経済が崩壊すると必殺シリーズには絶好の時代となったが、藤田まことの一時降板で必殺はテレビから遠ざかる。『水戸黄門』も西村時代の黄金チームを受け継いだ佐野シリーズが出演者の年齢などで限界に達し、20世紀終了とともにリニューアルを余儀なくされた。

___水戸黄門_____必殺シリーズ___
1969_光圀/東野英治郎_↓________
1970_↓________↓________
1971_助/杉→里見___↓________
1972_↓________必殺仕掛人____
1973_↓________必殺仕置人____
1974_↓________暗闇仕留人____
1975_↓________必殺仕置屋稼業__ … ナショナル劇場で『江戸を斬るII』
1976_↓________必殺仕業人____
1977_↓________新必殺仕置人___
1978_格/横内→大和田_必殺商売人____ … テレ朝で『暴れん坊将軍』
1979_最高視聴率____必殺仕事人____ … 必殺視聴率回復
1980_↓________↓________
1981_↓________新必殺仕事人___ … 仕事人ブーム
1982_↓________仕事人大集合___
1983_光圀/東野→西村_↓________
1984_↓________↓________
1985_↓________必殺仕事人V____ … 仕事人メンバーチェンジ
1986_お銀登場_____必殺まっしぐら!___ … 必殺版スーパーマリオ
1987_飛猿登場_____必殺SPに移行___
1988_助/里見→あおい_↓________
1989_↓________↓________
1990_↓________↓________
1991_↓________必殺仕事人・激突!_
1992_西村晃降板____↓________
1993_光圀/佐野浅夫__↓________
1994_↓________↓________
1995_↓________↓________
1996_↓________必殺!主水死す____
1997_↓________↓________
1998_↓________↓________
1999_↓________必殺!三味線屋・勇次
2000_佐野浅夫降板___↓________
2001_光圀/石坂浩二__↓________
2002_光圀/石坂→里見_↓________
2003_↓________↓________
2004_↓________↓________
2005_↓________↓________
2006_↓________↓________ … 『大岡越前』終了
2007_弥七/内藤剛志__必殺仕事人2007__
2008_↓________↓________ … 『暴れん坊将軍』終了 
2009_八兵衛/林家三平_必殺仕事人2009__ … 『水戸黄門』40周年
2010_由美かおる降板__必殺仕事人2010__ … 藤田まこと死去
2011_最終シリーズ___↓________

中谷一郎、石坂浩二、伊吹吾郎、あおい輝彦が必殺シリーズのあとに『水戸黄門』のレギュラーになっているのは興味深い。鮎川いづみも『水戸黄門』に出演したことがある。西郷輝彦は必殺と『江戸を斬る』『大岡越前』の一部のシリーズでレギュラーとなった。内藤剛志が中谷一郎のあとを継いで弥七から仕事人になったことにも注目。『必殺まっしぐら!』で秋野暢子が演じた女仕事人も「お銀」であった。
また、原田龍二は2006年のフジテレビ『仕掛人・藤枝梅安』(岸谷五朗主演)で藤田まことと共演している。岸谷五朗は秀吉役と梅安役の両方を緒形拳から継承している。

『水戸黄門』と必殺シリーズはいずれも1970年代に基礎が出来上がり、80年代に娯楽性が高まって個々のお約束の場面とキャラクターが重視され、90年代から21世紀にかけて、出演者の年齢や時代劇の減少の直面した。

80年代に主水シリーズが『仕事人』で統一されると、間の『仕舞人』『渡し人』『仕切人』などは、『水戸黄門』の間の『江戸を斬る』や『大岡越前』のような、あるいは『金八先生』の間の『新八』『仙八』『貫八』のような、あるいは『はぐれ刑事』の間の『さすらい刑事』『はみだし刑事』といった「休み中のつなぎとしての類似番組」になった。

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2011年8/20 8月 [2] [3]