福山雅秋は福山雅治をモデルにしたキャラクターで、「まさハル」に対して「まさアキ」ということだろう。
ただ、福山雅治の「ハル」は「春」でなく「治」である。
そうなると福山雅秋の「アキ」は「秋」でなく「明」にでもして「福山雅明」のような名前のほうがヒネリが効いたのではないか。特に「治」と「明」なら「明治」の組み合わせになる。

『ドラえもん』のアニメに置いて時代設定を特定する手がかりとなる要素の一つになるのが、実在する人物がアニメキャラクターとなって「出演」する場合である。
本来、原作では「郷ひろみ」や「天地真理」が名前だけ出たくらいで、キャラクターとしては「西条ひろみ」や「丸井マリ」、あるいは「伊藤つかさ」をモデルにした「伊藤つばさ」のように実際の名前をアレンジする場合が多い。

これだと実在しない人物なので、生年月日は特定できない。だから時代を超越しているわけだ。

一方、2003年に渡辺美里が『ドラえもん』に出演したケースは渡辺美里が1966年生まれであることから、劇中の年齢によって時代が特定される。
渡辺美里は寺本幸代監督より10歳年上で、『コロコロコミック』が出た1976年当時で11歳(寺本監督は1歳)であった。
『ドラえもん』の時代設定が1976年当時であれば渡辺美里は源静香のような小学生の女の子だったはずで、『ドラえもん』に登場した渡辺美里は明らかに大人であった。時代設定は放送当時と同じ2003年と思われる。
2004年の『映画ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』でのび太がイチに「一緒に21世紀に帰ろう」と言っている。

次に2006年に「ジーンと感動する話」で相武紗季と速水もこみちが登場し、のび太は10~11歳の小学生であった。
2007年には「人気スターが真っ黒け」で1978年生まれの中村俊輔が登場。
同じく2007年の「ママのダイヤを盗み出せ」ではのび太の母・玉子が7歳だった時代が1980年代初めで、松田聖子が「赤いスイートピー」(1982年)を出した時期になっていた。
2008年秋には浅田真央が登場し、やはり11歳ののび太、源静香と対面。
2009年には「天の川鉄道の夜」で若田光一(1963~)が登場。
若田光一は1973年当時で10歳だったので、もし『ドラえもん』の時代設定が1975年ごろであれば12歳くらいの少年だったはずだ。2009年のアニメでは放送当時の大人の姿で登場したので、やはり時代設定は放送時になっている。

その後、本人出演は途絶え、2010年に福山雅秋が登場。声も最初は福山雅治とは別人であった。これを知った福山雅治が自ら声を当てることを志願し、『新・のび太と鉄人兵団』で福山雅治が福山雅秋の声で出演したわけだ。
今回の甘栗旬も小栗旬が自ら声を当てることを志願したらしい。

アニメ『ドラえもん』のスタッフは「若田光一」から「福山雅秋」までの間に、有名人をそのままアニメキャラクターにする方針を改めたようである。そして「西条ひろみ」のように実際のタレントの名前に似せながらアレンジする原作のスタイルに戻ったようだ。

一度、郷ひろみの声で「西条ひろみ」の場面を、または伊藤つかさの声で「伊藤つばさ」の出演シーンを視聴したいものだ。

ちなみに福山雅治は1969年生まれで、1969年12月の『ドラえもん』原作開始からほぼ1年前(2月生まれなので10箇月前)に生まれたことになる。
小栗旬は1982年生まれであるから7歳の玉子が松田聖子の握手会の海上を訪れた時期に生まれたことになる。小栗旬は自分が生まれた年の映画『のび太の大魔境』を何度も観たらしいので、おそらくビデオで観ていたのだろう。

甘栗旬が登場したのは四次元ポケットのスペアの話である。ここでのび太はスペアポケットの存在を始めて知ったようだ。
『のびたのワンニャン時空伝』ではのび太がスペアポケットを使っていたし、『新・鉄人兵団』では静香がスペアポケットを使っていた。
のび太が甘栗旬の家を訪れたのはこれらの前の話であろうか?

ここでのび太が「代替わり」していると考えると説明がつく。
『ワンニャン』は2004年3月公開の映画なので、のび太は2003年度で小5、1992年8月7日生まれであった。成海璃子と同い年で、2011年の誕生日では19歳である。
『新・鉄人兵団』の2011年3月公開で、のび太が2010年度で小5とすれば、1999年8月7日生まれ。2011年4月から小6になっているはずだ。
つまりこの映画2作ののび太は2011年春以降の『ドラえもん』ののび太とは「別人」である。
今回の「四次元ポケットにスペアがあったのだ」ののび太は2011年度で小5なので2000年8月7日生まれ。

2005年春から音楽がリニューアルされている。このほうが新鮮である。
アニメの『新巨人の星』で『巨人の星』の音楽が一部で使われているが、『新』のアニメに会うのは『新』の主題歌「よみがえれ飛雄馬」「心に汗を」のメロディである。必殺シリーズも『仕掛人』の「荒野の果てに」や『新仕事人』の出陣または主水のバラードが定番のようだが、細かく見ると作品ごとに音楽をリニューアルしている場合が多い。

前後一覧
2011年7/8 7月