後半の1時間弱を観た。
幕末の仁(假に仁1とする)が崖の近くで倒れ、薬の入った小瓶を残して現在にタイムスリップ。

和服姿で倒れているところ救急車で運ばれ、なぜか現在の仁(つまりもう一人の自分、仁2とする)によってオペされる。患者となっていた仁は頭の中に胎児型の腫瘍があり、現在の仁2が摘出。幕末から戻った仁1がそれを持って逃げようとし、現在の仁2と非常階段でもみあいになり、現在の仁2が階段から落ちて消えてしまう。
患者の仁1は非常階段で再び意識を失い、病室で気が付くと自分は洋服姿で倒れていたことになり、自分をオペした医者は杉田(演:戸次重幸)で仁2とは別人だった。つまり非常階段での一件でまた歴史が変わったようだ。
杉田医師を演じた役者は『1リットルの涙』で池内亜矢の担任を演じていた人か。

仁1は同僚の若い医者・野口(演:山本耕史)に「現在の医者が幕末にタイムスリップ」という話を小説にしようと提案。山本耕史はNHKの『陽炎の辻』で観たことがある。
野口は確か白板にこういう図を描いていたと思う(録画できないので記憶で書いた)。
矢印は劇中では斜めである。

_1868年5月20日________2009年10月11日
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A_↓______________
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B_↓______________
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C_↓______________
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D_↓______________

最初の現在の医者(仁1)はAの世界の21世紀の医者で、タイムスリップしたとき、AでなくBの世界の幕末に行ったという解釋だ。そしてAの医者(仁1)はBの幕末からBの現在に戻って自分(仁2)のオペを受けたことになる。
仁1はこれを聴いて、自分は歴史を変えてはいない可能性もあると考えた。

現代に戻った仁1は幕末の医学史を本で調べると仁友堂のことが書かれてあり、幕末で知り合いだった人たちの名前と写真が並んでいたが、仁と橘咲(演:綾瀬はるか)の名がない。仁2が仁1に代わって幕末で医療を続けたわけではないようだ。つまり仁2もこの世界から消えたわけだ。

仁1は街で橘医院(看板は縱書きで「橘醫院」)を見つける。そこで橘咲の子孫(実は養女の子孫)である橘未来(~みき、演:中谷美紀)と出会う。咲は病気で命が危うくなったが奇跡的に助かった。咲の兄が崖で小瓶を見つけ、中の薬を使ったら助かったらしい。咲は明治維新後、女医を続けたらしい。健在だったのなら仁友堂に関する史料にも名前くらい書かれてあってよさそうなものだ。

仁が龍馬と一緒に撮影した記念写真では仁の姿が消えていた。
橘未来は仁に咲の書いた文(ふみ)を手渡した。
咲は病が治ったあと、南方仁の名前を忘れたが、仁の存在を覚えており、周りに訊いて回ったもののそのような人物がいたことを誰も覚えていない。
咲は「○○先生へ」と書いててがみを残した。「この思いを」が歴史的假名遣いの「思ひ」でなく現代假名遣いの「思い」である。仁が咲に教えたか、幕末には現代假名遣いのもとができていたか。

『必殺仕事人2009』や『水戸黄門』でも手書きの字が現代假名遣いである場面があった。
その後、その橘未来が脳に腫瘍のある患者として運ばれてきて、仁が執刀を志願。これでこのドラマは終わった。

仁のいた幕末といなかった幕末がパラレルワールド、つまり別世界であるなら、咲が南方仁の名前と顔を忘れても仁に関する記憶(「揚げ出し豆腐」など)が残っていたのは不思議だし、仁と龍馬のツーショット写真で仁の像が消えたのに、咲が書いたてがみが残っていたのも不思議。ある意味で咲の書いたてがみには「南方仁」の名前が書かれておらず、「○○先生」だったため、歴史の「修正力」の影響を受けなかったのであろうか。

橘医院の橘未来(~みき)が橘咲に似ておらず、野風に似ているのは不思議だったが、橘咲が独身を貫き、安寿(おそらく野風のむすめ)を養女としてもらったことから、橘未来は咲の血を受け継いではいないことがわかり、これで納得である。

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2011年6/26 6月

関連語句(タイトル)
JIN-仁- 言語問題