「つづきスプレー」で入学式のときの小さなのび太の写真があり、ここでのび太は眼鏡をかけていた。
「思い出せ!あの日の感動」では入学寸前ののび太は眼鏡をかけていなかった。

ここで問題なのはドラえもんが野比家に居候を始めたのがのび太の小学校入学の前か後(あと)かという問題だ。
原作では1970年の『小一』から『小四』までの1月号でドラえもんが野比家に居候を開始した。
これが「のび太とドラえもんの初対面」でないことはのちに「弟をつくろう」などで幼稚園児のころののび太がドラえもんを見ていることからわかる。

さて、てんコミ第1巻「未来の国からはるばると」では正月にドラえもんが野比家に居候を始めた。
雑誌は1970年『小四』1月号なのでのび太は1959年8月7日生まれ。1969年4月に4年生に進級し、1970年3月に第4学年を修了、70年4月から小5だったわけだ。
こののび太はてんコミ第1巻では1960年生まれに変更されているようである。
雑誌掲載当時、大学受験が1978年2月~3月だったのが1979年2月~3月になっているからだ。

ここで学年ごとに入学の時期を考えてみる。のび太は8月7日生まれなのでこうなる。
1970年『小一』1月号ののび太←1962年生まれ、1969年4月小学校入学。
1970年『小二』1月号ののび太←1961年生まれ、1968年4月小学校入学。
1970年『小三』1月号ののび太←1960年生まれ、1967年4月小学校入学。
1970年『小四』1月号ののび太←1959年生まれ、1966年4月小学校入学。

同級生のうち、スネ夫は2月生まれなので、のび太が1962年生まれの場合、スネ夫は1963年生まれとなる。
1962年生まれののび太はドラえもんの居候が始まってから3箇月で小2に進級している。1961年より前に生まれたのび太はドラえもんが居候を開始した時点で小2以上であり、1963年以降に生まれたのび太は1970年正月の時点でまだ幼稚園児であった。のび太が幼稚園児の段階でドラえもんを受け入れたとすると入学式のときにドラえもんは野比家にいたことになるが、作品を見る限りその様子はない。
のび太が小1だった1年は満6歳の4月→5月→6月→7月→8月(8月7日が7歳の誕生日)→9月→10月→12月→年明け1月→2月→3月という経緯をたどる。
もしドラえもんの居候開始がのび太の小1時代の1月とすると、のび太が小1だった時代の4月から12月までの間にはドラえもんはいなかったことになる。

雑誌掲載当時の『ドラえもん』では『小一』の4月号から12月号までの作品でもドラえもんはのび太のそばにいるが、この場合、ドラえもんはのび太が幼稚園の年長組だったときに居候を始めた可能性が高い。

一方、てんとう虫コミックスや小学館コロコロ文庫ではのび太は小4であり、この場合、ドラえもんとの出会いは前の学年の小3の3学期だった可能性がある。もし小4の1月でドラえもんと共同生活を始めたとするとその年の4月で小5になるので、前年の4月から12月まで(小4の1学期と2学期、冬休み前半)でドラえもんがいることと矛盾するからだ。
例えばてんコミ第2巻「ぼくの生まれた日」ののび太は1964年8月7日生まれである。1972年の雑誌では1962年生まれだったが、単行本が1974年に出たのでそれに合わせてのび太が2年「若返った」のでる。
この場合、のび太は1974年4月から1975年3月まで小学4年生であった。ドラえもんが居候を始めたのは1974年1月であろう。このとき、のび太は小3の冬休みであった。
単行本でのび太が小4だからといって原作第1巻のドラえもんとの共同生活開始のときものび太が小4だとすると話がおかしくなる。正月は1年の初めであるが、学年(年度)の中では後半に属するからだ。
もしのび太が1964年8月生まれで、ドラえもんの居候開始がのび太の小4の正月だったと假定すると、ドラえもんとの共同生活は1975年1月以降になってしまい、1974年の夏や師走にのび太がドラえもんと一緒にいたことを説明できない。もし、のび太が小4の正月でドラえもんと共同生活を始めたとすると、春や夏、秋にドラえもんと一緒にいるのび太は小5以上の学年ということになる。

また、テレ朝とシンエイ動画のアニメではのび太は小5である。したがってドラえもん出現は小4の冬休みだったと考えられる。小5の冬休みだとすると、それは小5の春の新学期や夏休みや秋の2学期より後(あと)になるから、これらの季節を題材にした話でのび太は小6ということになる。
春から年末までで小5ののび太がドラえもんと一緒にいる場合、どのドラえもんはのび太にとって小4のときから居ついた存在である。

2011年3月まで小5ののび太が小5だったのは2010年4月から。ドラえもんの居候開始は2010年1月、のび太が小4だった時代かそれより前であろう。こののび太は2006年4月に小学校に入ったので、小学生のときにドラえもんが居候を始めたとすれば2007年、2008年、2010年のいずれかの正月のできごとである。
一方、2011年4月以降ものび太が小5であればそののび太がドラえもんと出会ったのは2011年1月かそれより前の正月である。