2006年12月9日の日刊スポーツ電子版より。
NHKによると、スタッフらが台本を手直して新たに書き加えた内容に間違いがり、俳優や脚本家や時代考証の專門家のミスではなかったらしい。
問題は12月3日日放送の、秀吉の妻・高台院(演:浅野ゆう子)と山内一豊の妻・千代(演:仲間由紀恵)の会話で、放送シーンは江戸幕府ができた1603年の設定。秀吉が1598年に没してから5年、1600年の関ヶ原の合戦から3年が経過した当時の会話という設定だ。これが放送では高台院の台詞が「関ヶ原の戦から3年、うちの人(秀吉)が死んで10年」となっていた。関ヶ原は1600年だから1603年当時で「関ヶ原から3年」はいいとして、秀吉の没年は1598年だから1603年はそれから5年後であり、正しい高台院の台詞は「死んで5年」のはず。

2009年の『天地人』では初音(演:長澤まさみ)が真田幸村の「妹」から「姉」(下注釋)に変更された。
NHKも時代考証を気にして「誤り」があれば訂正するようだ。
『功名が辻』では信長を舘ひろしが演じたが、本能寺の変のとき、お濃(演:和久井映見)が薙刀(なぎなた)で明智軍と戦っていた。『国盗り物語』『徳川家康』でも役者を変えながら繰り返された場面だが、『天地人』と『江』では採用されていない。『天地人』では初音が女たちを連れて本能寺から逃げたあと、上杉謙信の亡霊が信長の前に出現し、『江』では江の幻が信長の前に現れ、次に家康の伊賀越えに加わっていた江の背後に信長の亡霊が出現した。
こういう脚色はNHKも「自由」でいいと考えているのだろう。

『天地人』では秀吉(演:笹野高史)が信長(演:吉川晃司)より年下には見えなかった。

『江~姫たちの戦国~』の場合、出演者の年齢がキャラクターの年齢と合っていないことが指摘されているが、NHKはそこは気にしていないようだ。

『江』では市の自害のあと、3姉妹のイトコ(從姉妹)に当たる京極龍子が登場する。こちらは生まれた年がわからないので茶々や初、江と同世代に見えても年上に見えても問題ない。京極龍子を演じる鈴木砂羽は1972年生まれなので宮沢りえより1歳年上。外見上、茶々とほぼ同い年になる。
一方、細川ガラシャは江より10歳年上、初より7歳、茶々より6歳年上であったが、大河『江』で観る限り、江や初とほぼ同世代に見えた。ガラシャを演じたミムラは水川あさみと同じ1984年生まれで、上野樹里よりわずか2歳年上である。

前後一覧
2011年3/24 3月

関連語句
功名が辻 時代考証 [1] [2] 江~姫たちの戦国~ 年齢 真田幸村 姉 妹


注釋
真田幸村の「妹」から「姉」
初音は架空のキャラクターである。『真田太平記』では幸村(演:草刈正雄)に兄と弟のほかに妹がいて、妹を岡田有希子が演じていた。大坂夏の陣で幸村とその父は豊臣方、兄は徳川方、妹の嫁ぎ先(義理の弟)も徳川方、幸村の実弟は豊臣方で幸村の軍に加わっていた。
「姉」と「妹」はシナ語や朝鮮語でも区別されるが、欧洲語では区別されない。
シナ語では「姐姐」jiejie と「妹妹」meimei になる。
朝鮮語では「姉」が男にとって nuna で、女にとって eonni で、「妹」は nyeo-dong-saeng→yeo- となり、漢字で書くと「女同生」である。
一方、英語の sister とドイツ語の Schwester とロシア語の sestra はすべて「姉」と「妹」を両方意味する。
3月24日NHK『ニュース7』で東北の姉弟が取材に応じていたが、英語の副音声では brother and sister で、どちらが年上か言及されていなかった。
日本語の場合、イトコであればカナで書く限り年上か年下かはどうでもいい。
シナ語ではイトコでも男女、年上か年下かで区別しないといけない。


参照
2011年3月(古代史、藤子、時代劇、近現代~未来、スポーツ、世界史)