大地康雄がこう語っている。
いくさか家族か…美女4人と“大地勝家”の葛藤
産経新聞 3月6日(日)18時17分配信
「運命とはいえね…。ドラマでは、美女たちを前に、子どもみたいにはしゃいでみてしまい(笑)。今まで皆様が見たことのない勝家像が出てると思います。9話の冒頭では、家族と刺繍(ししゅう)をするシーンがありますが、勝家のイメージではまったくなく、(脚本は)やりすぎなんじゃないかなと思ったけれど、家族が出来上がっていく大きなきっかけになっているんです」

大地康雄は自分なりに資料(史料)を読んで柴田勝家のイメージを作ったが、『江~姫たちの戦国~』での描写が從来のイメージと違うので「やりすぎ」と思ったらしい。それでも家族ドラマとしてこれをプラスに評価していったようだ。逆に言えば歴史ドキュメンタリーでなく家族ドラマと解釋してやっと納得できる展開なのだろう。
Y!Japan 大地康雄 勝家 産経 脚本 やりすぎ

大河ドラマは歴史上の人物のイメージを変える試みを何度かやっていた。
日野富子(『花の乱』)や春日局がその例だし、戦国末期~江戸初期の大河で常連の徳川家康にしても滝田栄が名君として演じて狸親父のイメージを一新した。それでも津川雅彦や松方弘樹が演じた家康はまた悪役となっていた。

こうなると一度は吉良上野介を善玉に描いてほしいものだ。

ネット上では「江が『のだめ』に見える」という意見もあったようだが、それだけ『のだめカンタービレ』を見ていた層が『江』をしっかり観ていることになる。
『のだめ』を見ていない側はそんな感想は持たないが、江が1579年に数え年7歳(1573年生まれ)になった時点で24歳(上野樹里は1986年生まれで『江』開始当時は誕生日前)の女優が演じていることや、戦国時代の人が自由気ままに動き回って、やたら現代的な反戦思想を言うのが目立つくらいだ。
むしろ『戦国自衛隊』のように現代人が戦国時代にタイムスリップした話に近い。
例えば『JIN-仁-』では現代の医者が幕末にタイムスリップして、姿だけ江戸時代風にしていたのだが、今回の江も現代の日本の女の子が戦国時代にタイムスリップして、髪型と服装だけ戦国風にしているように見える。

昔の『おんな太閤記』や『徳川家康』『独眼竜政宗』のときはいろいろ脚色はあってもテレビがタイムテレビとなって戦国時代や江戸時代を観ているような気分で観ていたが、昨今の『龍馬伝』『篤姫』『天地人』『江』を観るとどうも現代の俳優が時代劇風の格好をしただけで、現代人の感覚で現代風の劇をしているように見えてしまう。これが脚本のせいなのか、役者のせいなのか、映像が綺麗すぎるせいなのか、観る側の意識の変化のせいなのか、まだよくわからない。

前髪を上げて額を見せるようになった上野樹里扮するお江は、『咲くやこの花』に出ていた成海璃子に少し似ている。