日テレで『猫の恩返し』をやっていたのは何かの因縁か。

原作で3億年前の古生代石炭紀だったのが、この「子犬イチの国」では2億5000年前の二畳紀だ。
作品ではペルム紀(Permian period)と呼ばれている。
手持ちのパソコンではプログラマーの教養不足か、「ぺるむき」で「ペルム紀」が出なかったので単語登録した。

この作品ではイチの国が直面した環境変動をペルム紀末の大量絶滅にしている。
それでも3億年前から5000万年後であり、もし、イチの国が3億年前から1000年後の時代にあっても、このペルム紀末期の環境変動は遥か未来である(下注釋)。

まず、冒頭で出木杉と静香が新聞を観ており、そこで遺跡のニュース。
のび太とドラえもんが子犬や子猫たちを2億5000万年前の地球に送り、のび太がイチを忘れられないので、ドラえもんの提案で別れた日から数年後の世界に。
そこは暗黒の世界で、ドラえもんはここでペルム紀の大絶滅のことを思い出す。

そこでのび太とドラえもんは「少し前」の時代に行く。するとイチの国で近未来的な文明。ドラえもんたちが驚いて前編は終わった。

原作ではのび太がイチたちを解放した太古から、のび太が次に訪れたイチの国まで、時代の差が1000年であり、これは『ワンニャン時空伝』でも同じだったが、この「子犬イチの国」ではどうも数年になっているようだ。
1000年後であれば犬が1000年も生きられるはずがない。
原作では3億年前から1000年後(注釋)においてのび太が出会ったのはイチとそっくりではあってもイチの子孫で、イチ本人(本犬?)ではなかった。

『ワンニャン時空伝』では1000年後のワンニャン国にハチがいて、これはイチが年を取った後、タイムマシンで3億年未来ののび太に会いに行こうとして、張空間のねじれゾーンで子犬に若返ってしまい、1000年後のワンニャン国についてしまって、その後少し成長した姿であった。
ハチは最初、のび太を覚えていなかったが、あとで思い出した。

今回のアニメではこの「1000年」を「数年」にして、のび太とイチの再会を自然なものにしたのだろう。

3億年前___ のび太がイチたちを解放(てんコミ22「のら犬イチの国」) 
3億年前___ のび太がイチたちを解放(2004年映画『のび太のワンニャン時空伝』) 
↓1000年以内_ ドラえもんが猫2匹を送り込む(てんコミ27「恋するドラえもん」)
↓1000年後
古生代____ のび太がイチの子孫と再会(「のら犬イチの国」)
古生代____ のび太がイチと再会(『ワンニャン時空伝』)
2億5000万年前 のび太がイチたちを解放(2010年アニメ「子犬イチの国」)
↓数年後?
ペルム紀末_ のび太が文明化したイチの国に到着(「子犬イチの国」)
↓数年後?
ペルム紀末_ ペルム紀末大量絶滅


前後一覧
2010年10月 10/16 10/22 10/22前後

関連語句
歴史観 ドラえもん 歴史観
子犬イチの国 イチ 「イチ」 のら犬 イチ 3億年前 子犬 イチ ドラえもん


注釋
3億年前から1000年後
単純計算で2億9999万9000年前だが、3億年前における1000年後は3年前における5分後のようなもので、ほぼ誤差の範圍内である。
└→のら犬「イチ」の国における1000年

遥か未来である
原作のようにイチたちが3億年前に送り込まれた場合、1000年後の気候変動(映画では隕石大量落下)も遠い未来のことだっただろうが、5000万年後のペルム紀末期も遥か未来である。
例えば現在から5000万年前は新生代古第三紀始新世(Eocene)である。
ヒトの祖先は新第三紀鮮新世(Pliocene)、約500万年前から約160万年前までの時期に出現したので、5000万年前はその10倍も昔だ。
『ドラえもん』の「石器時代のホテル」という話では、ドラえもん、のび太、静香、ジャイアン、スネ夫が約2万年前、第四紀更新世(Pleistocene)の地球で氷河期の寒さに直面していた。この当時の人類が2万年後の21世紀(原作が描かれたのは20世紀であろうが)における「地球温暖化」などを恐れたはずがない。


参照
『ドラえもん』で描かれた主な歴史(太古~古代)
『ドラえもん[恐竜編]』(小学館コロコロ文庫)における歴史観
2004年『映画ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』フィルムコミック(小学館)
藤子作品関連(2010年10月~)