奉行を主人公とした時代劇では『大岡越前』と『遠山の金さん』が有名である。
大岡忠相は享保の改革の時代の南町奉行であり、遠山景元は天保の改革の時代の北町奉行であり、価格終了後は南町奉行もつとめた。
しかし、大岡と遠山では改革に対するスタンスが逆であった。
大岡忠相は吉宗の享保の改革に協力的だったのに対し、遠山は水野忠邦の天保の改革に批判的だったらしい。
TBS『大岡越前』とテレ朝『暴れん坊将軍』では宗春は悪玉になることが多く、『遠山の金さん』では鳥居が悪玉に近い。
徳川吉宗も水野忠邦も改革で倹約を進めたのだが、この違いはどういうことか。
天保の改革は庶民への締め付けが強かったということであろう。
天保の改革は庶民への締め付けが強かったということであろう。
高校の日本史の先生が「吉宗は幕府にとって名君であって、上米の制で農民は苦しんだ」と言っていた。
そうなると徳川光圀や徳川吉宗を英雄とする時代劇も所詮は徳川幕府を美化する工作に近いかも知れない。
時代劇の『暴れん坊将軍』自体、第1部は「吉宗評判記」ということばがついており、吉宗を賛美する歴史書をドラマにしたようなもので、毎回のエンディングのナレーションがそうであった。
『水戸黄門』のもとは『水戸黄門漫遊記』であり水戸徳川家の権威を人々に宣傳するための作品だったわけだ。
そうなると徳川光圀や徳川吉宗を英雄とする時代劇も所詮は徳川幕府を美化する工作に近いかも知れない。
時代劇の『暴れん坊将軍』自体、第1部は「吉宗評判記」ということばがついており、吉宗を賛美する歴史書をドラマにしたようなもので、毎回のエンディングのナレーションがそうであった。
『水戸黄門』のもとは『水戸黄門漫遊記』であり水戸徳川家の権威を人々に宣傳するための作品だったわけだ。
さて、大岡忠相と遠山景元の間の時代に生きていたのが松平定信、寛政の改革をおこなった老中である。
松平定信は田沼時代の浪費を減らすために倹約の政治を進めた。
田沼時代を扱った作品では『江戸の鷹』『殿さま風来坊隠れ旅』『剣客商売』がある。
時代劇では『剣客商売』で田沼が肯定的に評価されているが、『殿さま風来坊隠れ旅』では田沼意次の評判がよくないように見える。
松平定信は田沼時代の浪費を減らすために倹約の政治を進めた。
田沼時代を扱った作品では『江戸の鷹』『殿さま風来坊隠れ旅』『剣客商売』がある。
時代劇では『剣客商売』で田沼が肯定的に評価されているが、『殿さま風来坊隠れ旅』では田沼意次の評判がよくないように見える。
寛政の改革開始の前後には天明の飢饉と一揆も続いたようで、フランス革命とも時期が重なっている。
寛政の改革の時代を描いた作品では『おろしや国酔夢譚』『大江戸捜査網』『鬼平犯科帳』『だましゑ歌麿』があり、改革への評価は良くも悪くもなく、中立的といった作品が目立つ。
『江戸の鷹』では家治がお鷹組を組織する二重行政をおこなっていたが、『大江戸捜査網』では松平定信が隠密同心を組織(直接には隠密支配の武士が担当)して庶民の味方のようであり、『だましゑ歌麿』では改革の行き過ぎが問題視され、長谷川平蔵が定信に改革の行き過ぎを是正するよう望むようなことを言っていた。『おろしや国酔夢譚』では定信は鎖国の政策を理由に、帰国した光太夫たちに一度は「おろしやに戻ってもらおう」と言い放つ非情な一面を見せていた。
カゴ直利が描いた日本史の漫画では、寛政の改革が始まったとき、庶民は「田や沼の汚れた御世を改めて清く進める白河の水」というような川柳を詠んで歓迎したが、改革が進んで縛りがきつくなると「白河の清きに魚も住みかねてもとの濁りの田沼恋しき」と詠い、僧侶が「みな、以前はあれほど田沼を批判していたのに人間とは勝手なものじゃ」とコメント。
└→その2
└→その2