ブラックコンドルが親友の結婚式に行く途中、ひったくりを追いかけて、刃物で刺され、結婚式を観ながら息を引き取る結末。
Y!Japan ジェットマン 最終回

10月11日の『深イイ話』では島田紳助が「死ぬほど出血して周りの誰も気づかないのか」と言い、チュートリアルの一人も「何度も悪と戦った人がひったくりに刺されて死ぬのか」と突っ込みを入れていた。

『必殺仕業人』では中村主水が背後から悪い男を刺して去って行ったとき、その男が倒れているのを観た別の男が「なんでえ、そんなところで」と笑っており、この刺された男が酔っ拂って眠っているとでも思ったのだろう。しかし実際にこの悪い男が刺されたら周辺は血の海になっていたはずだ。
時代劇では主人公が刀で敵を斬ったり刺したりしても服は破れていないし血も出ていない死、主人公は帰り血も浴びていない。それでいて刀の血を拂ったり、紙や相手の服で拭いたりする仕草も時折見られる。

『新必殺仕置人』の最終回、念仏の鉄は相手の短刀を腹に受けてしまうが、同時に相手の骨をはずし、最後は遊郭で女郎と一緒に寝ているときに息を引き取った。
しかし、このとき敵に刺された鉄の腹の傷はどうだったのか。鉄は按摩・骨接ぎの医者だったから血止めくらいはできたはず。それをしないと吉原でも鉄が移動するたびに地面や床が血だらけになっていたはずだ。周りの人は即刻、近くの医者を呼んだだろう。

『タイガーマスク』の原作ではリングで何度も死線をくぐり抜けてきた伊達直人が交通事故死という結末で、『ジェットマン』もこれに似ている。

刺された当人が教会に行く体力がありながら病院に行かなかったことについては『愛と誠』の最終回を思い出した。

また、『魁!!男塾』では主人公・剣桃太郎がそれまで各種の大武会で超人的な剣法や体術でエジプトやガンダーラの超人的な男たちを倒してきたのに、最終話で日本の普通のヤクザと戦って傷を負いながら必死で戦う展開となり、個人的には唖然としたのを覚えている。最終的に桃太郎は無事(?)卒業し、続編では一度は総理大臣になったようである。

中村主水の場合、『主水死す』では爆死(?)の直前にお千代(演:名取裕子)に背後から刺されているが、これは主水が油断しすぎであろう。『仕業人』第27話「あんたこの逆恨をどう思う」で主水は頭上に隠れている盗賊の気配を見抜いて大刀で下から刺しているし、『主水死す』でも橋の上で捨蔵(演:細川文江)と話していたとき、橋の下にいた清太の気配を見抜いて、捨蔵が去ったあと、主水は池に小石を投げいれて清太に「今、あの二人に手出すんじゃねえぞ」と忠告していた。
その主水が背後にいる千代の気配には気づかなかったということは、千代は主水に気配を悟られない特殊な能力を持っていると考える意外にないだろう。

なお、時代劇の主人公やその部下、仲間も、例の「×時45分」のクライマックスでは相手が何人いようと倒してしまうほど無敵なのに、それ以外のときでは大して強くなかったりして、簡単に取り方に捕まったりする場面がときどきある。

時代劇で一人が複数の相手を倒す場合、相手の攻撃を受けているときでも、ほかの敵は攻撃してこないのがお約束で、殉職を描くときはそのお約束が破られる。

全体的に『深イイ話』はスタジオの出演者同士の無駄話と、テレビ番組以外の話、藝能人のプライバシーの話で時間が浪費されている傾向があり、2時間番組でも見る価値があるのは数分だけのようだ。
過去のドラマの名シーンと解説だけに内容を限定した番組を作ってほしいものだ。
VTRを流すとき、スタジオのタレントの表情を小窓のような画面で出すのも安易である。あんなもの不要だ。

東映戦隊シリーズの原点は石森章太郎の『ゴレンジャー』であるが、その5人編成のヒントになったのはタツノコプロの『科学忍者隊ガッチャマン』であろう。『ジェットマン』は変身後の姿のモデルが鳥である意味で『ガッチャマン』に近づいているとも言える。


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2010年10月 10/11 10/12