小林桂樹が亡くなった。
1923年生まれなので岩田鉄五郎と同い年である。

 

小林桂樹はフジテレビの『仕掛人藤枝梅安』(1982年)で梅安を演じていた。

 

フジテレビの小林桂樹版『梅安』 が放送されたのは1982年から翌83年まで。
当時、朝日放送の必殺シリーズでは『新必殺仕事人』の後半~『新必殺仕舞人』~『仕事人大集合』~『必殺仕事人III』を放送しており、1972年に朝日放送が『梅安』を原作に緒形拳主演で『必殺仕掛人』を作り、フジテレビの『木枯し紋次郎』にぶつけたときから10年が経過していた。
その仕事人ブームの真っ最中の時期に、フジテレビが原作に近いドラマで『仕掛人藤枝梅安』を放送したのは注目すべきことであった。

 

小林桂樹版『梅安』で音羽屋半右衛門を演じたのが中村又五郎。
吹き屋の彦次郎を演じたのが田村高廣。彼は1973年に『助け人』で中山文十郎を演じていた。
小杉十五郎を演じたのは柴俊夫。1985年から『仕事人V激闘編』で壱を演じることとなる。

 

その後、フジ『梅安』では1990年に渡辺謙が、2006に岸谷五朗が梅安を演じたが、個人的には小林桂樹の梅安が印象的であった。
他の渡辺謙や岸谷五朗の梅安には怖さや謎めいた部分があったが、小林桂樹の梅安は仕掛人らしくない「普通のオジサン」という雰圍気を持っていた。

 

緒形拳が梅安を演じた朝日放送の『必殺仕掛人』は再放送で観たので、観た順序では小林桂樹の『梅安』のほうが先であった。

 

さいとう・たかをが描いた劇画版の『梅安』があり、和風『ゴルゴ13』のような作品であるが、小林桂樹版『梅安』と同じ原作を扱った話の場合、読んでいると頭の中で梅安の声が小林桂樹の声になる。

 

岸谷五朗が梅安を演じた2006年の『梅安』では藤田まことが音羽屋を演じている。
朝日放送が『必殺仕事人2007』で中村主水を再登場させたのはその翌年であった。
Y!Japan 岸谷五朗 梅安 藤田まこと

 

9月19日付の朝日新聞で小林桂樹死去を報道した記事では、共演者だった森繁久弥(久彌)の「久弥」が略字で印刷されていた。「弥生時代」や「風車の弥七」でわかるように今の日本では「弥」を使うことになっているので「森繁久弥」とするのが当然であるが、ネットなどでは「久彌」が多く、初め「久弥」と打ちこんであとで「久彌」にしようか考えたりしていた。こういうことに悩まないといけない状況は非常に面倒だ。

 

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2010年9月 9/18