『ドラえもん』の登場人物が携帯電話を持つことに対する賛否

テレ朝版『ドラえもん』が始まった1979年、インベーダーゲームが流行し、『コロコロコミック』で『ゲームセンターあらし』が78年から始まった。
しかし、子供がゲームに夢中になることが問題化し、作中でも小学生がゲームセンター出入り禁止になってしまう。石野あらしの戦歴には、大平首相らしき人物からゲーム勝負を挑まれたり、プールでサーフィンしながら勝負、果ては核戦争を防ぐために核ミサイルを撃ち落とすなど、ゲームセンター以外の勝負の場面が増えた。
『ドカベン』でも、おそらく1979年の秋、明訓高校2年だった夏川夏子が紫苑というゲーム喫茶でインベーダーらしきゲームをしていた。

もし、携帯電話を『ドラえもん』の話に採用するなら、どういう形にするか。
例えば、作品でのび太の学校で携帯が禁止され、のび太たちがドラえもんの糸なし糸電話に頼る設定も可能である。
しかし、実社会での禁止は、携帯電話が悪用されて子供に有害ということから来ており、これは『ドラえもん』の世界に喩えれば便利な道具がもたらす予想外の災難に近い。

作品ではドラえもんの秘密道具のマイナス面も多く描かれている。
「どこでもドア」や「通りぬけフープ」など、実現したらセキュリティーの面では大問題になるだろう。

つまり、秘密道具を使い損ねた失敗が『ドラえもん』のギャグの根幹であり、人類が環境を破壊して文明を進歩させても、最終的に世の中がよくなるか否かは人間次第であるというのがこの作品からわかることだ。

したがって、もし、携帯電話を『ドラえもん』で扱う(下注釋)なら、携帯を禁止されたのび太とその学友がドラえもんの道具に頼るが、それが犯罪者に利用され、最終的に「便利な電話はこりごりだ」という結論にするのが妥当なところだろう。

我々に確認不可能だが、2112年に『ドラえもん』はどう描かれているだろうか。

2010年9月17日放送のアニメではスネ夫の家のテレビが3Dの新型になるらしい。

2008年4月25日に放送され、2010年3月に再放送された「ぼくの生まれた日」(下注釋)のリメイク版では、いつもの空き地でのび太、静香、ジャイアンたちが自分の赤ん坊のころの写真を見せ合っていて、スネ夫だけ写真でなく小型液晶テレビのようなビデオカメラであった。一方、のび太の父親はフィルム式のカメラで赤ん坊ののび太を撮影していた。

この2008年版「ぼくの生まれた日」ののび太が2008年4月下旬で小5だったとすると、のび太は1997年8月7日生まれ、スネ夫は1998年2月生まれで、2010年3月で小学校を卒業していたことになる(2010年秋のアニメののび太は1999年生まれでスネ夫は2000年生まれ)。スネ夫はのび太の半年後に生まれたわけだが、1990年代末から21世紀初めまではデジタルカメラが普及し始めていた時代。

生まれたばかりののび太が旧式カメラで撮影され、スネ夫がビデオカメラで撮影されたのは、新旧のカメラがどちらも使われていた時代だけの話であり、今後、のび太誕生がアニメ化される場合、のび太の写真も携帯電話かデジカメによるものにしないと時代と合わなくなるだろう。

前後一覧
2009年1/7 1/7前後
2010年9月 9/17

関連語句
『ドラえもん』の時代設定 ドラえもん ぼくの生まれた日


注釋
「ぼくの生まれた日」
てんコミ第2巻収録。雑誌掲載当時に書かれたのび太の生まれた年が単行本で変更されている。これは『大全集』で確認できる。1972年の『小四』8月号でのび太は1962年(昭和37年)生まれだった。松田聖子(1962年3月生まれ)と同い年で1年後輩であった。1974年9月1日初刊のてんとう虫コミックス第2巻でのび太が1964年(昭和39年)生まれになった。真矢みき、温水洋一(ぬくみずよういち)、三原順子も同い年だ。つまりのび太が2歳「若返って」いる。

1964年には東京五輪が開催され、日本柔道の3名が金メダルを獲得し、一人だけヘーシンクに敗れて銀メダルだった時期にてんコミ第2巻ののび太が生まれたわけだ。

この1964年生まれののび太は1974年3月の「さようなら、ドラえもん」のときに小3の課程が終了、同年4月の「帰ってきたドラえもん」のときに小4に進級、3年後の1967年3月の「りっぱなパパになるぞ!」のときに小6の課程を終了して小学校を卒業。それから25年後、大人になったのび太・静香夫妻と少年ノビスケがマンションで生活していた時代は西暦2002年、『のび太とロボット王国』公開の年であった。
一方、2010年度で小5ののび太は2002年の誕生日で3歳、『ロボット王国』公開当時はまだ1歳半だったことになる。
└→のび太の生まれた年とドラえもんの生まれる年の設定
└→松田聖子と野比のび太


参照
のび太の生まれた年とドラえもんの生まれる年の設定
21世紀初めの9年間におけるアニメ『ドラえもん』の時代設定
藤子作品関連(2010年9月~)