もとのタイトルは「歴史ドラマのウソホント」または「時代劇の嘘を斬る」だったそうだ。
時代劇(近代ものも含む)を観ていて、何となく現代風に見える違和感の正体が、この本を読むことでよくわかる。
Y!Japan 歴史ドラマの大ウソ
Google 歴史ドラマの大ウソ
時代劇(近代ものも含む)を観ていて、何となく現代風に見える違和感の正体が、この本を読むことでよくわかる。
Y!Japan 歴史ドラマの大ウソ
Google 歴史ドラマの大ウソ
『篤姫』で若い男女が二人きりで部屋で碁を打っている場面、『龍馬伝』で龍馬がやたら感情を表情にだすことや男女が自分の意志で自由に婚約することの虚構、『水戸黄門』で日本各地の人が江戸(東京)風のことばを話している不自然さなど、この本で指摘されている。
近代史を扱った『坂の上の雲』、昭和を扱った『三丁目の夕日』の事実誤認も指摘している。
大野敏明氏は『暴れん坊将軍』での吉宗が刀で悪人たちを斬っているとしており、柳田理科雄氏も『空想科学読本3』でそういうことを述べているが、『暴れん坊将軍』ではほとんどの場合、吉宗は刀を峰打ちに持ち替えてから戦っており、相手を斬っているのはお庭番2名のほうである。
『歴史ドラマの大ウソ』31ページでは、昔の『水戸黄門』(下注釋)で水戸光圀が白髪の老人なのに紀伊の徳川光貞が青年で、光圀が光貞に説教している場面があったと書かれてあり、光貞は光圀より1歳上で、しかも紀伊徳川家は大納言、水戸家は中納言で、紀伊のほうが身分が上だとして、番組の誤りを指摘している。
確かに徳川光貞は1627年生まれ、1705年没であり、水戸光圀は1628年生まれの1700年没であるから、光貞の方が1歳年上である。
└→『水戸黄門』第8部第15話「和歌山」
確かに徳川光貞は1627年生まれ、1705年没であり、水戸光圀は1628年生まれの1700年没であるから、光貞の方が1歳年上である。
└→『水戸黄門』第8部第15話「和歌山」
『水戸黄門』に関しては、光圀がもっぱら関東だけを回ったことに触れ、多くのページはドラマで水戸や日本各地の人が東京風のことばを話しているのがおかしいとしており、江戸時代には日本語の方言差は大きく、筆談や通譯が必要だったらしい。
そのほか、この本では『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』(下注釋)に関しては、本当は武家屋敷や奉行所に表札がなかった件、幕臣でも将軍の顔を知っている人は限られていたといったことなど、基本的なことに軽く触れているだけで、個別の話の問題については突っ込んでいない。
└→『歴史ドラマの大ウソ』・その2
└→『歴史ドラマの大ウソ』・その2
大野氏によると、『旗本退屈男』に関しては、旗本が月代を剃っていないのがおかしいらしい。すると『闇を斬る!大江戸犯科帳』で里見浩太朗が演じた大目付・一色由良之助が常に総髪だったのも時代考証の「間違い」ということになる。
○小和田哲男『歴史ドラマと時代考証』(中経出版、2010)