大河ドラマ『八代将軍吉宗』では1684年に生まれた吉宗の少年時代から描かれたようで、それで水戸光圀も登場し、『忠臣蔵』の事件も少し扱われた。
『水戸黄門』では光圀が少年時代の吉宗(源六)と出会う話がある。

享保の改革を描いた『暴れん坊将軍』や『大岡越前』では吉宗が将軍になった時期の前後から始まるので、吉宗の少年時代は元禄ものの範疇になる。

『八代将軍吉宗』では津川雅彦が綱吉を演じ、元禄年間のバブル的な時代が描かれたらしい。これは主人公の少年時代から話を始める大河ならではの世界でる。
だからTBSナショナル劇場で吉宗の成長を扱うと、吉宗の少年時代は『水戸黄門』で、大人になってからら『大岡越前』ということになる。これを一つの番組で描いているのが大河『吉宗』であった。

一方、水戸光圀は1628年生まれなので、少年時代は家光の時代である。
藩主になったときには家綱の時代だった。

水戸光圀は大河で何度か登場しているが、いずれも脇役である。
元禄太平記では森繁久弥(下注釋)が水戸中納言光圀を演じ、『葵徳川三代』では中村梅雀が光圀を演じて語りを担当し、さらに女優2名が演じた「介さん」と「覚さん」も登場した。
光圀が生まれた1628年前後を扱った大河ドラマと言えば『春日局』もあるが、家康の孫で登場したのは家光くらいのようである。劇中で生まれた徳川家のキャラクターを探すと、家光の子として1641年誕生の家綱も登場したようだが、お局様が没した1643年で家綱は3歳なので、劇中では赤ん坊が家綱を「演じた」だけだろう。

ドラマの『水戸黄門』は1690年の光圀隠居以降を描いているが、光圀が水戸藩主になる前の話を描いてもよさそうなものだ。
その場合、当然、家光の時代に光圀が少年期を過ごしたので、家光、春日局、柳生十兵衛などが登場するだろう。いくらでも物語は作れるはずだ。

こうなると、『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』がいかに時代設定でも物語のパターンでも決まった枠に縛られているかよくわかる。

ちなみに『龍馬伝』第1話で描かれた龍馬の少年時代は1843年、天保の改革の時代で、北町奉行が遠山金四郎(景元)、南町奉行が鳥居耀蔵で、ちょうど、NHK時代劇『オトコマエ!』で扱われていた時代である。
『龍馬伝』では土佐を、『オトコマエ!』では江戸を描いている。

『龍馬伝』第1話の天保時代は、『オトコマエ!』で描かれた時代における土佐の様子だったことになる。
なお、鳥居耀蔵は1844年に失脚、1845年には土佐に近い四国丸亀藩に贈られた。
土佐は高知県で、丸亀藩は讃岐国、香川県にあった。

前後一覧
2010年4月 4/13前後 4/17 4/17前後

関連語句
光圀 吉宗 光圀 吉宗 年表 光圀 吉宗 年齢


注釋
森繁久弥
NHK出版『大河ドラマ大全』ではこの表記で、「弥」が略字である。一方、NHKサービスセンター『大河ドラマ50作パーフェクトガイド』では「森繁久彌」の表記。今では「久彌」が多い


参照
一般時代劇vs必殺シリーズ(2010年4月11日~)