これは幕末を扱った必殺シリーズ第1号である。

弘化
1844年 高野長英が脱獄、新からくり人一座に参加(『新からくり人』)
___ 中村主水が鳥居耀蔵を暗殺(『オール江戸警察』)
1846年 長英が江戸に帰還か

嘉永
1849年 葛飾北斎没(映画『必殺!主水死す』)
1850年 高野長英没
1851年 水野忠邦没(『主水死す』)
1852年 龍馬が18歳(大河ドラマ『龍馬伝』)
1853年 龍馬が土佐から戸へ(『龍馬伝』)

黒船以降
1853年 黒船来航(『仕留人』第1話「集まりて候」)
1854年 日米和親条約(『仕留人』最終回「別れにて候」)

1855年 京都御所改修工事(『仕事人、京都へ行く』?)
1856年 家定の正室・篤姫が大奥に入る(大河ドラマ『篤姫』)
1858年 安藤広重没(『大老殺し』冒頭)
___ 島津斉彬と徳川家定没(大河ドラマ『篤姫』)
1860年 桜田門外の変(『大老殺し』終盤)
1863年 清河八郎没(『横浜異人屋敷』)
1866~1867年(陰暦で1867~1868年) 慶喜が将軍(『ブラウン館』)
1868年 鳥羽・伏見の戦いで主水が佐々木只三郎を暗殺(『横浜異人屋敷』)

『主水死す』における「天保~嘉永前期の中村主水」は1851年に水野忠邦を暗殺したあと、黒船来航を待たずに爆死したと思われる。将軍は家慶の治世の末期であった。
『主水死す』で主水が出会った捨蔵は女の藝人が男装した姿で、徳川家定の双子の妹だった。
この家定は黒船来航の年、1853年に将軍になった。

作品の流れでは『必殺仕置人』の続編で、第1話で再会した主水、半次、おきんは「鉄や錠もどこかにひそんでいるんだろうな」と言っていたが、この鉄や錠や文政や天保にいた人物ではないだろう。
棺桶の錠はアヘン戦争終結の年にも主水に協力していたが、『仕留人』の主水が裏稼業を始めたのは前年1852年か1853年の黒船直前と思われる。
「試して候」では攘夷派による大筒の試し撃ちがあって、半次が被害者になった。これは1853年か1854年のこと。『横浜異人屋敷』では10年後の1863年にこれが繰り返され、加代が被害者となった。

蘭学者が仕事人または被害者になる話はおそらく、ここからで、それが天保時代を描いた『からくり人』、文政末期までさかのぼった『春雨じゃ、悪人退治』に受け継がれる。

必殺シリーズで最初に三味線のバチを使ったのは『仕掛人』の西村左内であり、糸井貢はバチからかんざしを経由して仕込み矢立てを使った。かんざしは『必殺必中仕事屋稼業』のおせい、『必殺仕舞人』の坂東京山、そして『新必殺仕事人』の秀に受け継がれるが、例えば秀の場合、『必殺まっしぐら!』と『仕事人アヘン戦争へ行く』は天保時代の話であり、時代設定では秀たちのほうが先である

Y!画像 仕留人

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2010年1月 1/30