厳密には「必殺スペシャル・春」と「勢ぞろい仕事人」が前につくが、「春雨」ということばが作品の内容をよく表している。
Wikipedia 必殺スペシャル・春 勢ぞろい仕事人! 春雨じゃ、悪人退治

時期的には『必殺仕事人V風雲竜虎編』~『必殺剣劇人』と『必殺仕事人・激突!』の間に作られた作品。
シーボルト事件を背景に、中村主水が高橋景保のかたき討ちをする話である。
主水が十手を盗まれたのが1828年(文政11年)、高橋景保の獄死が1829年(文政12年)。
主水と組んだ仕事人は加代、鶴、千葉周作、市兵衛(景保の弟)、そしてはぐれ仕事人2名である。

1818年 文政元年
1819年 主水がオランダ商館から表彰される(『必殺仕事人V旋風編』)
1820年 主水が闇の金融組織と激闘(『必殺!III裏か表か』)
___ 文政3年、主水が書庫番に異動(『必殺仕事人2007』)
1821年 文政4年、主水が自身番勤務(『必殺仕事人2009』)
1824年 鳴滝塾設立。徳川家定誕生
1826年 文政9年、のび左エ門が「宝」(のび作へのお年玉)を埋める(『ドラえもん』)
1828年 文政11年、主水が十手を盗まれる(『春雨じゃ、悪人退治』)
1829年 文政12年、主水が高橋景保の獄死を見届ける(『春雨じゃ、悪人退治』)
___ 『浪花の華』と『咲くやこの花』もこの時代の話らしい
1830年 文政13年=天保元年

時代的には『必殺仕事人2009』で主水が自身番勤務だった1821年から7年後が1828年である。
また『必殺!主水死す』で主水が権の四郎、千代と20年ぶりに再会しているが、『主水死す』の冒頭で描かれた葛飾北斎の死は1849年のできごとなので、それから20年前は1829年である。

鳴滝塾は1824年設立。この年に徳川家定が誕生。『主水死す』に登場する家定の双子の妹(大奥では弟と認識)・捨蔵もこのとき生まれたと推定される。
鳴滝塾で学んだ蘭学者に高野長英がいる。
1839年の蛮社の獄で高野長英が投獄され、蘭学者・小関三英が自害。このときの状況が『必殺からくり人』終盤で描かれた。

高野長英は『新必殺からくり人』の冒頭で脱獄。これは1844年のことであった。その直後に天保の中村主水が鳥居耀蔵を暗殺。長英の弟子だった糸井貢は1853年の黒船来航のときに幕末の中村主水と組んだ。
仕事人は蘭学者と縁がある。反体制という点が共通するのだろうか。
なお、『必殺渡し人』の鳴滝忍も蘭法医のようであった。

シーボルトが再度来日したのは1859年。すでに日本が開国したあとであった。このときは安政の大獄の時代で、幕末の主水が地獄組と激闘の最中であった。

この作品は1990年に放送され、既にバブル経済崩壊を描いていた。
同年放送された『江戸警察』はシーボルト事件から12年後の天保の改革を描いていたが、OPで湾岸戦争の世相が見受けられる。


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2010年1月 1/30