巨人二軍寮元寮長・武宮敏明氏死去

KC第14巻、文庫第8巻「不死鳥」、文庫第1刷だと283~285ページに武宮寮長が登場する。
時代設定は1969年夏のオールスターが終わったときのペナントレースの時期。
インターネットで確認するとアニメでは「川上監督の新作戦」に相当するようだ。
星はオズマに大リーグボール1号を打たれたあと、オールスターを辞退していた。
星飛雄馬はマンションの屋上でまりをつく女の子・美奈を見て消える魔球のヒントをつかみ、伴の協力で多摩川グラウンドで練習。巨人首脳部にも連絡しなかったらしい。

夕方になって武宮寮長がやってきて、川上監督が二軍合宿(宿舎)で待っていると星に告げた。

武宮氏;「おうーい、星! ここにおったのかあ。一軍の川上監督がこられてさっきから二軍合宿でおまえを待っておられるぞう!」
星飛雄馬;「むっ‥‥二軍寮の武宮寮長」
武宮氏;「おまえのマンションに電話してもるすだというし、さんざ、さがしまわり、いそがしい監督さんはじりじりしておられるぞっ」

グラウンドに降りた武宮氏はそこで伴宙太を見つける。

武宮氏;「(伴を見て)そこにおるのはだれじゃい!? ば‥伴か。いったいどんな練習やらかすとそこまで汗とどろだらけになるんだ? まるでどろ人形だぞ!(再び星のほうを見て)とにかくペナントレース中の時間をさいて監督はきておられる。タクシーをひろって二軍合宿へ急行せいっ」
星飛雄馬;「はいっ」

普通に考えると球団関係者からの電話は明子が受けたのだろうが、星は行き先を明子にも告げなかったのだろうか。連絡の不備であり星飛雄馬はプロ失格である。
そのあと、星は伴を連れてグラウンドから去るが、伴は始終、片手で両目を隠していた。立ち去る星と伴を観ながら武宮氏は心の中で「伴のやつ泣いとるのか?」と不思議に思っていた。

のちにリーグボール2号は「魔送球による土煙」を使う魔球であることが判明し、この場面はそれを示す伏線となっていた。伴の目の負傷は球団の医者のほか、川上監督にも知られることとなるが、医者より前に「目を傷めた伴」を見たのは武宮寮長だった。医務室で伴は目の負傷を秘密にするよう医者に頼んだが、このことは最終的に左門の弟・妹たち、オズマ、花形にまで知られる結果となった。伴は多摩川では片腕で両目を隠し、その後は9月まで両眼包帯の状態でいたのだから致し方ない結果である。

今にしてみると左腕投手時代の飛雄馬の失踪癖には巨人幹部も相当、手を焼いていたことがわかる。その後、星が右投手として巨人に復帰したとき、巨人首脳部は右投手・星が失踪する前に二軍に落として球団の管理下に置くようになった。その場面でも武宮寮長が登場する。
└→『新巨人の星』で武宮敏明氏が出た場面

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2010年1月 1/16 1/17