初めは将軍がチャンバラをするだけハラハラしたが、すぐに慣れてしまった。

 

初めは松平健の演じる吉宗が「将軍に成りきれない若者」だった。
ところが松平健が年齢を重ねるにつれ、将軍役が「板について」しまった。

 

すると松平健の吉宗は将軍の正装で江戸城にいる姿が似合ってしまい、「徳田新之助」としていつまでも街に出るのは安易で軽率に見えるようになった。

 

『暴れん坊将軍』がほとんど終了したとき、松方弘樹の『遠山の金さん』も終了し、松平健が『遠山の金さん』で遠山景元を演じた。
しかし、すでに町人に化けて隠密行動をするキャラクターが似合う年齢は過ぎていたように見える。

 

もし松平健が『暴れん坊将軍』を始めたころの年齢で『遠山の金さん』に出ていたら景元役も世間に定着していたかも知れない。
里見浩太朗の場合は将軍家関係者を演じたあと遠山景元を演じ、それで違和感がなかった。里見浩太朗の場合は例外であろう。

 

『暴れん坊将軍』終了前後の松平健は、もし景元を演じるなら、『オトコマエ!』で柴田恭兵が演じた景元のように奉行所で若手に指図する役割のほうが似合っていただろう。

 

松平健は1953年生まれ。三田村邦彦と同い年だ。
松平健が『暴れん坊将軍』で吉宗を演じていたのが1978年から2008年までとすると25歳から55歳まで。
一方、「史実」の吉宗は1684年生まれで、将軍だったのが1716年から1745年までなので満32歳から61歳まで、数え年で33歳から62歳までということになる。

 

松平健が遠山景元を演じたのは2007年当時で54歳。
景元は1793年生まれで、北町奉行だった1840年から1843年までは満47歳から50歳、数え年48歳から51歳であった。