「キャンデーなめて歌手になろう」ではジャイアンがプロの歌手の声をコピーしたキャンディーをなめ、それで歌がうまくなった。
するとジャイアンの歌が「へた」とされるのはメロディーの問題ではなく、単に個人の声の問題であろうか。

 

かつて、たてかべ和也がジャイアンの声を担当し初めて間もないころ、『コロコロコミック』の投書欄で、読者が「ジャイアンが歌を歌っていた。のび太とドラえもんは耳をふさいでいたがぼくはいい声をしていると思った。ジャイアンのレコードがほしい」という投書があった。

 

すると単に声の好みの問題かも知れない。
キャンディーでジャイアンがうまくなったとき、音程が正確だったのは、声の質と関係なく、ジャイアンのもとからの歌唱力だったことになる。

 

ジャイアンの声は3代目の木村昴になったが、ジャイアンがうまく歌うカラオケのCMがテレビで流れている。

 

『ドラえもん』の場合、原作を黙読すると、ジャイアンの歌声はつたわってこないが、それだけに読者が頭の中で想像することができる。一方、アニメだと具体的な歌声にしないといけないので、へたな設定でも結構うまかったり、プロの歌手の設定でもあまりうまくなかったりする。

 

そうなると『魔法の天使クリィミーマミ』の主人公・マミの歌唱力がどこから来ているかが、やはり問題になる。小学生の森沢優が魔法で高校生くらいに見えるマミに変身しているのだが、歌声はまるで同じであり、歌唱力も同じ。すると、森沢優は小学生の姿でマミの歌唱力をもっていたことになる。

 

昨今の10歳前後のタレントが歌唱力と関係なくCDを出していることを考えれば、森沢優も10歳の歌手としてデビューできた可能性がある。

 

美空ひばりは子供のころ、歌がうますぎて子供らしくないと言われたらしい。
子供の歌をほめる人は、じょうずでもほめるし、へたでもほめる。
子供の歌をけなす人は、じょうずでもけなすし、へたでもけなす。

 

ジャイアンの歌の設定は落語「寝床」に近い。また、「ドラえもんだらけ」の話は「酢豆腐」に近い。

 

柳田理科雄氏は『空想科学読本6』でジャイアンの音痴を検証している。それによると、声の大きさがめちゃくちゃか、あるいは旋律が平板か、あるいは旋律の上下が極端すぎるかいずれかになるらしい。一方、ジャイアンの歌声でガラスが割れるなどの破壊力は超音波に近いもので、ジャイアンの音域は普通の人間の音域を超えている可能性がある。そうなると、ジャイアンは歌が下手ではあってもプロの歌手に匹敵する音域の持ち主らしい。
すると、旋律と声の大きさ等を訓練で調整すれば、ジャイアンは世界一の歌手になれることになる。

 

『コロコロコミック』2009年12月増刊号の裏表紙にあるカラオケUGAの廣告では、これは歌を上達させるのでなく、音質をよくするものだということが明記されている。

 

空想科学シリーズでドラえもんが扱われたことはあるが少ない。タケコプター、どこでもドア、ドラえもんの体格と野比家の構造、セワシとのび太の関係の予定調和、ジャイアンの歌声…これくらいである。ウルトラ・ライダー・ゴジラ・ガメラ等と比べると圧倒的に少ない。

/午後0:46 · 2012年11月3日/

 

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