『水戸黄門』第40部第15話

第40部第15話では、さくらまや扮する千尋(ちひろ)が一時、誘拐されるなど、危ない目に遭った。

光圀一行はそれぞれの地域に短期間だけ滞在するため、悪事を実際に見届けるため、最初は身分を隠して現地入りし、悪人が何か悪さをしでかすところを光圀たちが確認しないといけない。地元の人は光圀たちが来る前から悪代官や悪徳商人の悪さを何度も目撃しているのに、またかという気分だろう。これでは地元の人の心労も大変だ。地元の人間でない部外者がやってきて短期間で個別の事件を解決しても、根本的な解決にならない。おとり捜査が裏目に出て余計な被害者を出してしまう危険性もある。

むしろ各地の悪人は「水戸老公が来てもすぐ出ていくから大して怖くはない」と安心しているのでは? そのせいで、光圀が何度旅しても、繰り返し日本各地で不正が絶えないのであろう。

水戸光圀主從には関東に滞在してもらい、幕府から各地に公儀隠密を派遣し、各地に常駐させるのが得策だ。

早い話が『水戸黄門外伝・かげろう忍法帖』で光圀から巻物をあずかったお銀と飛猿、仲間の忍者数名が旅をした方法を応用すればいいのだ。弥七やお銀、飛猿に匹敵する忍者や、または将軍家の一員で、しかも光圀よりはるかに若い人物を幕府で多数雇い、高松や庄内藩を初めとする全国各地に派遣し、身分を隠して常駐するよう命ずる。

各地の隠密は事件が起きたときに劇中の光圀主從のように正体を明かして、藩主に報告するなりして不正の首謀者を処罰すればいいのだ。
弥七も江戸でそば屋に徹するか、あるいは伊賀に常駐して東海と近畿の様子を見張ればいい。

光圀と助三郎、格之進は水戸と江戸を往復するだけで結構。

『水戸黄門』の光圀の世直し旅は「税金の無駄遣い」だが、『暴れん坊将軍』の吉宗の江戸市中外出癖は「財政難による幕府の人材不足」である。お忍びの結果がお忍びとは皮肉な話である。

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