中村梅之助橋幸夫が過去、金四郎を演じたことはCMなどで観てしっているくらいで、片岡千恵蔵の金四郎も写真や場面の一部だけテレビで観たことがあるが、作品を通して観たことはない。
個人的に観たことがあるのは以下の作品である。遠山金四郎を演じた俳優別で列挙する。

テレ朝『遠山の金さん』
杉良太郎
高橋英樹
松方弘樹
松平健

TBS『江戸を斬る』
西郷輝彦
里見浩太朗

『遠山の金さん』という作品を知る切っ掛けが杉良太郎版だったので、これで最初のイメージができた。また、『水戸黄門』の助三郎は里見浩太朗のときを最初に観たため、あとになって杉良太郎が助三郎を演じていたころの映像を観ても、光圀の一行に金四郎が混ざっているように観えてしまう。杉良太郎は岡っ引き、同心、奉行の3種類を演じている。町人と武士を対照的に演じ分けるのがうまい点では松方弘樹も同様である。杉良版の主題歌は杉良自身が歌った「すきま風」で、これもインパクトが強かった。

高橋英樹は『桃太郎侍』『三匹が斬る!』などの時代劇の常連であることから(下注釋)、高橋版『金さん』も杉良の後継作品として非常にうまくいったほうである。
奉行所で金さんの正体を知る武士を演じた宮尾すすむが名脇役であった。
「この金さんの桜吹雪、散らせるもんなら散らせてみな」は高橋英樹版『金さん』で印象に残った。この台詞は『江戸を斬る』で里見浩太朗も使っていた。立ち回りのときの音楽が名曲だったように思う。エンディング主題歌は五木ひろしが歌ったオリジナルの歌であった。

松方弘樹は前後に例のない当たり役で、ヤクザ映画と時代劇に多く出ていた松方弘樹の本領發揮であり、レギュラー脇役も東山紀之と柳沢慎吾の時代から石立鉄男と小西博之など、次々に変わり、長寿作品となった(下注釋)。『名奉行遠山の金さん』の主題歌は松方弘樹自身が歌った曲である。

松平健はいろいろなアルバイトをする金四郎を演じたが、吉宗のイメージが強かったせいか、1作品で終わった。北大路欣也の演じた『大岡越前』と同様、俳優と題材の一体化がうまくいかないうちに終わった感がある。

次に、TBSナショナル劇場の『江戸を斬る』について。
『江戸を斬る』の第1作は家光の弟が主人公で、竹脇無我が演じた。『江戸を斬るII』から時代が家慶のころになり、西郷輝彦が遠山金四郎を演じ、これがシリーズ化された。その後、『水戸黄門』の休止中の番組は『大岡越前』と『江戸を斬る』の2作による3本体制となり、『水戸黄門』の助三郎役を降板した里見浩太朗が金四郎役を継承した。
└→『江戸を斬る』遠山金四郎編【作品】

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09年11/15

関連語句
遠山の金さん


注釋
高橋英樹版
高橋英樹は『翔ぶが如く』で島津久光を演じ、『篤姫』で島津斉彬を演じるなど、時代劇の武士役として常連であり、町人姿で見せた庶民的なキャラクターは現代劇で生きているだろう。

松方弘樹版における東山紀之
東山紀之が演じた若手同心は番組の途中から金四郎の正体を知り、浪人姿で活動するようになった。町人姿の金四郎と歩きながら話す場面もあり、江戸市中の人は奉行と同心のコンビとは気づかなかっただろう。
東山紀之が『必殺仕事人2007』で同心役を演じているのは『名奉行遠山の金さん』を思い出させる。東山紀之は遠山金四郎と中村主水という二人の人物と組んだわけだ。もっとも、時代設定は異なり、『仕事人2007』の時代設定は1820年(文政3年)で、金四郎が奉行になった1840年(天保11年)はその20年後の時代である。
中村主水は天保時代にも活動しており、『仕事人アヘン戦争へ行く』では栗塚旭が、『春日野局の秘密』では近藤正臣が遠山金四郎を演じた。


参照
俳優一覧(光圀、吉宗、遠山金四郎役など)【人物】
時代劇(2009年11月)