『忠臣蔵』(1985年日本テレビ版)【作品】

『忠臣蔵』を扱った作品では月形龍之介、西村晃、石坂浩二が吉良を演じている。

まず、1960年に『忠臣蔵』をモデルにした現代劇『サラリーマン忠臣蔵』が作られており、森繁久弥が「大石良雄」、池部良が「浅野卓巳」、東野英治郎が「吉良剛之介」という人物を演じている。いずれも昭和の日本人の設定だが、名前などからして明らかに『忠臣蔵』の大石、浅野、吉良をモデルにしている。劇中、浅野は早く亡くなっており、大石が会社を作り、事実上、浅野の会社を継承したものとなっており、明らかに赤穂(赤穗)藩がモデルだ。

ここで森繁が現代版の大石を演じ、東野が現代版の吉良を演じているのが興味深い。

『水戸黄門 天下の副将軍』(1959年7月、東映)
月形龍之介が水戸光圀を演じた。東千代之介が佐々木助三郎を演じ、里見浩太郎が推定25歳で渥美格之進を演じている。 

『水戸黄門漫遊記』(1969年11月、東宝)
森繁久彌が光圀を演じている。佐々木助三郎を宝田明が、渥美格之丞(格之進に相当)を高島忠夫が演じている。インターネットで調べると舞台は元禄9年、1696年である。

『水戸黄門』(1978年12月、東映)
東野英治郎主演で、テレビで格之進役が横内正から大和田伸也になった年の作品。

次は江戸時代を扱った本格的な各種『忠臣蔵』である。

1961年映画『赤穂浪士』
大石内蔵助:片岡千恵蔵(千惠藏)、 浅野内匠頭:大川橋蔵、吉良上野介:月形龍之介

1975年NHK大河ドラマ『元禄太平記』
大石内蔵助:江守徹、浅野内匠頭:片岡孝夫、吉良上野介:小沢栄太郎
水戸光圀:森繁久弥

1985年日本テレビ『忠臣蔵』
大石内蔵助:里見浩太朗、浅野内匠頭:風間杜夫、吉良上野介:森繁久弥
荻生徂徠:西村晃、林大学頭:佐野浅夫

1994年TBS『大忠臣蔵』
大石内蔵助:松方弘樹、浅野内匠頭:東山紀之、吉良上野介:西村晃

1999年NHK『元禄繚乱』
大石内蔵助:中村勘九郎、浅野内匠頭:東山紀之、吉良上野介:石坂浩二

大川橋蔵と風間杜夫はいずれも銭形平次を演じたことがある。さらに片岡千恵蔵と松方弘樹はどちらも遠山金四郎を演じている。
また、映画『赤穂浪士』ではすでに松方弘樹と里見浩太朗も別の役で出演していた模様。
東山紀之は二度の浅野長矩役で、しかも斬りかかった相手である吉良を演じた俳優は西村晃と石坂浩二で、どちらも水戸光圀を演じた俳優とは何とも奇遇。
松方弘樹と東山紀之は『名奉行遠山の金さん』で奉行と同心という形で共演している。


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