アニメの『侍ジャイアンツ』第30話「復讐の大回転魔球」でウルフは大回転打法を使い、番場のボールを打った。

結果はやたら高い投飛。

ボールを上から見た角度で、テレビ画面ではボールの向こうに甲子園のグラウンドだけでなく客席まで見えて、ボールが一番高いときにはボールの直径がグラウンドの半分か3文の2に近いところまで接近した。
バックスクリーンからセンター手前をボールが占領しているように見えた。

硬球の圓周は23センチくらいなので、圓周率で割ると7.325センチになる。
MKS単位系では0.07325メートル。7.325×10のマイナス2乗メートルである。
これが球場における100メートルくらいの範圍と重なって見えたわけだ。
そして、球場全体がボールの直系の2倍に等しく見えた。

甲子園球場の中堅は118メートルらしいが、スタンドの前後の幅を含むかどうかわからない。

100メートルはボールの直系の約1365倍である。約1400倍としていいだろう。
画面でボールが目から10センチ(0.1メートル)離れた状態で見えていたとすると、下の球場は140メートルほど下方にあったことになる。
通天閣打法に匹敵する高さだ。

140メートルから降下したボールの速さはどうなるか。
空気抵抗を無視すると秒速52メートル。時速187キロ。実際に捕球したら腕が壊れたのではなかろうか。
ただ、空気抵抗を考慮に入れれば、ある速さで加速が止まっている可能性もある。
真空であれば落下にかかる時間は5.3秒余り。打ってから上空に達するまでもそこまでかかったはずだから滞空時間は10.6秒余り、10.7秒に近い。

速水譲次なら100メートル完走してしまう時間だが、野手が打球をダイレクトで捕ったら、もちろんアウト。

それにしてもマウンドで大回転する番場に対し、打席で大回転するウルフを観て、「この両名は別のスポーツをやったほうがいい」と思った人も多いはず。