手塚治虫が医師・ブラック・ジャックこと間黒男(はざまくろお)を主人公にして描いた作品。
当初はブラック・ジャックが人間を鳥に改造したり、馬の脳を人間に移植するなど、現実離れした医学描写があったが、のちにそういうSF的な描写は抑えられるようになった。

 

ピノコ誕生のもとになった「畸形嚢腫を組み立てて人間に復元すること」も、のちの作品ではBJに手術を依頼した医者が「それはチャンピオンのマンガだ」(要旨)と述べるようになっている。

 

「しめくくり」で井中大海という作家の死が描かれているが、これは川端泰成(1899~1972)とよく似ている。
『ブラック・ジャック』の連載開始は川端康成没の翌年、1973年であるから、影響があったのだろう。
西暦2009年は川端泰成没後110年である。
手塚治虫は1928年生まれ、1989年没であり、西暦2009年は手塚治虫生誕81年、没後20年である。

 

『BJ』は、もともとは手塚治虫のキャラクターが集合するイベント的な作品なので、過去の手塚キャラクターがよく出てくる。

 

手塚治虫自身はこの作品の中で医者だったり漫画家だったり刑務所で処刑を担当する射撃手の一人だったりすするが、場合によっては患者でもあり、「シメキリ、シメキリ」と叫ぶ「慢性シメキリ病」で入院して、一向に治らない様子だった。
ヒゲオヤジこと伴俊作は電車内スリ、車掌、あるいは医者であることもある。
『三つ目がとおる』の写楽は原作でも患者として登場したこともあり、アニメ『ブラック・ジャック21』ではほとんどレギュラーとして登場していた。
『ジャングル大帝』のレオそっくりの白いライオンが登場したのは周知の如し。

 

また、『少年チャンピオン』前世紀の1970年代に連載されたこともあり、『がきデカ』『ドカベン』『エコエコアザラク』『マカロニほうれん荘』など、当時の『チャンピオン』掲載作品のパロディーがあちこちに見られ、当時を知っている世代には懐かしいが、最近になって読んだ人には理解しづらいところもあるだろう。

 

時代設定については、「未来への贈り物」でBJがインターン(実習生)だった時代が昭和(1926~1989年)。それから10年のち、BJがソビエト連邦(1922~1991年)で手術を披露して、その代償に当時のソ連の人工冬眠技術を見せてもらった話があり、このBJのインターン時期は1926年から1981年までの間に限られる。

 

BJが時間旅行しながら宇宙海賊をやっていたアニメ『バンダーブック』では時代設定は1977年ごろのようである。

 

一方、『週刊少年チャンピオン』に新規掲載された『ブラック・ジャック2009』では2009年当時のバスケットボールのチーム、選手名が出てくるので、時代設定は2009年と思われる。

 

東条英機は一度自殺をはかり、大手術で生かされ、その上で死刑判決を受けた。死刑反対派は東京裁判を認めるのだろうか。ブラックジャックも「死にかけた死刑囚」を手術で救ったことが2度はある。1度は死刑囚が判決を受けた法廷で意義を唱えて退廷を言い渡され、死刑囚は処刑される寸前にBJに感謝の意を表明。別の時には死刑が執行された際、BJは手術代の受取を拒否した。
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「ブラック・ジャック」の前日談、「ヤング ブラック・ジャック」の間黒男(はざまくろお)は1968年の時点で22歳?これだと「ブラックジャック2009」が描かれた2009年の時点で63歳になってしまう。
1:27 - 2015年11月14日

 

 

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2009年11/6