西暦2009年は2112年のドラえもん誕生から103年前である。
原作第1話でドラえもんが野比家に居候を始めたのは1970年。
ドラえもん誕生から142年前である。

2009年から142年前だと1867年で大政奉還の直前だ。
のび太少年時代が1970年とすると、ドラえもんは自分が生まれる142年前の時代に住んでいたわけだ。
計算の便宜上、2年後の1972年をのび太少年時代の基準にして、ドラえもん誕生から140年前とする。

もし、のび太がこれをやったらどうなるか。
原作第1話ののび太が1970年で10歳とすると1960年生まれ。それから140年さかのぼると1820年。
これは文政3年で、江戸時代の文政年間で、文政の中村主水が書庫版に異動になったときだ。
のび太の先祖・のび左エ門は文政9年、1826年に「宝」(実は息子へのお年玉で少額)を埋めた。

ドラえもんがしていることは、のび太がのび左エ門の時代に常駐するようなものだ。

一方、21世紀ののび太はどうか。
多少、強引だが、これまた計算しやすいように、西暦2010年で10歳、2011年で11歳ののび太を考える。2009年では9歳である。生まれた年はドラえもんとほぼ100歳違う。この場合、のび太は西暦2000年ごろに生まれたことになるので、それから100年前は1900年ごろで明治時代末だ。
したがって、西暦2009年で11歳ののび太の場合に当てはめると、1998年生まれだから、生まれた年から103年前だと1895年になる。

ドラえもんにとってののび太の時代は、のび太にとっての江戸時代後期か明治末のようなものだ。のび太がのび左エ門の時代(1826年前後)やのび吉の時代(1910年前後)に、あるいはキテレツがキテレツ斎のいた1859年前後の日本に常駐するようなものだ。幕末にタイムスリップした『JIN-仁-』の医者に近い境遇である。
ここでもしのび太が20世紀の道具をやたら使ったら、江戸時代の社会は混乱し、文明史がめちゃくちゃになるだろう。

ドラえもんは秘密道具でのび太を助けるが、原則として「ぼくのポケットをあてにしないで自分でがんばれ」と言うことが多いし、秘密道具をのび太の時代に普及させようとはしていない。
それは自分がのび太の時代にいることが不自然な存在であることを自覚しているからであろう。